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二人で迎える朝
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私までいつの間にか寝ていて「ごはんですよ~」と階下から呼ぶ声で目を覚ました。
目の前には気持ち良さそうに寝ている龍一さん。
私達は畳の上で横になっていたはずなのに、いつのまにか布団の中に入っていた。せっかく一緒なので布団からでるのがもったいなくて横になったまま彼の体を揺すった。
「龍一さん、起きてください。朝ご飯できたそうですよ」
「ん……あ、トモヨさん。おはようございます」
「はい、おはようございます。昨夜はありがとうございました」
「いえ、こちらこそ。トモヨさん、とても可愛かった」
「あ、あー、そ、その、えと、(まだ何も起きてない、はず、よね。)」
こっそりちゃんと自分がズボンや下着を履いているか確認する。まだ脱がされた形跡がなくてホッとしつつもガッカリな気持ちで朝からイヤラシイ自分が恥ずかしい。
「目がさめたらちゃんとトモヨさんがいて安心しました。布団に一緒に入って、可愛い寝顔を見ていたら夢なんじゃないかと思って」
「ね、寝顔なんて、私のみても可愛いも向いてのじゃないんじゃ」
どうしよう。寝ている時に限って目が大きく開いて白目向いていたり、ヨダレが出ていたりしたのを見られていたら。
「あ、そうだ。トモヨさん、左手出して」
「え? あ、はい」
言われるままに手を出すと、龍一さんは私の手を両手で包むようにして持ちあげてキスをした。
「え?」
「あ、あー、あの、これはですね。あの、俺の決意表明というかなんといいますか」
「え、えっと?」
「結婚するまでにトモヨさんがお嫁さんになれて幸せだって思ってもらえる男になります。俺のこと好きになってくれるように頑張ります」
「龍一さん。ずっと前からずーっと好きですよ」
「トモヨさん」
龍一さんは私の言葉を聞くなりぎゅっと抱きついてきた。でも、私はそれが嬉しい。
「龍一さん、大好きです」
「俺もです。俺もトモヨさんのことが大好きだ」
「ふふっ、知っていますよ」
「あ、あの、トモヨさん。その、もし良かったらなんですが……」
「奥様ー!なんですかこの棚は!ドアを塞いで!坊ちゃま達、これじゃあ出てこれませんよ!」
「あーー!ごっめーん!昨日の夜、わざと置いてたのー!」
いつの間にか二階にあがって来たらしいお手伝いの百合子さんの声。龍一さんのお母様の声も聞こえてムードが台無しになってしまった。
「あの、えっと、朝食食べに行きましょうか」
「そ、そうですね」
二人で布団から出て苦笑しながら部屋を出る。塞がれていたドアは向こう側に置かれていたものが片付けられていてアッサリと開くようになった。私達が一階に降りると、龍一さんのお母さんが目を輝かせていた。多分、10ヶ月後に孫の顔を見れると期待されているわ。
「おはようございます」
「トモヨちゃん、龍一をよろしくね。こんな息子だけど見捨てないでやってちょうだい」
「お母様、逆ですよ。私の方が龍一さんにフラれないようがんばります」
すごく強烈な出来事もあったけれど無事に龍一さんの家族にご挨拶が出来た一泊二日だった。
目の前には気持ち良さそうに寝ている龍一さん。
私達は畳の上で横になっていたはずなのに、いつのまにか布団の中に入っていた。せっかく一緒なので布団からでるのがもったいなくて横になったまま彼の体を揺すった。
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「はい、おはようございます。昨夜はありがとうございました」
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「ね、寝顔なんて、私のみても可愛いも向いてのじゃないんじゃ」
どうしよう。寝ている時に限って目が大きく開いて白目向いていたり、ヨダレが出ていたりしたのを見られていたら。
「あ、そうだ。トモヨさん、左手出して」
「え? あ、はい」
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「あ、あー、あの、これはですね。あの、俺の決意表明というかなんといいますか」
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「龍一さん。ずっと前からずーっと好きですよ」
「トモヨさん」
龍一さんは私の言葉を聞くなりぎゅっと抱きついてきた。でも、私はそれが嬉しい。
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「俺もです。俺もトモヨさんのことが大好きだ」
「ふふっ、知っていますよ」
「あ、あの、トモヨさん。その、もし良かったらなんですが……」
「奥様ー!なんですかこの棚は!ドアを塞いで!坊ちゃま達、これじゃあ出てこれませんよ!」
「あーー!ごっめーん!昨日の夜、わざと置いてたのー!」
いつの間にか二階にあがって来たらしいお手伝いの百合子さんの声。龍一さんのお母様の声も聞こえてムードが台無しになってしまった。
「あの、えっと、朝食食べに行きましょうか」
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「おはようございます」
「トモヨちゃん、龍一をよろしくね。こんな息子だけど見捨てないでやってちょうだい」
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すごく強烈な出来事もあったけれど無事に龍一さんの家族にご挨拶が出来た一泊二日だった。
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