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オレとカノン。3

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次の日、オレはいつも通り学校に行って授業を受けた。
そして放課後。帰り支度をしていると、クラスメイトの橘が話しかけてきた。

「なあ、高田。好きな人ってどうやってデートに誘ったらいいかな」
「は?いきなりどうしたんだよ」
「いや、実は俺、気になる子がいてさ……」

橘は少し照れくさそうな顔で話し始めた。なんでも、最近気になっている女子がいるらしい。

「その子とデートしたいんだけど全然うまくいかなくてさ。高田は彼女とかいたりする?」
「まあ、いると言えばいるが……」

オレの愛するまゆりんを思い浮かべながら答える。

「本当か!?教えてくれよ!頼む!」
「う~ん……デートに誘うときは『デートしようぜ!』って感じで軽く言うな。断られたら冗談だって誤魔化せるし。
他には友達に頼んでダブルデートに誘うとか?」

自作エロゲや小説に使ったテクニックを橘に教えてやった。

「なるほど……参考になったよ。ありがとう」
「おう。頑張れよ」
オレはそう言い残して教室を後にした。

さらに翌日。また橘に声をかけられた。

「なあ、デートに誘おうっておもうんだけど勇気が出なくてさ……どうしたら勇気を出せるんだ?」

「………」

小説やシナリオを書く時はさらっとお誘いの言葉を主人公に言わせれるオレだがリアルで言わせれる経験など一つもない。もちろん自分自身が現実の女の子をデートに誘ったこともない。

「と、とりあえずデートに誘いたいっ子って誰よ?性格とか分かんないと誘い方も浮かばないだろ?世間話くらいはするのか?」

とりあえず女の子の情報だ。エロゲーでも女の子の喜ぶ選択肢を選ぶために情報が重要だ。

「……創作部の……水木さん。趣味とか合うし、一緒に帰ったりできるようになったけど…途中で別の道になるからそこでお別れなんだ」

創作部といえばカノンのいる部活だ。あんまり部活に行ってないらしいけどカノンに言えば協力してくれるかもしれない。

「分かった。ちょっと待ってろ」

オレはある目的を持って教室を出た。
カノンのクラスに行き、カノンを呼んでもらう。

「え??なになに?あんたから来るなんてどしたの?」

驚いているカノンにオレは友達の橘が水木って子をデートに誘いたいけど誘えないことを相談した。

「はあ?何それマジウケるんですけど。橘先輩が水木先輩をねえ。へ~、デートに誘うなんてそ簡単じゃん。一緒に帰れるならマクドナに寄り道しようぜーって誘えばいいじゃん」
「いや、そうだけどさ……なんか勇気が出ないらしい」
「水木先輩ね~ふ~ん。まあいいわ。水木先輩は私も話したことあるし、私が協力して先輩のこと誘ってあげる。
今度の土曜のデート、その橘先輩のためにダブルデートに変更ね。映画のチケットはあたしが用意しといてあげるからお金は後でちょうだいね。
あと水木先輩を誘う私へのお礼はドドールのクロワッサンダブルセットボックスでいいよ」

そう言ってカノンは笑った。部活の先輩にまでお礼をねだる図太い神経には笑うしかないが、これでオレも愛の伝道師となれただろう。

「橘にはオレから言っとく。今週の土曜の待ち合わせ場所は駅前で。時間は10時でいいか。」

「いいよ~。先輩たちのデートの様子、観物だわ~」
「んじゃカノン、水木さんの方は頼むぞ」

ん~、カノンの奴、部活の先輩をイジって楽しもうとしているな。まあ、いいか。橘もデートさえできれば後はなんとかするだろ。
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