結婚を認めてくれないので、女神の癒やし手と言われるようになりました。

からどり

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扉をあけて

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カメリアとサリサは自分達の部屋に戻ってしばらく沈黙していたが、サリサと並んでベッドに座ってカメリアは手紙を開いて読むことにした。

「カメリアへ
沢山書きたいことはあるのだけど必要なことだけ。
すぐに助けに行けなくてごめんね。私ともう半分の私はとあるグループにカメリアの事をお願いしてるの。
その人達と話をつけようと準備をしていたのだけど、少し手間取ってしまって今になってごめんね。
だから、これからも二人でカメリアの所へ行く事はできないけどずっとカメリアの幸せを願っているよ」

差出人の名前はどこにもない。でもずっとダイエットを支えてくれて、一緒に本を作ったクラウディアの字だとカメリアには分かっていた。

二通目はカメリアの祖父ギョクロンからだった。

「カメリアへ
連絡が遅くなってすまない。色々な情報が交錯して一番安全な君は後回しになってしまった。この事は謝っても許してもらえるとは思っていない。だがこれだけは信じて欲しい。我々は君の安全を優先したのだ。合図を送る。必ず青空の下で会おう」

そこで文は終わっていてカメリアは手紙を読み終えると声を殺して泣いた。横で読んでいたサリサももらい泣きをして二人で抱き合って泣いた。

翌日の朝、アンジュも連れて丸パン二個をもらうために食堂へ行くため廊下に出るとまた看護師達が騒がしい様子だった。いつもと違ってお腹が減るいい匂いがしている。

「おはよう。今日はやっと料理を作る業者が到着したから美味しいご飯が食べれるわよ!」

看護師にそう言われたので期待して食堂へ行くと、先に食事をしている患者は皆、家庭的な朝食を摂っていた。
三人は空いている席に座って祈りを捧げてから食事を食べることにした。

「すごく久しぶりに美味しい朝ごはんを食べれたね」

アンジュが嬉しそうに言った。サリサとカメリアもそれに同意してうなずく。

「ああ。感動的な朝ごはんだな。食べ過ぎで腹が痛くなる奴がでたりしてな」

ジョークにしてはブラックなサリサの発言に困って笑うしかない。

「なんだか急に物事が良くなって怖いくらいですわ」

昨日のことも含め、良いことが次々とおこってカメリアは次は悪いことが続くのではないかと不安なほどだ。

「大丈夫だって!しっかり食べて体力つけとこうぜ!」

そう言われると自分の体力が16という良いのか悪いのか分からない数値を思い出した。サリサは133と桁が違うので参考にならない。

「それは大事ですけども」

「まぁ何にせよあたい達は待つしかできないんだ。失敗したらその時はあたいらの力を使おうぜ」

「そうですね」

カメリアは自分に聖樹の巫女の力があると納得してしっかりと返事をした。

それから三日後、待ち望んでいた時が来た。
ツキカゲはいつも通り、白衣を着て昼の問診をしていた。カメリアが彼と話せる少ない機会であった。

「今日は顔色が少し悪いので薬を出しましょう。身体に負担がかかるので夕食は必ず食べないでください」

「え?食べないのですか?普通は食べて……」

ツキカゲが無表情で自分のカバンをみた。それはいつも薬が入っているもの。そして初日の夜に会った時はカバンの中に手紙が入っていた。
直感で(これが合図だわ!)と彼女は感じた。

「分かりました。先生のおっしゃる通りにします」

「はい。ではもういいですよ。次の方」

そしてカメリアは席を立ち診察室を後にした。サリサを呼んで自分達の病室に入った。

「サリサさん、とうとう合図がありました。今晩、なにも食べないようにしてください。私と一緒に来ていただきますよ」
「おっ、とうとう来たか。」

サリサは笑顔でうなずいた。

「できればアンジュさんも……」

「それは駄目だ。あたいらは戦う力を与えられたけどあの子は普通の子だ。病院に出た後はどうするんだ?義理の親のこととか考えたら家に帰してもまた入院させられちまうよ。それにあたいらと一緒だと危険だ。戦い向けのスキルが与えられてる時点で戦いがあるって分かるだろ。病院は外にでらんねーけどご飯も食べれるし中庭なら軽い運動もできる。手紙にもカメリアが一番安全だって書いてたろ。だけどこの病院に長くいるのは駄目だ。こんな寂しい場所、心が壊れちまう。病院に入院してる皆は病気なんかじゃないってことは助けに来てくれる奴に伝えようぜ」

「そうですね。今は脱出することに集中します」

その夜、二人は夕食を抜いて腹痛のふりをしてベッドの中で過ごしていた。アンジュが心配してくれるので心が痛むが、このまま病院にいるだけではなにもできないのは同じことだと自分に言い聞かせた。
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