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オレとカノン。
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オレの処女作にしてオレの趣味全開で作ったエロゲーが意外にもバズった。
その噂を聞きつけた小さな出版社の人が「ぜひウチで君のゲーム原作の小説を書かないか」と言ってくれたのだ。
憧れていた世界からのお誘いにオレは一も二もなく飛びついた。
そして、エロ小説家兼同人エロゲ作者という二足のわらじで今に至る――のだが……。
「なあ……何でお前がいるんだ?」
「いいじゃんか。あたしら幼馴染だし?チビの頃からお互いの部屋に出入りしてたじゃん」
そう言うとギャル風の女・カノンはオレの部屋に置いてあるソファに寝転びながらスマホを操作し始める。
オレのほうが一歳年上なのだけど、こいつとは小さい時から家が隣同士だった関係で家族ぐるみで仲が良い。
なので、昔からよくお互いの家に遊びに行ったりしていた。そのため高校生になった今でもカノンがオレの部屋にいてもオレの家族は誰もこいつを咎めてくれない。
プライバシー保護なんてオレにだけない状態で、オレのお気に入りであり大事なエロゲを含めた参考資料達は泣く泣く友達の家に預けている。そんなわけで今日もいつものようにカノンはオレの家に入り浸っているというわけだ。
「それで?今日は何しに来たんだよ」
「えーっとねー……」
スマホから顔を上げたカノンがニヤリと笑う。
嫌な予感しかしない。
「あのさぁ~、ナオキ、この前作ったゲームで小説作ったってマジ?」
「ああ、そうだよ」
「じゃあさ!給料出たんだろ?お祝いにあたしになんか素晴らしいモノを奢れよ」
「給料じゃなくて原稿料な。だけど普通、逆だろ。おめでとうってオレに贈るもんだろ」
オレがエロゲをネットで公開したくらいの時だった。この部屋を漁って何もないと知るとオレがうっかりPCのロックをかけていなかったのを良いことにそっちを漁ってオレが作ったエロゲーとサイトを発見してしまったカノン。
それ以来、自作エロゲのアップデート更新や新ストーリーのことなど公開しているオレのHPをチェックしており何かあるとこうやってオレのところに来る。
「いやいや、あたしだって頑張ってバイトしてお金貯めてるんだけど?それを労ってくれるならともかく、なんであたしがナオキに奢らないといけないわけ?」
「オレだって頑張って服の流行や背景とかいろいろ調べてエロゲ作ったんだぞ!それを労ってくれ」
「えー、どうしようかなー」
そう言いながらもカノンは枕代わりにしていた自分のカバンを手繰り寄せて財布を手に取り中身を確認し始めた。
「まあ、ちょっとだけ奮発するか……」
「へっ!?マジで?」
「ただし!一つ条件がある!」
「……なんだ?まさかエロゲ買ってくれとかじゃないだろうな?」
「違うわ!いいか?今度の休みはあたしと一緒に映画に行くこと!お茶代はアタシが奢ってやるよ!あと買いものも付き合うこと!もちろん荷物持ちとしてだ」
「……それってただのお出かけだよな?」
「映画代はあんたで、お茶代はアタシ。で、デートってやつをエロゲばっかやってるあんたに味あわせてやるよ」
デート。それは男女二人っきりでどこかに出かける行為の事、くらいはオレも知ってる。
今までカノンと出かける場合、家族ぐるみの付き合いで大抵誰かが一緒だったりするものだった。
オレの人生の初デートの相手は推しアイドルのまゆりんと決めているのだが、ここで断ればカノンは確実に機嫌が悪くなるだろう。
そしてオレがエロゲを作ってたりエロ小説を書いているのをお袋にチクられる可能性がある。
なのでここは素直に従うことにした。
「分かった。それでいい」
「おっけ~♪んじゃあ次の土曜日ね」
「ああ」
こうしてオレはギャルっぽい幼馴染との初めてのデートをする事になった。
その噂を聞きつけた小さな出版社の人が「ぜひウチで君のゲーム原作の小説を書かないか」と言ってくれたのだ。
憧れていた世界からのお誘いにオレは一も二もなく飛びついた。
そして、エロ小説家兼同人エロゲ作者という二足のわらじで今に至る――のだが……。
「なあ……何でお前がいるんだ?」
「いいじゃんか。あたしら幼馴染だし?チビの頃からお互いの部屋に出入りしてたじゃん」
そう言うとギャル風の女・カノンはオレの部屋に置いてあるソファに寝転びながらスマホを操作し始める。
オレのほうが一歳年上なのだけど、こいつとは小さい時から家が隣同士だった関係で家族ぐるみで仲が良い。
なので、昔からよくお互いの家に遊びに行ったりしていた。そのため高校生になった今でもカノンがオレの部屋にいてもオレの家族は誰もこいつを咎めてくれない。
プライバシー保護なんてオレにだけない状態で、オレのお気に入りであり大事なエロゲを含めた参考資料達は泣く泣く友達の家に預けている。そんなわけで今日もいつものようにカノンはオレの家に入り浸っているというわけだ。
「それで?今日は何しに来たんだよ」
「えーっとねー……」
スマホから顔を上げたカノンがニヤリと笑う。
嫌な予感しかしない。
「あのさぁ~、ナオキ、この前作ったゲームで小説作ったってマジ?」
「ああ、そうだよ」
「じゃあさ!給料出たんだろ?お祝いにあたしになんか素晴らしいモノを奢れよ」
「給料じゃなくて原稿料な。だけど普通、逆だろ。おめでとうってオレに贈るもんだろ」
オレがエロゲをネットで公開したくらいの時だった。この部屋を漁って何もないと知るとオレがうっかりPCのロックをかけていなかったのを良いことにそっちを漁ってオレが作ったエロゲーとサイトを発見してしまったカノン。
それ以来、自作エロゲのアップデート更新や新ストーリーのことなど公開しているオレのHPをチェックしており何かあるとこうやってオレのところに来る。
「いやいや、あたしだって頑張ってバイトしてお金貯めてるんだけど?それを労ってくれるならともかく、なんであたしがナオキに奢らないといけないわけ?」
「オレだって頑張って服の流行や背景とかいろいろ調べてエロゲ作ったんだぞ!それを労ってくれ」
「えー、どうしようかなー」
そう言いながらもカノンは枕代わりにしていた自分のカバンを手繰り寄せて財布を手に取り中身を確認し始めた。
「まあ、ちょっとだけ奮発するか……」
「へっ!?マジで?」
「ただし!一つ条件がある!」
「……なんだ?まさかエロゲ買ってくれとかじゃないだろうな?」
「違うわ!いいか?今度の休みはあたしと一緒に映画に行くこと!お茶代はアタシが奢ってやるよ!あと買いものも付き合うこと!もちろん荷物持ちとしてだ」
「……それってただのお出かけだよな?」
「映画代はあんたで、お茶代はアタシ。で、デートってやつをエロゲばっかやってるあんたに味あわせてやるよ」
デート。それは男女二人っきりでどこかに出かける行為の事、くらいはオレも知ってる。
今までカノンと出かける場合、家族ぐるみの付き合いで大抵誰かが一緒だったりするものだった。
オレの人生の初デートの相手は推しアイドルのまゆりんと決めているのだが、ここで断ればカノンは確実に機嫌が悪くなるだろう。
そしてオレがエロゲを作ってたりエロ小説を書いているのをお袋にチクられる可能性がある。
なのでここは素直に従うことにした。
「分かった。それでいい」
「おっけ~♪んじゃあ次の土曜日ね」
「ああ」
こうしてオレはギャルっぽい幼馴染との初めてのデートをする事になった。
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