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第1章 奏でる二人
忘年会、そして定期演奏会へ
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2016年の年の瀬、アンサンブル・アリオーソでは忘年会が行われていた。
その席には、音楽監督の望月俊和も参加していた。
もともと、この楽団は、とある高校の吹奏楽部のOB・OGバンドであった。そこから、広く市民に開放して、今の市民吹奏楽団となった。だから、この高校のカラーがとても強い。
音楽監督の俊和もこの高校のOBで、代表の澤井孝とは同期だったとか。
なので、1次会はそんな高校の話で盛り上がり、菜由美や美加は、ただ聞いて楽しむだけだった。
なので、二人は2次会へ行くことに。
監督の俊和が先導する方へついていった。
「こういう飲み会では、音楽の話なんかしちゃダメだよ。ほら、あそこで、なんか曲の話してる。」
俊和は、そう言うと、適当な酒とつまみを注文した。
菜由美は、そんな俊和と同じテーブルにいて、美加は別のテーブルにいた。
「で、北口さんはどうして、うちの楽団に来ることにしたの?」
「いや、それはその‥。」
「その辺、ハッキリさせないと、ねぇ?」
誰ともなく同意を求める俊和。
で、菜由美は美加とのことを話し、美加が菜由美たちのいるテーブルに呼ばれる。
「誰か好きな人がいたとか?」
話聞いてた?美加と探したって言ったでしょ?
「まあ、昔なら。。」
「え?アリオーソにいる人で?」
「まあ、その。。」
菜由美は冷や汗たらたら。結局、望月進一とのことを話し、誰にも言わないでくださいよ、と念押し。
「それはそれで素敵なことじゃん。別に今からどうこうってことじゃないわけだし。」
ほら、完全に恋話。
そんなこんなで、2017年を迎えた。
年が明けると、アリオーソは、練習を強化する。団員が勤める学校の吹奏楽部の練習場所と打楽器をお借りしての練習を何度か行う。また、日祝日のどこかで一日強化練習を組み、朝から夕方までの合奏練習をする。
また、賛助で来られる方も練習に参加される。
あと、団員なのに、この時期から練習に参加する人もいる。
これは、この楽団の一番の問題点であると言って良い。
そんな一日強化練習では、打楽器の賛助の方も来られていた。
先生と呼ばれているプロの奏者、秋山美智恵は、主にティンパニを担当する。あとは、鍵盤打楽器など人手が足りないパートを担う。
もう一人、松田悠人は、美加と古い友人で、彼は主に小物や皮モノ(ボンゴやコンガ)をやってもらう。
そんなパート割りは、美加が全部取り仕切ってやった。
また、他にも打楽器は決め事があり、当日、どの楽器をどこから楽器を借りるか。それも、まゆみが教えながら、美加が頑張ってやっていた。
菜由美は、初めての本物ティンパニでの練習で少し緊張していたのかもしれない。管楽器と縦があってなくて、トロンボーンの望月進一に前から突っ込みを入れられていた。
進一は、前の楽団でも、この楽団でも、練習指揮者をやっていて、なんか上から目線なのだ。まゆみと同じく市の職員。どうして、公務員はこう上から目線なのか。(問題発言です。全ての公務員がそうではありません。)
定期演奏会前日、本番のホールでの練習が行われた。
ホール備え付けの楽器運び、Ka'sから借りた楽器運び、セッティング、終わらないうちに、練習開始。
このホールは、どちらかというと吹奏楽向きではない。音がガンガンに響いてしまうのだ。だから、縦があわない。指揮を見ていればいいのだが、指揮はあまりあてにならない。(問題発言)
こんなんで、明日の本番は大丈夫だろうか?美加も菜由美も不安が募る。
次の日、定期演奏会本番。アリオーソに入って、初めてのホールでの演奏会。今まで数々のホールで演奏してきた菜由美も、このホールは初めて。
第1部最後の曲の『フィンランディア』で、事故は起こった。
指揮はわからず、チューバは先に出る、ティンパニの私は、必死に追いかけるも追いつかず。でも、次のメロディで帳尻合わせ。あー、やはりか~。
この定期演奏会で学んだのは、やはり練習の積み重ねあるのみ。年が明けてから、ひどい人では、2月になってから練習に参加する人もいる。
技術的に上手い人がいい思いをする定期演奏会であってはならない。
でも、これはこれで達成感ある演奏会だった。来年こそは!そう思える演奏会だった。
打ち上げは例によって盛り上がった。
ユーフォニウム吹きで、この楽団を、OBバンド時代から長いこと率いてきた、中村英司と話をする機会があった。
彼だけでなく、何人かの人も言っていたのだが、菜由美や美加が入ったことで、この楽団の空気が変わったと言う。
で、英司は、まゆみに物申したい様子だった。しかし、まゆみは察したのか、別のテーブルに行ってしまった。
「あ、逃げたな。」
たぶん、スネアだけでなく、もっといろんな楽器をやれとか、美加や菜由美とのコミュニケーションのとり方とか、こんこんと話すつもりだったらしい。
その席には、音楽監督の望月俊和も参加していた。
もともと、この楽団は、とある高校の吹奏楽部のOB・OGバンドであった。そこから、広く市民に開放して、今の市民吹奏楽団となった。だから、この高校のカラーがとても強い。
音楽監督の俊和もこの高校のOBで、代表の澤井孝とは同期だったとか。
なので、1次会はそんな高校の話で盛り上がり、菜由美や美加は、ただ聞いて楽しむだけだった。
なので、二人は2次会へ行くことに。
監督の俊和が先導する方へついていった。
「こういう飲み会では、音楽の話なんかしちゃダメだよ。ほら、あそこで、なんか曲の話してる。」
俊和は、そう言うと、適当な酒とつまみを注文した。
菜由美は、そんな俊和と同じテーブルにいて、美加は別のテーブルにいた。
「で、北口さんはどうして、うちの楽団に来ることにしたの?」
「いや、それはその‥。」
「その辺、ハッキリさせないと、ねぇ?」
誰ともなく同意を求める俊和。
で、菜由美は美加とのことを話し、美加が菜由美たちのいるテーブルに呼ばれる。
「誰か好きな人がいたとか?」
話聞いてた?美加と探したって言ったでしょ?
「まあ、昔なら。。」
「え?アリオーソにいる人で?」
「まあ、その。。」
菜由美は冷や汗たらたら。結局、望月進一とのことを話し、誰にも言わないでくださいよ、と念押し。
「それはそれで素敵なことじゃん。別に今からどうこうってことじゃないわけだし。」
ほら、完全に恋話。
そんなこんなで、2017年を迎えた。
年が明けると、アリオーソは、練習を強化する。団員が勤める学校の吹奏楽部の練習場所と打楽器をお借りしての練習を何度か行う。また、日祝日のどこかで一日強化練習を組み、朝から夕方までの合奏練習をする。
また、賛助で来られる方も練習に参加される。
あと、団員なのに、この時期から練習に参加する人もいる。
これは、この楽団の一番の問題点であると言って良い。
そんな一日強化練習では、打楽器の賛助の方も来られていた。
先生と呼ばれているプロの奏者、秋山美智恵は、主にティンパニを担当する。あとは、鍵盤打楽器など人手が足りないパートを担う。
もう一人、松田悠人は、美加と古い友人で、彼は主に小物や皮モノ(ボンゴやコンガ)をやってもらう。
そんなパート割りは、美加が全部取り仕切ってやった。
また、他にも打楽器は決め事があり、当日、どの楽器をどこから楽器を借りるか。それも、まゆみが教えながら、美加が頑張ってやっていた。
菜由美は、初めての本物ティンパニでの練習で少し緊張していたのかもしれない。管楽器と縦があってなくて、トロンボーンの望月進一に前から突っ込みを入れられていた。
進一は、前の楽団でも、この楽団でも、練習指揮者をやっていて、なんか上から目線なのだ。まゆみと同じく市の職員。どうして、公務員はこう上から目線なのか。(問題発言です。全ての公務員がそうではありません。)
定期演奏会前日、本番のホールでの練習が行われた。
ホール備え付けの楽器運び、Ka'sから借りた楽器運び、セッティング、終わらないうちに、練習開始。
このホールは、どちらかというと吹奏楽向きではない。音がガンガンに響いてしまうのだ。だから、縦があわない。指揮を見ていればいいのだが、指揮はあまりあてにならない。(問題発言)
こんなんで、明日の本番は大丈夫だろうか?美加も菜由美も不安が募る。
次の日、定期演奏会本番。アリオーソに入って、初めてのホールでの演奏会。今まで数々のホールで演奏してきた菜由美も、このホールは初めて。
第1部最後の曲の『フィンランディア』で、事故は起こった。
指揮はわからず、チューバは先に出る、ティンパニの私は、必死に追いかけるも追いつかず。でも、次のメロディで帳尻合わせ。あー、やはりか~。
この定期演奏会で学んだのは、やはり練習の積み重ねあるのみ。年が明けてから、ひどい人では、2月になってから練習に参加する人もいる。
技術的に上手い人がいい思いをする定期演奏会であってはならない。
でも、これはこれで達成感ある演奏会だった。来年こそは!そう思える演奏会だった。
打ち上げは例によって盛り上がった。
ユーフォニウム吹きで、この楽団を、OBバンド時代から長いこと率いてきた、中村英司と話をする機会があった。
彼だけでなく、何人かの人も言っていたのだが、菜由美や美加が入ったことで、この楽団の空気が変わったと言う。
で、英司は、まゆみに物申したい様子だった。しかし、まゆみは察したのか、別のテーブルに行ってしまった。
「あ、逃げたな。」
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