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チャンスの扉を開いたら
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最初はゆっくりと優しく背中が押されていく。
「ふぅう……」
「どうですか?」
「気持ちいいででっ!?でででっ!?」
背中の真ん中を境に急に痛みがくる。
「あ~、ここ、硬いですね。さっきと同じ力でおしてるんですよ~?でも痛いでしょ?」
「はいっ……!」
(すっごく痛いわ!押しながら揉んでる?押しすり潰されてる~!?)
手の親指の付け根で押さえつけられながらグウ―ッと様々な方向に押し伸ばされていくようなマッサージ。それは自分がパン生地で慈悲なくこねられているかのようだった。
「ここは背中の筋肉なんでココが硬いと猫背になって姿勢が悪くなってくるんですよ。それに血行不良や老廃物が流れず溜まっています。なのでどんどんほぐしていきますね~。ほぐれていくと痛みも減ってきますよー」
「そうっなんでっすねっ」
「息止めないで~、深呼吸して~」
「はい~、すーはー」
(すごく痛い部分と痛い部分があるわ。同じ力でされてるなんて嘘みたい)
「じゃ、次は腰の辺りやりますね」
「いだ~~!いだっ!いだいっ!」
マッサージされた場所が燃えるように熱い。まるで火を当てられているように感じてしまう。
「ん~、やっぱり凝ってますねぇ。腰の骨の周りをグリグリするだけで痛いでしょう?ココが硬くなってると他の部分に負担がかかって疲れやすくなったり、代謝も悪くなります」
「はひっ痛いのにくすぐったい!」
「あ~、くすぐったいまでいくと大分悪いですね。あと、体型に関係なく腰痛持ちの方は必ずこの施術はやっておいた方がいいですよ。筋肉が固いと引き攣って痛みになるんです。あと体重は変わらなくとも見た目が変わります」
「本当っでっしゅかぁっ」
カメリアが痛みに耐え、ヒーヒー言いながらも逃げないのはマッサージの場所が変わるときに(あれ、楽だな)と思ったからだ。
「はい、本当です。腰とお尻は繋がってますよね。ここをしっかりマッサージしてお尻のマッサージをするとお尻がキュっと上がります」
(確かにっ、繋がってるっ、けどいっつうう~!!)
「足の裏いきまーす」
クラウディアが足の先側に立った。熱くなった彼女の手で足の裏にオイルを塗られると暖かくて気持ちがいい。
が、
「あぎゃっ!?」
「ここは特に痛いですよ~。足ツボっていってココを押すと身体の悪い部分に刺激を与えることができるんです。カメリア様は……肝臓と腎臓が弱いですね。暴飲暴食はむくみや太る原因ですから健康的な食事を心がけましょう!」
「そんなことっ言われてもぉっ」
クラウディアはツボを的確に指圧してくる。その度にカメリアの口からは悲鳴のような声が漏れた。それからふくらはぎなどのマッサージ。仰向けになってデコルテのマッサージ……と次から次に痛みが襲ってくる。
お腹と脇腹は痛みとくすぐったさで「ぎひいい!」と淑女にあるまじき声をだして施術台をタップしながら耐えた。
「終わりましたよ~。最後にあったかラップをして汗をかいて悪いものを汗として出しましょう!」
最初はホッカホッカラップと言っていたのにあったかラップになっている。どうやら名前は固定サれていないらしい温かい不思議な板のようなもの。下に垂れ下がった部分をカメリアの身体にかけた。顔以外の全身を覆われるとすぐにホカホカとして、じんわりと汗がにじんでくる。
「冷たい枕を持ってきますねー!そのままゆっくりしてください!」
クラウディアがいなくなると静かになった部屋。
(あ、これ、前に入れてもらった蒸し風呂みたいだわ)
ダラダラと全身の汗が流れ出てくる。自分でもびっくりするほど汗だくだが、不思議と嫌な暑さではなかった。
「おまたせ~!冷たい枕をいれるのでちょっと頭をあげますよ」
冷たい枕と聞いて固くて当てると痛い氷嚢かと思っていたのだが、後頭部に冷たくて柔らかいものが当たる。水を入れたのかと思ったが水と違っていつまでも冷たくて気持ちがいい。
頭はひんやり、身体は心地のよい暑さでカメリアはうとうととしていた。
「お疲れさまでした。これで全部終了になります」
「あ、ありがとうございました……」
ホカホカの板が身体の上から降ろされた。
終わったとわかってもまだ夢見心地でいる。カメリアは上半身をゆっくりと起こす。
(まだ痛みがあるけど、身体が軽く感じるわ)
「どうですか!?劇的に変わりましたよ!」
そう言われながら全身を鏡で見せてもらう。
(すごいわ!腹部は揉まれた痕がはっきり分かるほど赤くなっているけど今まで見たことがないウエストのくびれがある!こんなの初めて!二重顎のお肉も減ってるし、痩身エステマッサージってすごいのね!)
コレを続ければ変われるかもしれない。そう思うカメリア。
「お疲れさまでした。冷たいタオルで身体を拭いてスッキリして着替えをしてくださいね。施術服は使い捨てなんでゴミ箱に入れてください」
冷たい水で冷えたタオルを受け取るとクラウディアが去る。それで顔を拭くと爽快で、さらに身体も清潔にできる。至れり尽くせりだった。
「ふぅう……」
「どうですか?」
「気持ちいいででっ!?でででっ!?」
背中の真ん中を境に急に痛みがくる。
「あ~、ここ、硬いですね。さっきと同じ力でおしてるんですよ~?でも痛いでしょ?」
「はいっ……!」
(すっごく痛いわ!押しながら揉んでる?押しすり潰されてる~!?)
手の親指の付け根で押さえつけられながらグウ―ッと様々な方向に押し伸ばされていくようなマッサージ。それは自分がパン生地で慈悲なくこねられているかのようだった。
「ここは背中の筋肉なんでココが硬いと猫背になって姿勢が悪くなってくるんですよ。それに血行不良や老廃物が流れず溜まっています。なのでどんどんほぐしていきますね~。ほぐれていくと痛みも減ってきますよー」
「そうっなんでっすねっ」
「息止めないで~、深呼吸して~」
「はい~、すーはー」
(すごく痛い部分と痛い部分があるわ。同じ力でされてるなんて嘘みたい)
「じゃ、次は腰の辺りやりますね」
「いだ~~!いだっ!いだいっ!」
マッサージされた場所が燃えるように熱い。まるで火を当てられているように感じてしまう。
「ん~、やっぱり凝ってますねぇ。腰の骨の周りをグリグリするだけで痛いでしょう?ココが硬くなってると他の部分に負担がかかって疲れやすくなったり、代謝も悪くなります」
「はひっ痛いのにくすぐったい!」
「あ~、くすぐったいまでいくと大分悪いですね。あと、体型に関係なく腰痛持ちの方は必ずこの施術はやっておいた方がいいですよ。筋肉が固いと引き攣って痛みになるんです。あと体重は変わらなくとも見た目が変わります」
「本当っでっしゅかぁっ」
カメリアが痛みに耐え、ヒーヒー言いながらも逃げないのはマッサージの場所が変わるときに(あれ、楽だな)と思ったからだ。
「はい、本当です。腰とお尻は繋がってますよね。ここをしっかりマッサージしてお尻のマッサージをするとお尻がキュっと上がります」
(確かにっ、繋がってるっ、けどいっつうう~!!)
「足の裏いきまーす」
クラウディアが足の先側に立った。熱くなった彼女の手で足の裏にオイルを塗られると暖かくて気持ちがいい。
が、
「あぎゃっ!?」
「ここは特に痛いですよ~。足ツボっていってココを押すと身体の悪い部分に刺激を与えることができるんです。カメリア様は……肝臓と腎臓が弱いですね。暴飲暴食はむくみや太る原因ですから健康的な食事を心がけましょう!」
「そんなことっ言われてもぉっ」
クラウディアはツボを的確に指圧してくる。その度にカメリアの口からは悲鳴のような声が漏れた。それからふくらはぎなどのマッサージ。仰向けになってデコルテのマッサージ……と次から次に痛みが襲ってくる。
お腹と脇腹は痛みとくすぐったさで「ぎひいい!」と淑女にあるまじき声をだして施術台をタップしながら耐えた。
「終わりましたよ~。最後にあったかラップをして汗をかいて悪いものを汗として出しましょう!」
最初はホッカホッカラップと言っていたのにあったかラップになっている。どうやら名前は固定サれていないらしい温かい不思議な板のようなもの。下に垂れ下がった部分をカメリアの身体にかけた。顔以外の全身を覆われるとすぐにホカホカとして、じんわりと汗がにじんでくる。
「冷たい枕を持ってきますねー!そのままゆっくりしてください!」
クラウディアがいなくなると静かになった部屋。
(あ、これ、前に入れてもらった蒸し風呂みたいだわ)
ダラダラと全身の汗が流れ出てくる。自分でもびっくりするほど汗だくだが、不思議と嫌な暑さではなかった。
「おまたせ~!冷たい枕をいれるのでちょっと頭をあげますよ」
冷たい枕と聞いて固くて当てると痛い氷嚢かと思っていたのだが、後頭部に冷たくて柔らかいものが当たる。水を入れたのかと思ったが水と違っていつまでも冷たくて気持ちがいい。
頭はひんやり、身体は心地のよい暑さでカメリアはうとうととしていた。
「お疲れさまでした。これで全部終了になります」
「あ、ありがとうございました……」
ホカホカの板が身体の上から降ろされた。
終わったとわかってもまだ夢見心地でいる。カメリアは上半身をゆっくりと起こす。
(まだ痛みがあるけど、身体が軽く感じるわ)
「どうですか!?劇的に変わりましたよ!」
そう言われながら全身を鏡で見せてもらう。
(すごいわ!腹部は揉まれた痕がはっきり分かるほど赤くなっているけど今まで見たことがないウエストのくびれがある!こんなの初めて!二重顎のお肉も減ってるし、痩身エステマッサージってすごいのね!)
コレを続ければ変われるかもしれない。そう思うカメリア。
「お疲れさまでした。冷たいタオルで身体を拭いてスッキリして着替えをしてくださいね。施術服は使い捨てなんでゴミ箱に入れてください」
冷たい水で冷えたタオルを受け取るとクラウディアが去る。それで顔を拭くと爽快で、さらに身体も清潔にできる。至れり尽くせりだった。
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