25 / 105
ミサキの心 :ミサキ視点:
しおりを挟む
この頃、ミールが出かけて姿が見えいないことが増えた。ミールに何をしているのか聞くと「ちょっとな。男にしか分からない世界があるんだ」と格好付けて言う。
今日はお姉ちゃんが夜食に食べてねって作ってくれた一人で食べるには数が多いおにぎりをミールがパクパク食べている。
「ダイエットしてるって言ってるのにっ!もうっ。お姉ちゃんってご飯とかお菓子をいっぱい作ったり買ったりするんだろ?」
「無理なダイエットって心配してんじゃねーか?あと棚の一週間分のオヤツを俺が頂いてるのもあるな。一日か二日でごっそり減ってたら腹減ってるって思うだろ」
「え?ミール、まさか棚のオヤツ勝手に食べてたの?」
「おう。ついでに冷蔵庫の飲み物とかも飲んでたぜ」
「それ!!」
「大丈夫だって。俺のことは姉貴に見えてないし、俺が触った物はミサキがやったって思うから」
「それが原因よ!あー、もう……ダイエットしてるのにオヤツどか食いする妹って思われてるじゃないの~。も~、やだ~」
「まあまあ。気にすんなよ。姉貴は優しいし怒らないぞ。それよりミサキはいいのか?」
「え?」
「俺様は人間の恋心はよくわかんねぇけど、好きな男ができたらそいつの側に居たいと思うのが普通だぜ?お前は俺様の力を姉貴のために使った。それでいいのか?まだ引き返せるぞ」
「……うん。いいの」
「ふぅん」
私には不思議な予知能力がある。それは断片的な記憶のようなものだった。高校生になって出会う男の子達との記憶。いつ出かけると誰と会うのか、何をするのかが頭に流れてくるのだ。それは突然で、毎日起きるわけではないし、予知の記憶の情報量は男の子によって違う。
だから最初は自分の頭がおかしいんじゃないかと思った。
でも、その情報のおかげで私は何度もドキドキする体験をしている。そしてとても重要な予知の記憶の一つは男の子達のうちの一人と恋人になると私は死ぬまで幸せに暮らすことができるのだ。
この予知能力が本物なら私の頑張り次第だけどミールの力に頼る必要はない。だから私は人を幸せにする試験で人間界に来たミールにお姉ちゃんの幸せを願った。お姉ちゃんの幸せが私の幸せだから、と。
「ミサキー、どうしたんだ?」
「なんでもないよ」
「俺様が力を使ってやろうか?」
「ううん。いい。きっとミールの力は私の欲で使っちゃいけないことだと思うから」
「そうか」
「うん」
だけどなんだか違和感を感じている。まるで合わない歯車でムリに動いているような感覚がしていた。
今日はお姉ちゃんが夜食に食べてねって作ってくれた一人で食べるには数が多いおにぎりをミールがパクパク食べている。
「ダイエットしてるって言ってるのにっ!もうっ。お姉ちゃんってご飯とかお菓子をいっぱい作ったり買ったりするんだろ?」
「無理なダイエットって心配してんじゃねーか?あと棚の一週間分のオヤツを俺が頂いてるのもあるな。一日か二日でごっそり減ってたら腹減ってるって思うだろ」
「え?ミール、まさか棚のオヤツ勝手に食べてたの?」
「おう。ついでに冷蔵庫の飲み物とかも飲んでたぜ」
「それ!!」
「大丈夫だって。俺のことは姉貴に見えてないし、俺が触った物はミサキがやったって思うから」
「それが原因よ!あー、もう……ダイエットしてるのにオヤツどか食いする妹って思われてるじゃないの~。も~、やだ~」
「まあまあ。気にすんなよ。姉貴は優しいし怒らないぞ。それよりミサキはいいのか?」
「え?」
「俺様は人間の恋心はよくわかんねぇけど、好きな男ができたらそいつの側に居たいと思うのが普通だぜ?お前は俺様の力を姉貴のために使った。それでいいのか?まだ引き返せるぞ」
「……うん。いいの」
「ふぅん」
私には不思議な予知能力がある。それは断片的な記憶のようなものだった。高校生になって出会う男の子達との記憶。いつ出かけると誰と会うのか、何をするのかが頭に流れてくるのだ。それは突然で、毎日起きるわけではないし、予知の記憶の情報量は男の子によって違う。
だから最初は自分の頭がおかしいんじゃないかと思った。
でも、その情報のおかげで私は何度もドキドキする体験をしている。そしてとても重要な予知の記憶の一つは男の子達のうちの一人と恋人になると私は死ぬまで幸せに暮らすことができるのだ。
この予知能力が本物なら私の頑張り次第だけどミールの力に頼る必要はない。だから私は人を幸せにする試験で人間界に来たミールにお姉ちゃんの幸せを願った。お姉ちゃんの幸せが私の幸せだから、と。
「ミサキー、どうしたんだ?」
「なんでもないよ」
「俺様が力を使ってやろうか?」
「ううん。いい。きっとミールの力は私の欲で使っちゃいけないことだと思うから」
「そうか」
「うん」
だけどなんだか違和感を感じている。まるで合わない歯車でムリに動いているような感覚がしていた。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
御機嫌ようそしてさようなら ~王太子妃の選んだ最悪の結末
Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。
生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。
全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。
ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。
時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。
ゆるふわ設定の短編です。
完結済みなので予約投稿しています。
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。
たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。
わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。
ううん、もう見るのも嫌だった。
結婚して1年を過ぎた。
政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。
なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。
見ようとしない。
わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。
義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。
わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。
そして彼は側室を迎えた。
拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。
ただそれがオリエに伝わることは……
とても設定はゆるいお話です。
短編から長編へ変更しました。
すみません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる