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ミサキの心配 2
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妖精が見える人がいる。しかもそれがうちの副担任だったとは。私はもっと早く言って欲しかった気持ちもあってつい不満そうな顔をしてしまう。するとそれを察知したミールがフォローを入れた。
「姉貴がデートの日でもちゃんと夕食前に帰ってるのは副担が家に帰してるからだぞ。高校生のミサキが一人で夜の留守番してるのは危ないってな。学校で贔屓どころか話しかけないのもミサキが他の生徒や先生から余計な詮索を受けないようにしてるからだろ。最近のいじめはエグいからな~。副担はミサキごと姉貴を大事にしている証拠だよ」
ミールにそう言われたら私も少しは納得できる。先生は先生でお姉ちゃんや私のために色々と考えていたのだと知って嬉しくなった。
「へえ。じゃあ、ミールにお姉ちゃんの幸せを頼んで正解だったんだ。お姉ちゃんを大事にしてくれる良い人を見つけてもらったし」
「おっ。やっと俺様の魅力がわかったか。盛大に称えてくれていいぞ」
「うんうん、ミールってばすごいわよ」
私の言葉を聞いたミールが胸を張って威張っていたけど、すぐに私の方をじっと見てきた。私が不思議に思って首を傾げているのを見て、ミールは目を閉じながら大きなため息をついた。
「お前、やっぱり全然分かってねえ」
「はぁ?」
「お前のその態度は俺様に魅力を感じていないと言っているようなものだからな!」
「感じてるって!ほら、いつもお菓子とかいっぱいあげてるじゃん。あ、ミールが好きなクッキー、持ってきてるよ」
今日のおやつに持ってきたクッキーをお弁当が入ってたバッグから取り出して渡してあげたのにその顔はとても悲しげで今にも泣き出しそうだ。
「なんでクッキーをあげるのに悲しい顔してるのよ」
「は~、ミサキの鈍感さは姉貴の察する力と天と地の差だな。副担より超鈍感だ。亀のほうが気づくの早いぞ。ミサキは世界一鈍感だ」
そこまで言うことないと思うんだけど。ミールが言いたい事がわからず、ちょっとムカついて黙り込んだままミールの顔を見ると今度は困ったような表情をしていた。ミールはしばらく考え込むようにうーんと悩み、ようやく思いついたのかパッと笑顔になったけど私からしたらさっきまでの落ち込んだ様子は芝居に思えて仕方がなかった。
「あのな。俺はお前を幸せにするために一緒にいる」
「そりゃあ……」
ミールが願いを叶えてくれるからお姉ちゃんが幸せになるよう頼んだし、試験のためでなきゃミールもこんなに一緒に居ないでしょ。そう言おうとしたが遮るようにミールが言葉を続ける。
「ミサキ。お前さえ望めば」
ミールの言葉に被るように学校のチャイムがなった。校門が閉まる10分前の合図がなったので私は慌てて立ち上がる。
「やばっ、閉門のチャイムがなったし早く帰ろう。」
私は急いでお菓子を片付けて立ち上がった。その時だ。目の前に黒い霧が現れ始めた。
それはどんどん大きくなって人の形をしていった。そしてその人は私たちの前に現れた。
「姉貴がデートの日でもちゃんと夕食前に帰ってるのは副担が家に帰してるからだぞ。高校生のミサキが一人で夜の留守番してるのは危ないってな。学校で贔屓どころか話しかけないのもミサキが他の生徒や先生から余計な詮索を受けないようにしてるからだろ。最近のいじめはエグいからな~。副担はミサキごと姉貴を大事にしている証拠だよ」
ミールにそう言われたら私も少しは納得できる。先生は先生でお姉ちゃんや私のために色々と考えていたのだと知って嬉しくなった。
「へえ。じゃあ、ミールにお姉ちゃんの幸せを頼んで正解だったんだ。お姉ちゃんを大事にしてくれる良い人を見つけてもらったし」
「おっ。やっと俺様の魅力がわかったか。盛大に称えてくれていいぞ」
「うんうん、ミールってばすごいわよ」
私の言葉を聞いたミールが胸を張って威張っていたけど、すぐに私の方をじっと見てきた。私が不思議に思って首を傾げているのを見て、ミールは目を閉じながら大きなため息をついた。
「お前、やっぱり全然分かってねえ」
「はぁ?」
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「感じてるって!ほら、いつもお菓子とかいっぱいあげてるじゃん。あ、ミールが好きなクッキー、持ってきてるよ」
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「なんでクッキーをあげるのに悲しい顔してるのよ」
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そこまで言うことないと思うんだけど。ミールが言いたい事がわからず、ちょっとムカついて黙り込んだままミールの顔を見ると今度は困ったような表情をしていた。ミールはしばらく考え込むようにうーんと悩み、ようやく思いついたのかパッと笑顔になったけど私からしたらさっきまでの落ち込んだ様子は芝居に思えて仕方がなかった。
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「そりゃあ……」
ミールが願いを叶えてくれるからお姉ちゃんが幸せになるよう頼んだし、試験のためでなきゃミールもこんなに一緒に居ないでしょ。そう言おうとしたが遮るようにミールが言葉を続ける。
「ミサキ。お前さえ望めば」
ミールの言葉に被るように学校のチャイムがなった。校門が閉まる10分前の合図がなったので私は慌てて立ち上がる。
「やばっ、閉門のチャイムがなったし早く帰ろう。」
私は急いでお菓子を片付けて立ち上がった。その時だ。目の前に黒い霧が現れ始めた。
それはどんどん大きくなって人の形をしていった。そしてその人は私たちの前に現れた。
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