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ダダ漏れしてました。
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もうすっかり身に染み込んでしまった龍一さんと電話で話す夜の時間。
昨日は卵焼きを褒めてもらいデレデレと笑った顔をミサキに目撃されたので今日はそんなことがないよう顔の筋肉を引き締める。
『ども、トモヨさん。あの、お願いというか頼みたいことがあるんですけど怒らずに聞いてもらえますか』
「え、はい、どうしましたか」
今日は龍一さんの声が消え入りそうなものだったから彼に何か悪いことがあったかと不安になった。
『実はトモヨさんの友人を招いて合コンをして欲しいと人に頼まれまして……駄目ならいいんです。俺がちゃんと断りますから』
私の友達というか、ミサキの学校関係つながりで年上のママさんなら知り合いが多い私。既婚者を合コンに呼ぶわけにはいかないから、合コンに呼んでくれたモモさんに頼んだら彼女の友だちを呼んでもらえるかしら?
「ちょっと集まってもらえるか聞いてみないと分からないので返事は待ってもらっていいですか?でも私は独身の友達が少ないから自信ないですよ」
『ありがとうございます。無理ならハッキリ俺が断るので大丈夫ですよ。ただ、合コンをするならトモヨさんや俺も参加したほうがいいんでしょうか』
そう聞かれると私と龍一さんは婚約している仲だから合コンに参加しない方が良いとは思う。でも今回は私達が主催になるのよね。幹事になる必要もあるわよね?
「えっと、そこも詳しそうな人に聞いておきますね」
『分かりました。こんな事を頼んですみませんが宜しくお願いします』
「龍一さん
本当は合コンを断って欲しいって言いたいけど断ってもらうと頼んできた人と気まずいわよね。でも龍一さん、モテるし、格好良いから合コンで人気になったら可愛い子達に私なんか太刀打ち出来ないし。それに私が女の子達に嫉妬してヤキモチ焼いて、それが束縛に感じられてお別れってパターンになったら私は立ち直れないわ
」
『俺はトモヨさん以外の女性と付き合うことなんて考えたことないです。それだけは誤解しないで下さい』
私の気持ちを見透かされたように優しい声で言われてしまった。「ああ、本当に大好き、この人のことが好きすぎて胸が苦しい。この人が私の彼氏で婚約者って自慢して回りたい」
『でもそう言って嫉妬してもらえるのは嬉しいって思う俺って変ですよね。トモヨさんになら束縛されてもいいです。もっと俺のことが好きなのを伝えて甘えてきて欲しいくらいです』
そこまで私の考えが伝わるなんて……まるで心の声を口にしたみたいに。
「あの、まさか、私、もしかして……口に出してましたか?」
恐る恐る聞いた私に返ってきたのはクックッと押し殺すような笑い声だった。
『俺もトモヨさんのこと愛しています。自慢の彼女です。もっと気持ちを聞きたいですが、今夜はこれだけで我慢するので安心してください。それじゃ、また明日。おやすみなさい』
「おやすみなさ……」
通話が切れたスマホに向かって呟いた挨拶が途中で止まる。そして自分の口元に手を当てた。
(もしかしなくても心の中で思っていたことを全部、声に出してるじゃないの)
恥ずかしさのあまり私は枕に顔を埋めてベッドの上をゴロンゴロン転がってしまった。きっと私の奇行を寝室へくるだろうミサキに見せるに違いないのに止められない。
「お姉ちゃん、何やってんの。そんなに寝相悪かったっけ?」
ゴロゴロと転がりすぎたせいでベッドの上で頭と足の向きが逆転してしまっている。恥ずかしさに慌てて布団の中に潜り込んだけど後の祭り。
妹のミサキが呆れた様子でため息をついた音が聞こえた。
「お姉ちゃん、この頃、どうしたの。落ち込んだり急に機嫌が良くなったりと情緒不安定すぎじゃない?何かあった?」
私、普通にしていても笑っている顔をしているからある意味、ポーカーフェイスでそこまで分かりやすい性格をしているつもりはなかった。だけど龍一さんと付き合ってから感情が顔どころか全身から表に出やすくて困ってしまう。
特に今のように恋愛関係で悩んでいる時はミサキに見抜かれてしまうことが多い気がする。
「うん、まあ、ちょっとね。実はーー」
隠す理由もなかったから布団から顔を出して合コンの話をしてみた。
「へー、先生がそんなことお姉ちゃんに頼んだんだ…ふーん……」
ミサキの表情が悪代官みたいになっている。これは何か悪いことを考えている。
「別に浮気とかじゃないのよ。私も龍一さんがそんな人じゃないの分かってるし。一緒に私も顔を出すかもしれないから留守番をミサキに任せるかも。その時はよろしくね」
「はーい。お土産よろしくね」
ミサキの素直すぎる返事にちょっと心配になった私だった。
昨日は卵焼きを褒めてもらいデレデレと笑った顔をミサキに目撃されたので今日はそんなことがないよう顔の筋肉を引き締める。
『ども、トモヨさん。あの、お願いというか頼みたいことがあるんですけど怒らずに聞いてもらえますか』
「え、はい、どうしましたか」
今日は龍一さんの声が消え入りそうなものだったから彼に何か悪いことがあったかと不安になった。
『実はトモヨさんの友人を招いて合コンをして欲しいと人に頼まれまして……駄目ならいいんです。俺がちゃんと断りますから』
私の友達というか、ミサキの学校関係つながりで年上のママさんなら知り合いが多い私。既婚者を合コンに呼ぶわけにはいかないから、合コンに呼んでくれたモモさんに頼んだら彼女の友だちを呼んでもらえるかしら?
「ちょっと集まってもらえるか聞いてみないと分からないので返事は待ってもらっていいですか?でも私は独身の友達が少ないから自信ないですよ」
『ありがとうございます。無理ならハッキリ俺が断るので大丈夫ですよ。ただ、合コンをするならトモヨさんや俺も参加したほうがいいんでしょうか』
そう聞かれると私と龍一さんは婚約している仲だから合コンに参加しない方が良いとは思う。でも今回は私達が主催になるのよね。幹事になる必要もあるわよね?
「えっと、そこも詳しそうな人に聞いておきますね」
『分かりました。こんな事を頼んですみませんが宜しくお願いします』
「龍一さん
本当は合コンを断って欲しいって言いたいけど断ってもらうと頼んできた人と気まずいわよね。でも龍一さん、モテるし、格好良いから合コンで人気になったら可愛い子達に私なんか太刀打ち出来ないし。それに私が女の子達に嫉妬してヤキモチ焼いて、それが束縛に感じられてお別れってパターンになったら私は立ち直れないわ
」
『俺はトモヨさん以外の女性と付き合うことなんて考えたことないです。それだけは誤解しないで下さい』
私の気持ちを見透かされたように優しい声で言われてしまった。「ああ、本当に大好き、この人のことが好きすぎて胸が苦しい。この人が私の彼氏で婚約者って自慢して回りたい」
『でもそう言って嫉妬してもらえるのは嬉しいって思う俺って変ですよね。トモヨさんになら束縛されてもいいです。もっと俺のことが好きなのを伝えて甘えてきて欲しいくらいです』
そこまで私の考えが伝わるなんて……まるで心の声を口にしたみたいに。
「あの、まさか、私、もしかして……口に出してましたか?」
恐る恐る聞いた私に返ってきたのはクックッと押し殺すような笑い声だった。
『俺もトモヨさんのこと愛しています。自慢の彼女です。もっと気持ちを聞きたいですが、今夜はこれだけで我慢するので安心してください。それじゃ、また明日。おやすみなさい』
「おやすみなさ……」
通話が切れたスマホに向かって呟いた挨拶が途中で止まる。そして自分の口元に手を当てた。
(もしかしなくても心の中で思っていたことを全部、声に出してるじゃないの)
恥ずかしさのあまり私は枕に顔を埋めてベッドの上をゴロンゴロン転がってしまった。きっと私の奇行を寝室へくるだろうミサキに見せるに違いないのに止められない。
「お姉ちゃん、何やってんの。そんなに寝相悪かったっけ?」
ゴロゴロと転がりすぎたせいでベッドの上で頭と足の向きが逆転してしまっている。恥ずかしさに慌てて布団の中に潜り込んだけど後の祭り。
妹のミサキが呆れた様子でため息をついた音が聞こえた。
「お姉ちゃん、この頃、どうしたの。落ち込んだり急に機嫌が良くなったりと情緒不安定すぎじゃない?何かあった?」
私、普通にしていても笑っている顔をしているからある意味、ポーカーフェイスでそこまで分かりやすい性格をしているつもりはなかった。だけど龍一さんと付き合ってから感情が顔どころか全身から表に出やすくて困ってしまう。
特に今のように恋愛関係で悩んでいる時はミサキに見抜かれてしまうことが多い気がする。
「うん、まあ、ちょっとね。実はーー」
隠す理由もなかったから布団から顔を出して合コンの話をしてみた。
「へー、先生がそんなことお姉ちゃんに頼んだんだ…ふーん……」
ミサキの表情が悪代官みたいになっている。これは何か悪いことを考えている。
「別に浮気とかじゃないのよ。私も龍一さんがそんな人じゃないの分かってるし。一緒に私も顔を出すかもしれないから留守番をミサキに任せるかも。その時はよろしくね」
「はーい。お土産よろしくね」
ミサキの素直すぎる返事にちょっと心配になった私だった。
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