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夏が来ました。
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久しぶりのデート。龍一さんが運転してくれる車から降りると熱風が素肌を撫でていく。夏だから仕方ないけど今日はジメジメして暑い。
今日はデートでカフェに来たからお店でしっかり涼もうっと。
*カフェ店内*
席に座ってアイスコーヒーとオレンジスカッシュを頼んだ。スカッシュをストローで飲むと爽やかな気分になれた。
「トモヨさんは夏休みって連休がありますか?」
「お盆休みがありますよ。龍一さんは学校の夏休みがもう始まってるから仕事は休みですよね?」
「あ、それが俺も盆休みくらいです。生徒は夏休みでも教師は生徒の補講や教師の講習会なんかが毎日のようにあるんで・・・・・・」
「あっ、私ったら世間知らずですいません。てっきり学校が休みなら先生も休みなんだと思って」
「長期休みの時期はほとんどの人からよく言われるんで、夏休みや冬休みが短いと言うと驚かれます。ところであれから丸尾社長達のことは大丈夫ですか?」
春の終わり頃に開かれたお茶会で丸尾社長達を無視したプロポーズで婚約した私と龍一さん。
翌日から連日、丸尾社長が私の社長に怒るため会社に来てこれまた大騒動。
「会社の方は社長同士が険悪だったんですけど、二人が飲みに行ってからは仲良くなって上手く和解したそうです」
「よかった。俺のせいでトモヨさんが居づらくなったらどうしようかって思ってたんで」
「だけど一瞬で私が婚約したことが広まって大変でしたよ。会社の先輩達、親くらい歳が離れてるからか心配されて『オレ達はトモちゃんの親みたいなもんだから一度会わせてくれ』ですよ。だから、結婚する日が決まったら一緒に挨拶してくださいね」
龍一さんが照れながら「必ず認めてもらいます」と言ってくれた。
「あと丸尾の社長さんも少しずつお相手の方と家族になることを認める方向に向かっているみたいですよ」
「それは良かった。俺、空気を読めずに乱入したから……」
あのときのことを思い出すと皆の前でプロポースされて恥ずかしくも嬉しい。顔がにやけてしまう私。
「もう、そんなこと気にしないでください。あれのおかげで丸く収まったんですよ」
「こんな俺なんですが、これからも宜しくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
私は笑顔で返事をした。
「あのトモヨさん。それで今度の土曜日、俺と映画を見に行きませんか?」
「ええ、ぜひ行きましょう」
もちろん断る理由なんてない。だって龍一さんは婚約者。デートだもの。
それから他愛のない話をして私たちは時間を過ごした。
帰りは龍一さんが私の住むマンションの前に送ってくれた。
「あ、そろそろ帰らないと。それじゃあ、また電話します」
「はい、電話、楽しみにしてます」
私は龍一さんとキスをして、手を振って別れた。そして一人になったところで、ふと思う。
「そう言えば、まだお互いの部屋に入ったことがないわ」
付き合い始めてから何度もデートを重ねているけど、部屋に入ったことがない。私の家はミサキがいるし、私達がお付き合いしていてもミサキや他の人からみれば生徒の家に家庭訪問でもないのに上がってくる教師って印象は良くないわよね。でも、龍一さんは一度もそんなことを言わないからそんな印象を誰からも持たれないけど、ってずいぶん龍一さんに気を使ってもらってるじゃないの。早く気が付きなさいよ、私ったら!
「次のデート、お部屋に遊びに行かせてくださいって言ってみようかな」
龍一さんのことを考えながらエレベーターに乗った。
今日はデートでカフェに来たからお店でしっかり涼もうっと。
*カフェ店内*
席に座ってアイスコーヒーとオレンジスカッシュを頼んだ。スカッシュをストローで飲むと爽やかな気分になれた。
「トモヨさんは夏休みって連休がありますか?」
「お盆休みがありますよ。龍一さんは学校の夏休みがもう始まってるから仕事は休みですよね?」
「あ、それが俺も盆休みくらいです。生徒は夏休みでも教師は生徒の補講や教師の講習会なんかが毎日のようにあるんで・・・・・・」
「あっ、私ったら世間知らずですいません。てっきり学校が休みなら先生も休みなんだと思って」
「長期休みの時期はほとんどの人からよく言われるんで、夏休みや冬休みが短いと言うと驚かれます。ところであれから丸尾社長達のことは大丈夫ですか?」
春の終わり頃に開かれたお茶会で丸尾社長達を無視したプロポーズで婚約した私と龍一さん。
翌日から連日、丸尾社長が私の社長に怒るため会社に来てこれまた大騒動。
「会社の方は社長同士が険悪だったんですけど、二人が飲みに行ってからは仲良くなって上手く和解したそうです」
「よかった。俺のせいでトモヨさんが居づらくなったらどうしようかって思ってたんで」
「だけど一瞬で私が婚約したことが広まって大変でしたよ。会社の先輩達、親くらい歳が離れてるからか心配されて『オレ達はトモちゃんの親みたいなもんだから一度会わせてくれ』ですよ。だから、結婚する日が決まったら一緒に挨拶してくださいね」
龍一さんが照れながら「必ず認めてもらいます」と言ってくれた。
「あと丸尾の社長さんも少しずつお相手の方と家族になることを認める方向に向かっているみたいですよ」
「それは良かった。俺、空気を読めずに乱入したから……」
あのときのことを思い出すと皆の前でプロポースされて恥ずかしくも嬉しい。顔がにやけてしまう私。
「もう、そんなこと気にしないでください。あれのおかげで丸く収まったんですよ」
「こんな俺なんですが、これからも宜しくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
私は笑顔で返事をした。
「あのトモヨさん。それで今度の土曜日、俺と映画を見に行きませんか?」
「ええ、ぜひ行きましょう」
もちろん断る理由なんてない。だって龍一さんは婚約者。デートだもの。
それから他愛のない話をして私たちは時間を過ごした。
帰りは龍一さんが私の住むマンションの前に送ってくれた。
「あ、そろそろ帰らないと。それじゃあ、また電話します」
「はい、電話、楽しみにしてます」
私は龍一さんとキスをして、手を振って別れた。そして一人になったところで、ふと思う。
「そう言えば、まだお互いの部屋に入ったことがないわ」
付き合い始めてから何度もデートを重ねているけど、部屋に入ったことがない。私の家はミサキがいるし、私達がお付き合いしていてもミサキや他の人からみれば生徒の家に家庭訪問でもないのに上がってくる教師って印象は良くないわよね。でも、龍一さんは一度もそんなことを言わないからそんな印象を誰からも持たれないけど、ってずいぶん龍一さんに気を使ってもらってるじゃないの。早く気が付きなさいよ、私ったら!
「次のデート、お部屋に遊びに行かせてくださいって言ってみようかな」
龍一さんのことを考えながらエレベーターに乗った。
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