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龍一家 2
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時間がくると百合子さんは帰り、残ったのは龍一さんの家族と私のみ。
龍一さんの隣でテーブルにつく。服装が統一されてないからすごくごちゃまぜ感が漂う場所になっている気がするけど大丈夫かな。
「じゃあ、秀一は遅れてくるから先に焼肉はじめちゃいましょう。じゃあ、皆、飲み物持って~……カンパーイ!」
龍一さんのお母様の乾杯の音頭で二台のホットプレートで焼肉が始まった。
******
性格も外見も全く違う人達が集まるとすごく賑やかだった。
「きゃあん、こんなにいっぱい食べられないぃ」
リリアさんがそう言うと『何言ってるの?』みたいな顔をするあおいさん。
「リリちゃんは少食だからな~。無理するなよ」
龍一さんとはあまり似ていない、どちらかといえばお母様似の光一さんがニコニコしている。
私はリリアさんがガッツリお肉を食べているのを見て、少食の定義を考えてしまった。それくらいリリアさんはパクパク食べている。
「えへへ~、光ちゃん、私、お腹空いたぁ」
「はい、あーんしてあげる」
「あーんっ……美味しい~♡」
なんかすごいわ。この二人。でも、リリアさん可愛い。可愛い系の女子力が高いと沢山食べても少食に見えるなんて得だわ。私が同じことしても少食に見えないし可愛くもないわ。
「おいひぃ~。もっとちょーらい?」
「いいぞぉ。ほら、どんどん食べて~」
「わあい。ありがと~」
「ちょっと、あなた達、少しはお肉を遠慮しなさいよ。ママが目をつけてたお肉が消えていくじゃないの」
「あ、光ちゃん。これまだ焼けてないよ~。こんなの入れちゃメッ」
「ありがと~。リリちゃんが見つけてなかったら気づかなかった~」
「もう、光ちゃんったら~」
うん。この二人すごいわ。二人の世界に浸りすぎて誰も入れない。龍一さんのお母様が最後に諦めたのも分かるわ。これじゃあ、どうやってもお話できないわ。
苛立ちのためかあおいさんがビールを飲むスピードが早い。あの二人の世界に入るのは難しいから、まずはあおいさんとは仲良くなろうと私は席を立つ。
「あ、トモヨさん、あおいさんは……」
龍一さんがなにかを言ったけどお母様が「ぎゃー!私の塩タン!」って叫ぶ声で聞き取れなかった。
「あおいさん、良ければ一杯、お酌させてください」
座るための椅子とビール瓶を持って彼女の隣に座るとちょっと嬉しそうに笑ってくれた。
「あら、いいの?じゃあ、注いで貰おうかしら」
「はい、どうぞ」
グラスにトクトクと黄金色の液体を注ぎ入れる。ふわりと香ってくるアルコール臭。ビールの味や匂いって、やっぱり慣れないな。
「ありがとう。……はい、あなたの分も」
「あ、はい。いただきます」
あおいさんの注いだビールを口に入れる。うーん。苦い。私はビールってあんまり飲めないんだよね……。前に作ってもらったカクテルは甘くて美味しかったからスイスイ飲めたけど。
「ねえ、うちってとっつきにくい?」
ん?うち?
「えっとあおいさんは凛々しい感じで格好良いとおもいますよ」
「ほげんいうけど、みぃんな、うちのことぼっけえきょうてぇいうやないの。あんたさんもそやろね」
んんんんー?方言?でも、なんかヘン?
「あおいさんは引っ越し一家で、酔うと色んな方言が混じった話し方になるし絡み酒……」
「りゅう!ひどし!うちんどこか絡みおるよおお!ともよさんも思うとるかね!」
あ、龍一さんが言おうとしてたのはこのことね。素敵なお姉さんのイメージが崩壊してる。どうも私はミサキがいるせいか、今のあおいさんのように涙目の女性には優しくしてあげたくなってしまう。
「ごめんなさい。でも、その方が親しみやすくて私は好きですよ」
「……っ。もう、あんたはだらじ!だらじ!だらじー!」
あれれ、だらじって分からないけど怒ってるみたいだわ。私変なこと言ったかな。
「あーあ、兄ちゃん、帰って早々悪いけどあおい姉さん、なんとかしてよ」
光一さんの視線をたどるとドアのところに私でも分かる高いスーツを着たオールバックの男性が立っていた。『魔王』そう言ってしまいそうなほど龍一さんから眠気をとって、もっと鋭い目つきにして5年くらい歳をとらせたような人が長男の秀一さん。
「ほら、あおい。お酒にのまれるもんじゃない」
そういいながらあおいさんの頭をぽんぽんすると彼女の目がとろりとしてきて段々と閉じていった。
龍一さんの隣でテーブルにつく。服装が統一されてないからすごくごちゃまぜ感が漂う場所になっている気がするけど大丈夫かな。
「じゃあ、秀一は遅れてくるから先に焼肉はじめちゃいましょう。じゃあ、皆、飲み物持って~……カンパーイ!」
龍一さんのお母様の乾杯の音頭で二台のホットプレートで焼肉が始まった。
******
性格も外見も全く違う人達が集まるとすごく賑やかだった。
「きゃあん、こんなにいっぱい食べられないぃ」
リリアさんがそう言うと『何言ってるの?』みたいな顔をするあおいさん。
「リリちゃんは少食だからな~。無理するなよ」
龍一さんとはあまり似ていない、どちらかといえばお母様似の光一さんがニコニコしている。
私はリリアさんがガッツリお肉を食べているのを見て、少食の定義を考えてしまった。それくらいリリアさんはパクパク食べている。
「えへへ~、光ちゃん、私、お腹空いたぁ」
「はい、あーんしてあげる」
「あーんっ……美味しい~♡」
なんかすごいわ。この二人。でも、リリアさん可愛い。可愛い系の女子力が高いと沢山食べても少食に見えるなんて得だわ。私が同じことしても少食に見えないし可愛くもないわ。
「おいひぃ~。もっとちょーらい?」
「いいぞぉ。ほら、どんどん食べて~」
「わあい。ありがと~」
「ちょっと、あなた達、少しはお肉を遠慮しなさいよ。ママが目をつけてたお肉が消えていくじゃないの」
「あ、光ちゃん。これまだ焼けてないよ~。こんなの入れちゃメッ」
「ありがと~。リリちゃんが見つけてなかったら気づかなかった~」
「もう、光ちゃんったら~」
うん。この二人すごいわ。二人の世界に浸りすぎて誰も入れない。龍一さんのお母様が最後に諦めたのも分かるわ。これじゃあ、どうやってもお話できないわ。
苛立ちのためかあおいさんがビールを飲むスピードが早い。あの二人の世界に入るのは難しいから、まずはあおいさんとは仲良くなろうと私は席を立つ。
「あ、トモヨさん、あおいさんは……」
龍一さんがなにかを言ったけどお母様が「ぎゃー!私の塩タン!」って叫ぶ声で聞き取れなかった。
「あおいさん、良ければ一杯、お酌させてください」
座るための椅子とビール瓶を持って彼女の隣に座るとちょっと嬉しそうに笑ってくれた。
「あら、いいの?じゃあ、注いで貰おうかしら」
「はい、どうぞ」
グラスにトクトクと黄金色の液体を注ぎ入れる。ふわりと香ってくるアルコール臭。ビールの味や匂いって、やっぱり慣れないな。
「ありがとう。……はい、あなたの分も」
「あ、はい。いただきます」
あおいさんの注いだビールを口に入れる。うーん。苦い。私はビールってあんまり飲めないんだよね……。前に作ってもらったカクテルは甘くて美味しかったからスイスイ飲めたけど。
「ねえ、うちってとっつきにくい?」
ん?うち?
「えっとあおいさんは凛々しい感じで格好良いとおもいますよ」
「ほげんいうけど、みぃんな、うちのことぼっけえきょうてぇいうやないの。あんたさんもそやろね」
んんんんー?方言?でも、なんかヘン?
「あおいさんは引っ越し一家で、酔うと色んな方言が混じった話し方になるし絡み酒……」
「りゅう!ひどし!うちんどこか絡みおるよおお!ともよさんも思うとるかね!」
あ、龍一さんが言おうとしてたのはこのことね。素敵なお姉さんのイメージが崩壊してる。どうも私はミサキがいるせいか、今のあおいさんのように涙目の女性には優しくしてあげたくなってしまう。
「ごめんなさい。でも、その方が親しみやすくて私は好きですよ」
「……っ。もう、あんたはだらじ!だらじ!だらじー!」
あれれ、だらじって分からないけど怒ってるみたいだわ。私変なこと言ったかな。
「あーあ、兄ちゃん、帰って早々悪いけどあおい姉さん、なんとかしてよ」
光一さんの視線をたどるとドアのところに私でも分かる高いスーツを着たオールバックの男性が立っていた。『魔王』そう言ってしまいそうなほど龍一さんから眠気をとって、もっと鋭い目つきにして5年くらい歳をとらせたような人が長男の秀一さん。
「ほら、あおい。お酒にのまれるもんじゃない」
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