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オレとカノン。4
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そして迎えた土曜日。オレは盛大に遅刻した。カノンが水木さんを誘って上手くデートを取り付けてくれた時に「どうせあんたは遅刻するだろうから水木先輩にチケット渡しとくから寄越しな」と2枚のチケットを持って行った。水木さんがチケットを持っているならオレがいなくても後は橘次第でデートはなんとかなるだろう。
問題はオレの部屋でふくれっ面をしているカノンの機嫌をどう治すかだ。
「あ~あ~、人がせっかく早めに来て起こしにきたのにグースカ寝やがってさ~、せっかくいじりがいがある先輩二人がデートするのに見れないって…あ~あ~」
完全にご立腹である。しかし、オレはここでくじけるわけにはいかない。ここでカノンの機嫌を悪くしたままにするとオレの親や妹に告げ口をされて皆の集中砲火を浴びてしまう。
「悪かったって。今日は昼飯奢るから許してくれよ」
「ん~まあいいでしょう。今日限定だけど私は優しいカノジョだからね」
そう言いながらカノンは腕を組んだ。
そう、ダブルデートに誘うための設定でオレとカノンは恋人同士ということになっている。そしてオレが恋人のカノンをデートに誘うのが恥ずかしいからと橘をダブルデートに誘ったけど橘には相手がいない。だから部活が同じカノンが水木さんを相手役に誘ったというシナリオにした。カノンの方も水木さんに上手く話をしたようで彼女がオッケーしてくれた。ただ問題があるとしたら二人からはオレとカノンが恋人と思われていることだ。
「だけどいいのか?オレと恋人って設定で……オレが今日のデートに遅刻したから別れたってこともできるけども」
「別にいいよ~。だってギャルっぽいってだけで軽い女みたいに思われて言い寄ってくる奴が多いからウザ避けになるし。それより早く私達も出かけようよ。今から先輩達に合流してもおじゃま虫だし、あたしらは予定通り映画と買い物ね~」
「それもそうだな。じゃあ、先に昼メシ食いに行くか」
「奢り飯、ゴチになります!」
この後、オレの奢りだからとガッツリ食べるカノンの姿を見ながら、男ならカッコつけろと3万円もくれた親父に感謝するのだった。
:おしまい:
問題はオレの部屋でふくれっ面をしているカノンの機嫌をどう治すかだ。
「あ~あ~、人がせっかく早めに来て起こしにきたのにグースカ寝やがってさ~、せっかくいじりがいがある先輩二人がデートするのに見れないって…あ~あ~」
完全にご立腹である。しかし、オレはここでくじけるわけにはいかない。ここでカノンの機嫌を悪くしたままにするとオレの親や妹に告げ口をされて皆の集中砲火を浴びてしまう。
「悪かったって。今日は昼飯奢るから許してくれよ」
「ん~まあいいでしょう。今日限定だけど私は優しいカノジョだからね」
そう言いながらカノンは腕を組んだ。
そう、ダブルデートに誘うための設定でオレとカノンは恋人同士ということになっている。そしてオレが恋人のカノンをデートに誘うのが恥ずかしいからと橘をダブルデートに誘ったけど橘には相手がいない。だから部活が同じカノンが水木さんを相手役に誘ったというシナリオにした。カノンの方も水木さんに上手く話をしたようで彼女がオッケーしてくれた。ただ問題があるとしたら二人からはオレとカノンが恋人と思われていることだ。
「だけどいいのか?オレと恋人って設定で……オレが今日のデートに遅刻したから別れたってこともできるけども」
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「それもそうだな。じゃあ、先に昼メシ食いに行くか」
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この後、オレの奢りだからとガッツリ食べるカノンの姿を見ながら、男ならカッコつけろと3万円もくれた親父に感謝するのだった。
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