最強剣士の好みは和服ショタ派なんです

三度目の冒険から本番です。

雇う条件

沈黙が部屋を包む。レイスの目がせわしなく姉弟を値踏みする。

「六年も連絡一つない人となんて、普通なら商談を受けつけないものよ」

オレの背筋が一瞬で凍る。さすが水と氷の魔法を操る賢者だ。なんて冗談も言えない。彼女から告白されなかったし、超鈍感なふりで避けていた。結果としては彼女は家を守る方をとってオレを諦めた形だし、六年も連絡してない不義理者を信用できないのは仕方ない。

「でも英雄様に頼られるルーベンス家って触れがきは魅力的だわ。他の商家からの信用も高まるし、悪くはない話だわ」

「じゃあ」「ただし、雇うとなれば従業員と雇い主、互いの信用問題よ。この二人がルーベンス家うちで働く能力があるかで決めることよ。一月だけ試用期間として住み込みで働いてもらうわ。女や子供だからといって家事だけではないわよ。うちは女主人が働く商家。家事も仕事も適材適所に割り振りするわ。支社がある遠方に行く可能性もあるけどよろしくて？」

二人に向かっての言葉。だけど、これはルーベンス家に雇い入れたら口を出すなというオレに対しての牽制でもあった。
部外者のオレは人材の配置や仕事に口を出すなと釘を刺されてはなにも言えない。

「どこまで満足いただけるかは分かりません。ですが一月の試用期間を頑張ります。どうか私を雇ってください」

ハレルの姉さんが立ち上がってレイスに頭を下げた。