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映画デート
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映画を見に行く約束の土曜日。
私達はいつもの駅前で待ち合わせて龍一さんが運転する車で映画館に向かった。
今日は私と龍一さんが好きな作家の恋愛小説が原作の映画を観に来たのだ。
映画館に着くと私達はチケット売り場で前売り券を出して入場ゲートを通る。
席は運良く一番後ろの中央だった。
前の方もいいけど一番後ろだと映画館に来たって実感が湧く広さやスクリーンの大きさを感じられるので私は好きだった。
座席に座るとすぐに本編が始まった。
ストーリーはありがちな設定だけど、原作を読んでいた私はワクワクしながら見ていた。
主人公の女の子は高校を卒業したばかりで実家を離れて一人暮らしを始めたばかり。バイトをしながら大学に通い始めた彼女はある日、駅のホームで男性と出会う。
男性は優しくてイケメンで彼女好みの男性で、彼女の一目惚れから始まる恋物語だ。
そして二人はやがて付き合うようになるのだけど実は彼はある秘密を抱えていて、それが原因で彼女と別れてしまう。すれ違いは解決するけど・・・・・・という内容。
そんな原作を知っているけど映画オリジナルのストーリーとエンディングということで、新鮮な気持ちで映画を見ていると隣に座っている龍一さんの手が私に触れてきた。
二人の間に誤解が起きるシーンで不安なのか彼が指を絡めてきた。
映画以上にドキドキしてしまって彼の方に顔を向けると目が合った。愛おしいって表情を向けられた私は彼の肩に頭を預けた。映画のストーリーよりも、彼とこうして一緒にいることが何よりの幸せな時間だと思う。
映画が終わった。私は彼に感想を聞いてみた。
「映画、どうでしたか?」
「面白かったですよ。特にラストシーンが良かったですね。ヒロインの女の子はきっとまた彼を好きになると思います。なんていうか原作の二人が結ばれなかったから、映画はどちらにも取れるので結ばれて欲しいと思う俺の希望ですけど……」
「私もそう想います。だって好きって気持ち、あれで諦められるものじゃないと思うんですよ」
私は笑顔を浮かべながら返事をした。私も龍一さんに離れようって言われても諦められないもの。
そんなことを思いながら私達は劇場を出た。
「次はどこに行きましょうか。俺、昼の外出に慣れてなくて」
「じゃあ、お昼ご飯食べに行きませんか?そろそろいい時間になってきたし」
お腹がすいてきたなあって思ってスマホを見たら正午になりそうな時間帯になっていたからご飯に誘う。
「そう言われると腹が空いてきました」
そう言って笑いかけてくれる龍一さんに私も笑顔をかえした。
私達が向かったのはショッピングモール内にあるイタリアンレストランで、店内に入るとお客さんは少ないものの、それなりに賑わっていた。
「いらっしゃいま……せ……」
「えっ!?」
驚きで声を出した私。
「嘘でしょ」
店員の女の子が龍一さんを見て固まってしまった。龍一さんは驚いた顔で声も出せていない。
「なんでいるのよ!先生!」
「丸尾さんこそなんで……夏休みのバイト届けは出したのか」
厳しめの口調で問う龍一さんの横顔は学校の先生モードになっていた。店員の女の子はお茶会の時にいた丸尾仙次郎さんの妹みらいさん。そういえば彼女もミサキと同じ学校の子だったわ。
お茶会のときと化粧が違うせいか私には気がついていない様子。
私達はいつもの駅前で待ち合わせて龍一さんが運転する車で映画館に向かった。
今日は私と龍一さんが好きな作家の恋愛小説が原作の映画を観に来たのだ。
映画館に着くと私達はチケット売り場で前売り券を出して入場ゲートを通る。
席は運良く一番後ろの中央だった。
前の方もいいけど一番後ろだと映画館に来たって実感が湧く広さやスクリーンの大きさを感じられるので私は好きだった。
座席に座るとすぐに本編が始まった。
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そんな原作を知っているけど映画オリジナルのストーリーとエンディングということで、新鮮な気持ちで映画を見ていると隣に座っている龍一さんの手が私に触れてきた。
二人の間に誤解が起きるシーンで不安なのか彼が指を絡めてきた。
映画以上にドキドキしてしまって彼の方に顔を向けると目が合った。愛おしいって表情を向けられた私は彼の肩に頭を預けた。映画のストーリーよりも、彼とこうして一緒にいることが何よりの幸せな時間だと思う。
映画が終わった。私は彼に感想を聞いてみた。
「映画、どうでしたか?」
「面白かったですよ。特にラストシーンが良かったですね。ヒロインの女の子はきっとまた彼を好きになると思います。なんていうか原作の二人が結ばれなかったから、映画はどちらにも取れるので結ばれて欲しいと思う俺の希望ですけど……」
「私もそう想います。だって好きって気持ち、あれで諦められるものじゃないと思うんですよ」
私は笑顔を浮かべながら返事をした。私も龍一さんに離れようって言われても諦められないもの。
そんなことを思いながら私達は劇場を出た。
「次はどこに行きましょうか。俺、昼の外出に慣れてなくて」
「じゃあ、お昼ご飯食べに行きませんか?そろそろいい時間になってきたし」
お腹がすいてきたなあって思ってスマホを見たら正午になりそうな時間帯になっていたからご飯に誘う。
「そう言われると腹が空いてきました」
そう言って笑いかけてくれる龍一さんに私も笑顔をかえした。
私達が向かったのはショッピングモール内にあるイタリアンレストランで、店内に入るとお客さんは少ないものの、それなりに賑わっていた。
「いらっしゃいま……せ……」
「えっ!?」
驚きで声を出した私。
「嘘でしょ」
店員の女の子が龍一さんを見て固まってしまった。龍一さんは驚いた顔で声も出せていない。
「なんでいるのよ!先生!」
「丸尾さんこそなんで……夏休みのバイト届けは出したのか」
厳しめの口調で問う龍一さんの横顔は学校の先生モードになっていた。店員の女の子はお茶会の時にいた丸尾仙次郎さんの妹みらいさん。そういえば彼女もミサキと同じ学校の子だったわ。
お茶会のときと化粧が違うせいか私には気がついていない様子。
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