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ヒーラーの手

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今回はサリサとともに指定された昨日の畑に行くと畦道に座り込む中年から高齢までの男女の姿が見えた。

「ヒーラ様!こっちだよ!来てくれて良かった!」

昨日、毒消しをかけた中年女性が小走りでこちらに向かってきた。

「おー、おばちゃん!こんにちは!」
「奥さん、こんにちは。お加減はいかがですか?」

「ええ、おかげでさまですっかり元気ですよ!うちの人も今日から張り切って仕事に出てますよ」

「効果があって良かったです。でも昨日の今日で指名で依頼されるとは思ってませんでしたわ」

そういわれて女性は大きくうなずきながら言った。

「そりゃあもう、一度で痛みがなくなる魔法をかけてもらったって話をしたら皆興味津々で!なかなか病院に行く時間もないし頼んだよ」

「できる限りのことはやってみます」

「それで何人くらい治すんだ?」

「六人お願いしたいのよ。頼めるかい?」

畦道にいる人はそれより多いようだが、付き添いか何かだろうとカメリアは思った。

「ええ、大丈夫だと思います」

ヒールの使いすぎでMP切れは起きないだろうと判断し、用意してくれていた折りたたみの椅子に座って一人ずつヒールをかけることにした。

******

用意された椅子に座ったカメリアの前におばあさんが立った。

「私は膝と肘に痛みがあって」

「わかりました。力を抜いてくださいね」

カメリアは痛みがあるという場所に手をかざしてヒールをかけた。するとおばあさんは肘を曲げたり伸ばしたりを始め、膝も動かすと「おおっ」と驚きの声をあげた。

「痛くない。治ってるよ」

「ばあちゃん、良かったな。次と順番変わってもらうな」

サリサが率先して誘導係となり、交代を促した。カメリアは他の5人も同じように治していくのだが、3人目を治したくらいからヒールを求める人の列が長くなっている。

(あら?付き添いの方も並んでいるような……?)

気がつくと後ろに10人以上並ばれていて、どうしようかと思っているとサリサに声をかけられた。

「なんか増えてるよな。」

「……確かに増えてますよね。どうしましょう。できるのはできますけども依頼された人は6人ですし……」

「じゃあ、断るか。」

「そうします?正式に依頼を受けたわけではないですし。あとから苦情が来たら困りますものね」

「あ、でも、こっちの話が聞こえたおばちゃんは残念そうな顔してるぞ」

「うっ。では、他の方には改めてギルドで依頼していただくよう伝えましょう」

結局、6人全員をヒールしたが付き添っていた人たちはギルドで依頼して欲しいと伝え。この日はそれで終わることができたのだが……翌日からはもっと大変なことになるのだった。
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