75 / 105
合コンを開いてみた。
しおりを挟む
合コン当日。
場所はモモさんたちがいつも利用しているという駅にあるチェーン居酒屋の2階の大きい個室を予約しておいた。
私と龍一さんがお付き合いしているから幹事として参加しているだけで異性との出会いは求めていないことは参加している人達にあらかじめ伝えてある。
あくまで龍一さんの同僚の人のための合コンなので龍一さんがモテたりしないようにするため私が考えた策だった。
モモちゃんが呼んでくれた友だちや私達の会社の支社の女性達が乗り気で参加を希望し予想以上に増え、男性の人数合わせで支社の男性も呼ばれており、なぜか八津野目までいる。
彼も独身ですけども私のことすっごく嫌っているはず。なのに何で私が幹事をしている合コンに来たのか謎すぎるわ。
「ごめんなさい、遅れちゃいました」
待ち合わせ時刻に全員が揃っていて始めようかと席に座っていたのだけど見知らぬ女性が挨拶しながら入ってきた。
「あれれ。黒原さん?どうしたんですか?今日、忙しいって……」
口調はおだやかだけどモモちゃんが驚いて聞いている。支社の女性達の表情がツンと張り詰める。
「友井君達に『黒原さんもおいでよ~』って誘われたんですぅ。お邪魔でしたかぁ?」
支社の女性達の視線が支社の男性たちに注がれるけど彼らは気づいていないのか黒原さんという女の子を見てデレっとした顔をしている。
「人数が多いほうが楽しいですからありですよね!ね、長山先生!」
「あー、えー、そう、ですね。多分。皆さんもそう言うならいいのかと……合コンは二回目なので分かりませんが」
予定していなかった参加者が増えて龍一さんも困っている。せっかく来たのだからと皆は否定することなく彼女のために席を開けた。
私は支社の男性に挟まれて座る黒原という子を見つめる。なんていうか可愛さにすきがない。
彼女は肩までの髪は染めてはいないのだろう天然っぽい茶色の髪をゆるくカールさせてピンクのカチューシャを付けていた。化粧はナチュラルで顔立ちも可愛い系。服もワンピースで露出が多い服装じゃないのに胸の膨らみが強調されて見えた。
私は思わず隣の龍一さんのスーツの裾をぎゅうっと握った。
「はい、それでは皆さん揃ったようなので飲みましょうか。カンパーイ」
それを合図と思ったみたいで龍一さんが烏龍茶が入ったジョッキを持ち上げるので皆もそれに合わせて乾杯をする。
合コンはたまに女性陣が龍一さんにアプローチしようとするのでそれとなく妨害しつつ、モモちゃんのサポートを受けながら司会をしたり空気を和ますことに専念した。
「飲み物、追加頼みましょうか?店員さん呼びますけど他に一緒に注文するものありますか」
「じゃあこっちはレモンサワー追加」
「こっち生中2本と唐揚げ!」
「私、チーズ餅、お願いします」
私のかけた声で注文したいものを答えてもらい、忘れないようメモして店員さんを呼んで注文する。
料理や飲み物が届いたら量が多いし、店員さんに混じって配る。
「すいません。ありがとうございます」
「こちらこそありがとうございます。いっぱい頼んでますし手伝います」
わざわざ二階まで上がってもらってるからとついつい手伝いの手を出してしまう私。だって店員の女の子がミサキに似てたのもあるし。
「はい、ビールです」
「店員でもないのに給仕なんて恥ずかしげもなくよくやるもんだ」
注文した人が違うから油断してたわ。八津野目にビール出してしまったからといって笑った顔を引っ込める訳にもいかない。
「社長の奥様仕込みなんですよ」
私は営業スマイルで答えるけど彼の表情が変わることはない。まあお互いに嫌いだし当然なんだけど。
ササッと場所を移動して適当に話に混ざっていく私。その度に八津野目の視線を感じたけど気づかないふりをした。
他の人と喋る私を目で追う必要は八津野目には無いでしょうに。そんな風にイラつきながら仕事の愚痴や恋愛の話を聞いていた私だけど、行く先々で話しかけられて龍一さんのところに戻るタイミングがつかめなくて一番遠い場所まで来てしまった。
龍一さんの方を見ていると黒原さんが彼の手に触れたことに気がついた
(あっ!)
声を上げそうになるのを抑え込む。龍一さんの手がすぐに黒原さんの手から逃げるように引っ込んだのを見て安心したけど、あの子が龍一さんに対して好意を抱いているのは間違いないと思う。だって黒原さんの目が獲物を見つけた肉食獣みたいになっていた。
このままでは龍一さんが危ないと私は焦りだす。彼は私だけって言ってくれたし、次の休みは一緒に指輪を受け取りに行こうって約束してるけど、黒原さんの様子では可愛いだけじゃない百戦錬磨の猛者の空気が漂っていた。
場所はモモさんたちがいつも利用しているという駅にあるチェーン居酒屋の2階の大きい個室を予約しておいた。
私と龍一さんがお付き合いしているから幹事として参加しているだけで異性との出会いは求めていないことは参加している人達にあらかじめ伝えてある。
あくまで龍一さんの同僚の人のための合コンなので龍一さんがモテたりしないようにするため私が考えた策だった。
モモちゃんが呼んでくれた友だちや私達の会社の支社の女性達が乗り気で参加を希望し予想以上に増え、男性の人数合わせで支社の男性も呼ばれており、なぜか八津野目までいる。
彼も独身ですけども私のことすっごく嫌っているはず。なのに何で私が幹事をしている合コンに来たのか謎すぎるわ。
「ごめんなさい、遅れちゃいました」
待ち合わせ時刻に全員が揃っていて始めようかと席に座っていたのだけど見知らぬ女性が挨拶しながら入ってきた。
「あれれ。黒原さん?どうしたんですか?今日、忙しいって……」
口調はおだやかだけどモモちゃんが驚いて聞いている。支社の女性達の表情がツンと張り詰める。
「友井君達に『黒原さんもおいでよ~』って誘われたんですぅ。お邪魔でしたかぁ?」
支社の女性達の視線が支社の男性たちに注がれるけど彼らは気づいていないのか黒原さんという女の子を見てデレっとした顔をしている。
「人数が多いほうが楽しいですからありですよね!ね、長山先生!」
「あー、えー、そう、ですね。多分。皆さんもそう言うならいいのかと……合コンは二回目なので分かりませんが」
予定していなかった参加者が増えて龍一さんも困っている。せっかく来たのだからと皆は否定することなく彼女のために席を開けた。
私は支社の男性に挟まれて座る黒原という子を見つめる。なんていうか可愛さにすきがない。
彼女は肩までの髪は染めてはいないのだろう天然っぽい茶色の髪をゆるくカールさせてピンクのカチューシャを付けていた。化粧はナチュラルで顔立ちも可愛い系。服もワンピースで露出が多い服装じゃないのに胸の膨らみが強調されて見えた。
私は思わず隣の龍一さんのスーツの裾をぎゅうっと握った。
「はい、それでは皆さん揃ったようなので飲みましょうか。カンパーイ」
それを合図と思ったみたいで龍一さんが烏龍茶が入ったジョッキを持ち上げるので皆もそれに合わせて乾杯をする。
合コンはたまに女性陣が龍一さんにアプローチしようとするのでそれとなく妨害しつつ、モモちゃんのサポートを受けながら司会をしたり空気を和ますことに専念した。
「飲み物、追加頼みましょうか?店員さん呼びますけど他に一緒に注文するものありますか」
「じゃあこっちはレモンサワー追加」
「こっち生中2本と唐揚げ!」
「私、チーズ餅、お願いします」
私のかけた声で注文したいものを答えてもらい、忘れないようメモして店員さんを呼んで注文する。
料理や飲み物が届いたら量が多いし、店員さんに混じって配る。
「すいません。ありがとうございます」
「こちらこそありがとうございます。いっぱい頼んでますし手伝います」
わざわざ二階まで上がってもらってるからとついつい手伝いの手を出してしまう私。だって店員の女の子がミサキに似てたのもあるし。
「はい、ビールです」
「店員でもないのに給仕なんて恥ずかしげもなくよくやるもんだ」
注文した人が違うから油断してたわ。八津野目にビール出してしまったからといって笑った顔を引っ込める訳にもいかない。
「社長の奥様仕込みなんですよ」
私は営業スマイルで答えるけど彼の表情が変わることはない。まあお互いに嫌いだし当然なんだけど。
ササッと場所を移動して適当に話に混ざっていく私。その度に八津野目の視線を感じたけど気づかないふりをした。
他の人と喋る私を目で追う必要は八津野目には無いでしょうに。そんな風にイラつきながら仕事の愚痴や恋愛の話を聞いていた私だけど、行く先々で話しかけられて龍一さんのところに戻るタイミングがつかめなくて一番遠い場所まで来てしまった。
龍一さんの方を見ていると黒原さんが彼の手に触れたことに気がついた
(あっ!)
声を上げそうになるのを抑え込む。龍一さんの手がすぐに黒原さんの手から逃げるように引っ込んだのを見て安心したけど、あの子が龍一さんに対して好意を抱いているのは間違いないと思う。だって黒原さんの目が獲物を見つけた肉食獣みたいになっていた。
このままでは龍一さんが危ないと私は焦りだす。彼は私だけって言ってくれたし、次の休みは一緒に指輪を受け取りに行こうって約束してるけど、黒原さんの様子では可愛いだけじゃない百戦錬磨の猛者の空気が漂っていた。
0
お気に入りに追加
86
あなたにおすすめの小説

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
隣の家に住むイクメンの正体は龍神様でした~社無しの神とちびっ子神使候補たち
鳴澤うた
キャラ文芸
失恋にストーカー。
心身ともにボロボロになった姉崎菜緒は、とうとう道端で倒れるように寝てしまって……。
悪夢にうなされる菜緒を夢の中で救ってくれたのはなんとお隣のイクメン、藤村辰巳だった。
辰巳と辰巳が世話する子供たちとなんだかんだと交流を深めていくけれど、子供たちはどこか不可思議だ。
それもそのはず、人の姿をとっているけれど辰巳も子供たちも人じゃない。
社を持たない龍神様とこれから神使となるため勉強中の動物たちだったのだ!
食に対し、こだわりの強い辰巳に神使候補の子供たちや見守っている神様たちはご不満で、今の現状を打破しようと菜緒を仲間に入れようと画策していて……
神様と作る二十四節気ごはんを召し上がれ!

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる