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想いの確認。
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ランチは私が選んだ店で食べた。そこは創作料理のお店で、私はオムライスとミニハンバーグセット、長山さんは和風きのこパスタとサーモンのカルパッチョを選んだ。
長山さんが運ばれた料理をカメラで撮っているので、私は手を付けずに待つ。
「あっ、すみません。藤川に自慢しようと思って」
「藤川さんに?」
「はい、俺が吉永さんとデートに行くって言ったら悔しがってたので。いつもの仕返しに……。
普段がモテナイって言ってるようなものなのに…何言ってるんだ、俺は。……冷めないうちに食べましょうか」
長山さんは少し顔を赤らめてフォークを手にした。
「はい。いただきます」
私も手を合わせてスプーンを手にした。まずはオムライスを一口食べる。白いチキンライスが売りのオムライスは卵も半熟で美味しい!
「うまいですね。こんな店があるなんて知らなかった」
「口コミの評判が良かったし、一度来てみたかったんですよ。当たりのお店で良かったです」
「吉永さんは普段どんなものを食べてるんですか」
「うーん、普段はスーパーの総菜とか会社の人が持たせてくれる煮物とか……。仕事が休みの日に料理はするんですけど、この頃はミサキが料理を作ってくれるようになって助かってるんですよ。外食するとしてもお洒落なお店の食事は苦手で、行き慣れたファミレスばかりですね」
「俺の方がひどいな。ほぼ毎日外食だから……。店も一緒に行ったあのバーか丼もの屋ばかりで」
私達は顔を見合わせて笑った。本の感想を楽しく話をしながら食事を食べ終えて最後にコーヒを頼んでゆっくりと過ごす。
「吉永さんに聞きたいことがあったんだけど……いいですか」
「はい、何でしょう」
「あの……どうして、俺のことを好きになってくれたんですか。こんな冴えない男を……」
「えっ?……それは、あの……最初は声がいいなって思ったんです」
見た目の第一印象はどう思ったかは伏せておこう。
「副担任をしている生徒の姉って理由も会ったんでしょうけど、私なんかに気を使ってくれて優しく誠実ですし、中卒だって知っても態度が変わらず接してくれるところとかすごく嬉しかったです」
「そんなこと……学歴関係なく当たり前のことじゃないですか」
「それに、長山さんと電話やメッセージをしてる時間は楽しいし、私の話を楽しそうに聞いてくれるし、時々見せる笑顔が素敵だなぁと思ったら、どんどん惹かれていきました」
「そ、そうですか」
長山さんは照れくさそうに笑ってから、真剣な目で私を見た。
「俺も最初に見かけたとき、綺麗な人だなって思いました。でも、その気持ちは一目惚れというより憧れに近い感情だったと思います。それから何度か話して、お礼を素直に言えるところとか、苦労してるのに卑屈にならず素直なまま気持ちを表現できる、優しい吉永さんのことが好きだと思い直しました。俺もあなたに惹かれています」
「嬉しい……ありがとうございます」
私は頬を染めて俯いた。こんなにも丁寧に好きだって言われたことがない私には長山さんの一言一言がとても嬉しい。
お店を出てからの時間は本屋さんに寄って好きな作家の新刊を買ったりした。キスもまだな健全デートをして夕方には駅前で車をおりた。
「ありがとうございます。今日は楽しかったです」
「こちらこそ吉永さんとたくさん過ごせて楽しかったです。ありがとうございました」
車に乗っている長山さんと外にいる私は軽く手を振り別れた。
長山さんが運ばれた料理をカメラで撮っているので、私は手を付けずに待つ。
「あっ、すみません。藤川に自慢しようと思って」
「藤川さんに?」
「はい、俺が吉永さんとデートに行くって言ったら悔しがってたので。いつもの仕返しに……。
普段がモテナイって言ってるようなものなのに…何言ってるんだ、俺は。……冷めないうちに食べましょうか」
長山さんは少し顔を赤らめてフォークを手にした。
「はい。いただきます」
私も手を合わせてスプーンを手にした。まずはオムライスを一口食べる。白いチキンライスが売りのオムライスは卵も半熟で美味しい!
「うまいですね。こんな店があるなんて知らなかった」
「口コミの評判が良かったし、一度来てみたかったんですよ。当たりのお店で良かったです」
「吉永さんは普段どんなものを食べてるんですか」
「うーん、普段はスーパーの総菜とか会社の人が持たせてくれる煮物とか……。仕事が休みの日に料理はするんですけど、この頃はミサキが料理を作ってくれるようになって助かってるんですよ。外食するとしてもお洒落なお店の食事は苦手で、行き慣れたファミレスばかりですね」
「俺の方がひどいな。ほぼ毎日外食だから……。店も一緒に行ったあのバーか丼もの屋ばかりで」
私達は顔を見合わせて笑った。本の感想を楽しく話をしながら食事を食べ終えて最後にコーヒを頼んでゆっくりと過ごす。
「吉永さんに聞きたいことがあったんだけど……いいですか」
「はい、何でしょう」
「あの……どうして、俺のことを好きになってくれたんですか。こんな冴えない男を……」
「えっ?……それは、あの……最初は声がいいなって思ったんです」
見た目の第一印象はどう思ったかは伏せておこう。
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「そんなこと……学歴関係なく当たり前のことじゃないですか」
「それに、長山さんと電話やメッセージをしてる時間は楽しいし、私の話を楽しそうに聞いてくれるし、時々見せる笑顔が素敵だなぁと思ったら、どんどん惹かれていきました」
「そ、そうですか」
長山さんは照れくさそうに笑ってから、真剣な目で私を見た。
「俺も最初に見かけたとき、綺麗な人だなって思いました。でも、その気持ちは一目惚れというより憧れに近い感情だったと思います。それから何度か話して、お礼を素直に言えるところとか、苦労してるのに卑屈にならず素直なまま気持ちを表現できる、優しい吉永さんのことが好きだと思い直しました。俺もあなたに惹かれています」
「嬉しい……ありがとうございます」
私は頬を染めて俯いた。こんなにも丁寧に好きだって言われたことがない私には長山さんの一言一言がとても嬉しい。
お店を出てからの時間は本屋さんに寄って好きな作家の新刊を買ったりした。キスもまだな健全デートをして夕方には駅前で車をおりた。
「ありがとうございます。今日は楽しかったです」
「こちらこそ吉永さんとたくさん過ごせて楽しかったです。ありがとうございました」
車に乗っている長山さんと外にいる私は軽く手を振り別れた。
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