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お昼休み
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慌ただしい午前中が終わってやっと午後になった。社長夫婦からは一日休みなさいと言われたけどミサキは無事に学校に行ったことを伝えて仕事をさせてもらった。
遅くなった昼休みだけどミサキにメッセージだけでも送ろうと思ってスマホを開くと長山さんからメッセージがきていた。
「お疲れ様です。氷川先生と一緒に三人から話を聞きました。ミサキさんはお昼前に学校に来ましたから安心してください。
今日は学校が終わったらミサキさんとお友達は氷川先生と相談して僕が帰りは車で送って行くことにしました。
学校には吉永さんとお付き合いしていることは内緒にしていますし、二人に迷惑をかけないよう副担任として申し出たことなので安心してください」
・・・~~っ!やっぱり長山さんが好き!優しすぎる!なんでこんなに気遣いの達人なの?先生は見た目で損してるわ。でも他の人がその魅力に気づいて長山さんがモテたら、私、フラれちゃう・・・かも。
電話したいけど今日のこともあって忙しいよね。メッセージだけ送って我慢しよう。
『ありが「吉永さん、妹が補導されたんだって?」
メッセージを打つ手を途中で止めてしまった。数年前、この会社に途中入社していつの間にか支店に移動した八津野目だ。彼の入社当時、私を新人と勘違いして仕事について語ってきたことがある。その時にたまたま営業のおじさん達が戻ってきて私の方がベテランで仕事歴が長いこと。私が中卒ということが知られてしまった。それからはたまに会社で会えば何かと学歴などでマウントをとってくるようになったのだ
ミサキが警察署に行ったのは今朝の話だからその噂を聞きつける情報収集能力は仕事に使うべきと思う。
「こんにちは。八津野目さん。妹が補導されてたら死んだ親とおばあちゃんにお詫びして、姉妹揃って出家しますから会社に来れませんよ~」
隣で後輩のモモさんがブホッと吹いて誤魔化すように咳をした。
「そしたら俺は仏のトモちゃんにお願いして馬券当ててもらいに毎日通うぞお」
近くの席の松さんが話に乗ってきた。
「あー、残念ながら運の無さに仏様がヒヒーンッて泣いて逃げるからやめときましょうよ」
私も馬券にかけて馬の鳴き声を混ぜて笑い話を作る。
「じゃあ真面目に働くかー。八津野目もとっとと仕事行けよ~。そういやおめーさんの話はなんだったか。お、そうだ。おめ―さんも馬券当ててもらいに頼みにきてたな。だけど先輩の俺が吉永に頼んで駄目ならおめ―さんもダメだ。吉永の力じゃ馬券当てられないってよ」
「んブフッ、ブフふっ」
後輩のモモさんが笑いを抑えようとして余計に変なことになっている。苦々しく、顔を赤くして怒る八津野目さん。
「ほーれ、仕事だ。仕事。給料が下がると母ちゃんに叱られちまう」
怒りの八津野目さんを尻目に松さんが書類仕事を始めたから私もパソコンの方を向く。
休み時間はまだあるけど仕事しているフリして逃げよう。
彼はそれ以上の追求はせず他の社員の所へ行ってくれた。松さんを見ると親指を立てて笑うので私も親指を立てて笑い返し、また仕事に取り掛かった。
遅くなった昼休みだけどミサキにメッセージだけでも送ろうと思ってスマホを開くと長山さんからメッセージがきていた。
「お疲れ様です。氷川先生と一緒に三人から話を聞きました。ミサキさんはお昼前に学校に来ましたから安心してください。
今日は学校が終わったらミサキさんとお友達は氷川先生と相談して僕が帰りは車で送って行くことにしました。
学校には吉永さんとお付き合いしていることは内緒にしていますし、二人に迷惑をかけないよう副担任として申し出たことなので安心してください」
・・・~~っ!やっぱり長山さんが好き!優しすぎる!なんでこんなに気遣いの達人なの?先生は見た目で損してるわ。でも他の人がその魅力に気づいて長山さんがモテたら、私、フラれちゃう・・・かも。
電話したいけど今日のこともあって忙しいよね。メッセージだけ送って我慢しよう。
『ありが「吉永さん、妹が補導されたんだって?」
メッセージを打つ手を途中で止めてしまった。数年前、この会社に途中入社していつの間にか支店に移動した八津野目だ。彼の入社当時、私を新人と勘違いして仕事について語ってきたことがある。その時にたまたま営業のおじさん達が戻ってきて私の方がベテランで仕事歴が長いこと。私が中卒ということが知られてしまった。それからはたまに会社で会えば何かと学歴などでマウントをとってくるようになったのだ
ミサキが警察署に行ったのは今朝の話だからその噂を聞きつける情報収集能力は仕事に使うべきと思う。
「こんにちは。八津野目さん。妹が補導されてたら死んだ親とおばあちゃんにお詫びして、姉妹揃って出家しますから会社に来れませんよ~」
隣で後輩のモモさんがブホッと吹いて誤魔化すように咳をした。
「そしたら俺は仏のトモちゃんにお願いして馬券当ててもらいに毎日通うぞお」
近くの席の松さんが話に乗ってきた。
「あー、残念ながら運の無さに仏様がヒヒーンッて泣いて逃げるからやめときましょうよ」
私も馬券にかけて馬の鳴き声を混ぜて笑い話を作る。
「じゃあ真面目に働くかー。八津野目もとっとと仕事行けよ~。そういやおめーさんの話はなんだったか。お、そうだ。おめ―さんも馬券当ててもらいに頼みにきてたな。だけど先輩の俺が吉永に頼んで駄目ならおめ―さんもダメだ。吉永の力じゃ馬券当てられないってよ」
「んブフッ、ブフふっ」
後輩のモモさんが笑いを抑えようとして余計に変なことになっている。苦々しく、顔を赤くして怒る八津野目さん。
「ほーれ、仕事だ。仕事。給料が下がると母ちゃんに叱られちまう」
怒りの八津野目さんを尻目に松さんが書類仕事を始めたから私もパソコンの方を向く。
休み時間はまだあるけど仕事しているフリして逃げよう。
彼はそれ以上の追求はせず他の社員の所へ行ってくれた。松さんを見ると親指を立てて笑うので私も親指を立てて笑い返し、また仕事に取り掛かった。
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