現代乙女ゲー世界に転生したら主人公のモブな社会人な姉でしたがゲームに出ない陰気な先生に溺愛されました。

からどり

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幸せなひととき

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日曜日。
ネットでいくつかブライダルリングを取り扱っている店の候補リストまとめてくれていて、龍一さんの運転でお店に行った。
3件目で指輪自体はシンプルなプラチナリングにして、外側にダイヤ、もしくは好きな宝石を、内側にメッセージをかけて十数種類の宝石の中から希望する宝石を一つ入れてくれるものにした。

「龍一さんは、この中で好きな宝石ってありますか?」

リングにつける宝石を選ぶため写真を見てもうらけど龍一さんは難しそうに首をかしげた。

「俺はアクセサリーのことは分からないのでトモヨさんの好きな宝石を選んください」
「じゃあ、そうですね。この宝石を彼側で、この宝石を私側につけてもらいたいんですけど」
「かしこまりました。こちらの宝石を男性側の方に、こちらは女性側の方にそれぞれお取り付けいたしますね」

龍一さんの指輪も私の指輪も外側はダイヤにしてもらった。内側は龍一さんの指輪には私の誕生石、私の指輪には龍一さんの誕生石を入れてもらうことにした。必要な書類を書いたり、リングのサイズや内容を確認したりなどが終わって私と龍一さんの指輪選びは午前中で終わった。
セミオーダーメイドなので一ヶ月くらいかかるそうだけど、出来上がりがとても楽しみになった。

「この後、時間はありますか?」

帰りの車の中で聞かれて私はうなずいた。

「ええ、今日は一日がかりだと思ってたんで時間はまだまだありますよ」
「じゃあ、俺の部屋にまた来ませんか」

龍一さんの部屋。あの日の事を思い出して顔が熱くなってしまう。

「どうですか?もし嫌なら別のところでもいいですけど・・・」

私が黙ったままだったので不安になってしまったらしい。慌てて私は否定した。

「いえ!行きます!」
「良かった。じゃあ、俺の家に」

意識しあって口数が少なくなってしまう私と龍一さん。でも、私の心は龍一さんと一緒にいられることが嬉しくて胸が一杯だった。

*******

車を駐車場にとめて龍一さんのマンションに入る直前のことだった。

「すいません。ちょっと忘れ物をとってきます。これ、俺の部屋の鍵」

差し出されたのは龍一さんの部屋の鍵。私はドキドキしながら鍵を受け取った。

「先に上がって待っててください。俺もすぐに行きますから」
「じゃあ、先にお部屋にあがらせてもらいますね」
「俺が上に上がるとき、下でインターフォンを鳴らすんで、受話器のそばにボタンがあるんで押して一階のドアをあけてください」
「はい」

私は龍一さんといったん別れて彼の鍵を使ってオートロックの一階の共用玄関のドアを開き、龍一さんの部屋に向かった。

*龍一の部屋*
一人で龍一さんの部屋にいるとなんだか女の子の部屋にいるような感覚になってしまう。だけど龍一さんの匂いがして愛おしさがこみ上げてきてしまうのでクッションを膝に抱えてソファの背にもたれる。

(龍一さん、まだかな。駐車場、ちょっと遠いのよね。)
テーブルの上には週刊誌が置いてあり、暇つぶしにそれを読もうとしたときだった。

――コンコン。

玄関のほうから音が聞こえてきた。
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