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ミサキの心 :ミサキ視点:

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この頃、ミールが出かけて姿が見えいないことが増えた。ミールに何をしているのか聞くと「ちょっとな。男にしか分からない世界があるんだ」と格好付けて言う。
今日はお姉ちゃんが夜食に食べてねって作ってくれた一人で食べるには数が多いおにぎりをミールがパクパク食べている。

「ダイエットしてるって言ってるのにっ!もうっ。お姉ちゃんってご飯とかお菓子をいっぱい作ったり買ったりするんだろ?」
「無理なダイエットって心配してんじゃねーか?あと棚の一週間分のオヤツを俺が頂いてるのもあるな。一日か二日でごっそり減ってたら腹減ってるって思うだろ」
「え?ミール、まさか棚のオヤツ勝手に食べてたの?」
「おう。ついでに冷蔵庫の飲み物とかも飲んでたぜ」
「それ!!」
「大丈夫だって。俺のことは姉貴に見えてないし、俺が触った物はミサキがやったって思うから」
「それが原因よ!あー、もう……ダイエットしてるのにオヤツどか食いする妹って思われてるじゃないの~。も~、やだ~」
「まあまあ。気にすんなよ。姉貴は優しいし怒らないぞ。それよりミサキはいいのか?」
「え?」
「俺様は人間の恋心はよくわかんねぇけど、好きな男ができたらそいつの側に居たいと思うのが普通だぜ?お前は俺様の力を姉貴のために使った。それでいいのか?まだ引き返せるぞ」
「……うん。いいの」
「ふぅん」

私には不思議な予知能力がある。それは断片的な記憶のようなものだった。高校生になって出会う男の子達との記憶。いつ出かけると誰と会うのか、何をするのかが頭に流れてくるのだ。それは突然で、毎日起きるわけではないし、予知の記憶の情報量は男の子によって違う。
だから最初は自分の頭がおかしいんじゃないかと思った。
でも、その情報のおかげで私は何度もドキドキする体験をしている。そしてとても重要な予知の記憶の一つは男の子達のうちの一人と恋人になると私は死ぬまで幸せに暮らすことができるのだ。
この予知能力が本物なら私の頑張り次第だけどミールの力に頼る必要はない。だから私は人を幸せにする試験で人間界に来たミールにお姉ちゃんの幸せを願った。お姉ちゃんの幸せが私の幸せだから、と。

「ミサキー、どうしたんだ?」
「なんでもないよ」
「俺様が力を使ってやろうか?」
「ううん。いい。きっとミールの力は私の欲で使っちゃいけないことだと思うから」
「そうか」
「うん」

だけどなんだか違和感を感じている。まるで合わない歯車でムリに動いているような感覚がしていた。
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