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episode8
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意識を手放してからのことは何も覚えていない。微かに記憶に刻まれているのは……八重斗が『いおにい、いおにい』と名前を呼んでいたという事だ。
あれから、八重斗かの支配欲満ちた行為はなく、無邪気で可愛いいつもの八重斗に戻っている。時々言われるワガママは子供にしては少し大人びたものだが、『かわいい』と受け入れてしまっている。
外は朝陽に包まれ、スズメが仲良く鳴いている。
「八重斗、八重斗……やえとぉ~?起きないと、遅刻するから……」
いつも父も母も朝早くに仕事へ向かう為、一織は朝支度を任されている。八重斗を起こすのも一織の役割だ。
いつものように八重斗の部屋に行き、寝台の傍で膝立ちして肩に手を添えて軽く体を揺さぶり声をかける。
「んぅ~……」
一度で起きないのは毎度のこと、今度は髪を梳くように撫でて声をかける。
「ほら、八重斗……朝だから起きような」
「うそ、まだ少し……寝てる ん……」
「全く……や~ え~ と~」
二度で起きないのもいつもの事、最終手段に出ようと身体を少し前に出して顔を寄せる。八重斗の唇に己の唇を重ね二度啄む。
「んっ……ふ はァ……八重……っ!?」
「お……兄ちゃん?おはよ」
寄せた顔を離して目を開けると、パッチリと目を開けてこてん、と首傾げている八重斗と視線が合う。思わず驚いて身体が硬直する。
「なっ、お……八重斗!?」
「へへっ、お兄ちゃんにキスしてもらっちゃった!いい日になりそう!」
また一本取られたと思いながら、この可愛い笑顔を見ると、そんな日があってもいいかと思える。
「八重斗は可愛いのかおませなのか分からないな」
「キスで起こして貰えるっていいね!寝起きのキスはとんな感じなんだろう、ねぇ、お兄ちゃん!」
「……っ い、いいから早く着替えて支度をしような!?」
寝起きのキスなんて、どこで覚えてくるのか。あんなことも知っている八重斗の事だから、思っているよりも……。
あれから、八重斗かの支配欲満ちた行為はなく、無邪気で可愛いいつもの八重斗に戻っている。時々言われるワガママは子供にしては少し大人びたものだが、『かわいい』と受け入れてしまっている。
外は朝陽に包まれ、スズメが仲良く鳴いている。
「八重斗、八重斗……やえとぉ~?起きないと、遅刻するから……」
いつも父も母も朝早くに仕事へ向かう為、一織は朝支度を任されている。八重斗を起こすのも一織の役割だ。
いつものように八重斗の部屋に行き、寝台の傍で膝立ちして肩に手を添えて軽く体を揺さぶり声をかける。
「んぅ~……」
一度で起きないのは毎度のこと、今度は髪を梳くように撫でて声をかける。
「ほら、八重斗……朝だから起きような」
「うそ、まだ少し……寝てる ん……」
「全く……や~ え~ と~」
二度で起きないのもいつもの事、最終手段に出ようと身体を少し前に出して顔を寄せる。八重斗の唇に己の唇を重ね二度啄む。
「んっ……ふ はァ……八重……っ!?」
「お……兄ちゃん?おはよ」
寄せた顔を離して目を開けると、パッチリと目を開けてこてん、と首傾げている八重斗と視線が合う。思わず驚いて身体が硬直する。
「なっ、お……八重斗!?」
「へへっ、お兄ちゃんにキスしてもらっちゃった!いい日になりそう!」
また一本取られたと思いながら、この可愛い笑顔を見ると、そんな日があってもいいかと思える。
「八重斗は可愛いのかおませなのか分からないな」
「キスで起こして貰えるっていいね!寝起きのキスはとんな感じなんだろう、ねぇ、お兄ちゃん!」
「……っ い、いいから早く着替えて支度をしような!?」
寝起きのキスなんて、どこで覚えてくるのか。あんなことも知っている八重斗の事だから、思っているよりも……。
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