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甘い一日

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*龍一の部屋*
私はソファの上で龍一さんの膝に座って、日頃のストレスから解放されて癒やしの充電をさせてもらっていた。
仕事は順調だけど八津野目は支社の黒原さんに会えない八つ当たりか仕事でやたらと絡もうとしてくる。那須さんが叱ると少しは大人しくなるし、社長達がいる時は彼も静かにしている。なのに昼休みや仕事が終わったタイミングで高級レストランに行くとか予約待ちの飲食店の予約が取れたとか自慢をしに来るので面倒な人だと私は聞き流していた。

そんなワケで体は元気だけど気持ちが疲れきってしまった私が「龍一さんに甘えたいです」とねだったら図書館に行く予定を変更して「俺の部屋でゆっくりしよう」と言ってくれた。
私は大喜びで彼に甘えているのだけど……彼は私が座るとすぐにぎゅっと抱きしめてくれたのに何か考え事をしている。何を考えているのか知りたくて彼の顔を見上げると優しい笑顔を向けられた。
この頃、龍一さんは前に比べると口数が減っている。反対にスキンシップが増え、私をじっと見つめてくることが多くなっていた。その表情は真剣だったり、微笑んでいたり、嬉しそうにしている時も多い。

「今は何を考えてるんです?」

そう聞くと「ちゅっ」と音を立てて口づけをされた。

「トモヨさんのことをどう甘やかそうかと」
「じゃあ、頭を撫でて欲しいです」

彼の手で包まれるように撫でてもらうと安心感もあるし嬉しくなってしまう。それに他のおねだりよりもずっと気軽にお願いしやすいのもいいところ。

「えへへ」

声を出して笑うと今度は頬にキスをしてくれた。嬉しいからニコニコしていたらまた彼が笑ったのだけど今度は楽しげな様子で「やっぱりそうだ。うん、間違いない」と言った。

「今は何を考えているんですか?」

さっきと同じように聞くと今度はどう答えてくれるのかなと思っていたら何も言わずに彼の口で私の口を塞がれてしまう。
私は彼によって甘い世界に連れて行かれてしまったのでもうとろけてしまっていた。だけど大人の恋も彼から教わって知ってしまった私はキスだけじゃ物足りない。

「龍一さんがしたいようにしていいですよ」
「さっきの質問の答え。トモヨさんは俺と密着すると甘えん坊に、キスをすると素直になるって今のでまた確信した」

ああ、確かに言われてみるとそうだわ。彼と恋人になって私も変わった部分がある。今までなら恥ずかしくて「そんなことありません!」なんて反論してたかもしれない。

「それは……だって龍一さんに愛されて幸せだから。だからもっと幸せなことがしたいんです」
「それを聞けて良かった。トモヨさんは素直で可愛いし俺のことが大好きで、俺はそれが分かってすごく幸せだ」

何度も口づけをされて唇から溶け合って一つになりそうなくらい身を寄せ合う。

「俺の好きにしていいって言葉、まだ無効でなければベッドに移動していいですか。今すぐ抱き締めてめちゃくちゃに可愛がってあげたい。トモヨさんも遠慮せず俺にいっぱい甘えてほしい」

私はすでにそうされてるなんて言わず、返事の代わりにキスをした。逃げたりしないのに彼はしっかりと私を抱えてそのまま寝室に運んでくれた。

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