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尋問的な質問
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好きな人は誰かと聞かれて「みさきの副担任の先生よ」なんて言っていいものなの?副担任に姉が片想いしてるって気まずくない?
「その沈黙は無駄なんだから白状してよ」
興味津々の妹。この前はクッキーを渡しただけで私が副担任に片想いしていると早とちりして泣いてた妹に実はあの後に好きになりましたって言っていいの?
「ねえ、私が知ってる人?」
この質問に私は頷く。嘘は良くないし、きっと学校行事か何かでミサキを交えて会うし、すぐにバレてしまう。
「うーん、会社の人?」
首を横にふる私。会社の人はほぼおじさんとおじいちゃんなんだよ。支社は若い人がいるけどあんまり会わないし。私の会社は年上好きには天国かもだけど私の恋愛対象年齢から外れてる。
「朝日亭のイケメン店員さん?」
首を横にふるしかない私。イケメンが多いけどどの店員さんだろ?
「んー、他に私が知ってる人といえば学校の先生?」
ブンブンと音がなりそうなほど激しく首を縦に振る。
「……もしかして、氷川先生?めちゃくちゃライバル多いけど応援するよ!」
「えっと・・・・・・ううん。お姉ちゃんは先生のファンだし、先生と一日デート出来るなら私の稼ぎのありったけを貢ぐけど違うの」
口では冗談をいうけどこれ以上は核心にたどり着くからもう勘弁してください。
「お姉ちゃん、まさかね、この前は「妹の先生としかみてないよ」みたいに否定してたけど……長山先生?」
そのとおりだ。恋心を自覚した私は無言でコクリコクリとうなずいた。
「お姉ちゃん、言っちゃ悪いけど趣味悪いよ。やめときなよ。長山先生って暗いし目つきも悪いし怖いし。頭ボサボサで寝癖がひどいまま放課後までそのままだったこともあるし。なんか頼りないじゃん」
ぐさっ。
「分かってるわよ、見た目のことは!でも、長山先生って会う度に魅力が出てきて毎日メッセージや電話してると味わいがあって素敵なの。すごく紳士だし、優しく気遣ってくれるんだから頼りなくなんてないし」
「でも長山先生ってモテないし、まだ独身なんだよ。結婚願望もないみたいだし」
「お互いに独身ならお付き合いしてもいいじゃないの。結婚願望は私もないからずっと恋人でもいいし」
「うぐぐ」
今度はミサキが口を閉ざした。そして少し考える素振りを見せたあと、口を開いた。
「……それ、本気で言ってる?」
「もちろんよ」
「……そう。お姉ちゃんが本気なら何も言わないけど、先生がお姉ちゃんと遊び半分で付き合うなら私が許さないよ」
「どうしてよ。遊びから本気になってもらえたらチャンスがあるじゃないの」
「……関係あるよ」
「えっ?」
「だって私はお姉ちゃんの妹なんだもん。お姉ちゃんが遊ばれて悲しむ姿を見たくない」
「ミサキ……」
私の妹は本当に優しい子だわ。嬉しくて涙がこぼれそうになる。
「大丈夫よ。お姉ちゃん、ふられてもハートが強いから!」
私がミサキにギュッと抱きつくと「お姉ちゃんをふるなら先生でもゆるさないわよ!」と笑いながら怒るから私もちょっと泣いて笑った。
「その沈黙は無駄なんだから白状してよ」
興味津々の妹。この前はクッキーを渡しただけで私が副担任に片想いしていると早とちりして泣いてた妹に実はあの後に好きになりましたって言っていいの?
「ねえ、私が知ってる人?」
この質問に私は頷く。嘘は良くないし、きっと学校行事か何かでミサキを交えて会うし、すぐにバレてしまう。
「うーん、会社の人?」
首を横にふる私。会社の人はほぼおじさんとおじいちゃんなんだよ。支社は若い人がいるけどあんまり会わないし。私の会社は年上好きには天国かもだけど私の恋愛対象年齢から外れてる。
「朝日亭のイケメン店員さん?」
首を横にふるしかない私。イケメンが多いけどどの店員さんだろ?
「んー、他に私が知ってる人といえば学校の先生?」
ブンブンと音がなりそうなほど激しく首を縦に振る。
「……もしかして、氷川先生?めちゃくちゃライバル多いけど応援するよ!」
「えっと・・・・・・ううん。お姉ちゃんは先生のファンだし、先生と一日デート出来るなら私の稼ぎのありったけを貢ぐけど違うの」
口では冗談をいうけどこれ以上は核心にたどり着くからもう勘弁してください。
「お姉ちゃん、まさかね、この前は「妹の先生としかみてないよ」みたいに否定してたけど……長山先生?」
そのとおりだ。恋心を自覚した私は無言でコクリコクリとうなずいた。
「お姉ちゃん、言っちゃ悪いけど趣味悪いよ。やめときなよ。長山先生って暗いし目つきも悪いし怖いし。頭ボサボサで寝癖がひどいまま放課後までそのままだったこともあるし。なんか頼りないじゃん」
ぐさっ。
「分かってるわよ、見た目のことは!でも、長山先生って会う度に魅力が出てきて毎日メッセージや電話してると味わいがあって素敵なの。すごく紳士だし、優しく気遣ってくれるんだから頼りなくなんてないし」
「でも長山先生ってモテないし、まだ独身なんだよ。結婚願望もないみたいだし」
「お互いに独身ならお付き合いしてもいいじゃないの。結婚願望は私もないからずっと恋人でもいいし」
「うぐぐ」
今度はミサキが口を閉ざした。そして少し考える素振りを見せたあと、口を開いた。
「……それ、本気で言ってる?」
「もちろんよ」
「……そう。お姉ちゃんが本気なら何も言わないけど、先生がお姉ちゃんと遊び半分で付き合うなら私が許さないよ」
「どうしてよ。遊びから本気になってもらえたらチャンスがあるじゃないの」
「……関係あるよ」
「えっ?」
「だって私はお姉ちゃんの妹なんだもん。お姉ちゃんが遊ばれて悲しむ姿を見たくない」
「ミサキ……」
私の妹は本当に優しい子だわ。嬉しくて涙がこぼれそうになる。
「大丈夫よ。お姉ちゃん、ふられてもハートが強いから!」
私がミサキにギュッと抱きつくと「お姉ちゃんをふるなら先生でもゆるさないわよ!」と笑いながら怒るから私もちょっと泣いて笑った。
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