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妖精さんに願いを。

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……もしかして妖精のミールっ?!ありえない話じゃない。
たまにミサキの前からふらりといなくなって戻ってくると重要な情報を教えてくれるミール。
私が学校に来たことを察知して様子を見に来たのなら、先生に渡した紙袋の中にクッキーがあることを知っていてもおかしくない。

「んー、まあ誰が言ったとしてももういいや。もうちょっと休んだらご飯にしようか」

私はミサキの頭を優しく撫でる。するとミサキの目がうるうるとしてきた。あ、泣いちゃうかも。

「お姉ちゃん、恋人が出来たら絶対に紹介してね。お姉ちゃん、優しいから変な奴に騙されてないかチェックするからね!」
「大丈夫だよ。先生のことはミサキの学校の先生としか思ってないし、お姉ちゃんは仕事が恋人だから」
「そんなこと言わないでよ。お姉ちゃんも幸せになってよ」
「ありがとう。でもホントに十分幸せなのよ。恋人とか結婚相手がいるのも幸せなんだろうけど残念ながらお姉ちゃんは独身主義なのよ」

これは本当に本音。周りの人は優しくて良い人が多いし、ミサキもまっすぐ育ってくれた。働いていれば一人でやっていけるし、ミサキには言えないけどお金の魔力と他人の怖さを経験したからもう独身でいいやってなってるのよね。

「ぞんなのもっだいないよ~」

とうとう泣き出してしまったミサキ。

「もったいなくないわよ」
「もっだいなぁ~いっ!ぜっかく美人なのに!婚活ずれば絶対すぐ見づかるのにぃ!」
「もぅ、ほら、泣かないの」

私はハンカチでミサキの顔を拭いてあげる。ミサキが小さい時はいつも泣かれてたからハンカチを何枚も持ち歩いていたなあ。

「びじんなのっ、じあわぜになってぐれなぎゃやだ~~!」
「もう十分すぎるくらい幸せだってば~、みっちゃんはもう高校生のお姉ちゃんになったんだから泣かないの~」

ミサキは私を美人って言ってくれるけどミサキの方が美人なのよ。姉妹っていうけど姉が遺産目当てで妹に近寄っていて実は血が繋がってないんじゃないの?なんていう人もいたわ。もしかしなくてもミサキのほうに私が独身なのは妹がいるからだとか悪い話を吹き込む人がいたのかもしれない。

「ミサキ、お姉ちゃんのこと心配してくれてありがとね。今日は落ち着いたら外にご飯食べに行こう。それで久しぶりに一緒に寝ようか」
「うん……」

ミール、私には本当にいるのか分からないけどミサキの傍にいるならこの子のことを頼むよ。ご覧の通り泣き虫な女の子でね。お姉ちゃんとしては早くミールを含めた攻略対象の男子の誰かとひっついて欲しいのよ。そしたら二人は結婚して子供や孫に囲まれてミサキは一生を終えるハッピーエンドが確約されてるんだから。
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