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僕が海に向かって走り出すとロードリック様が慌てた。
「アレックス、走ると危ないぞ」
「大丈夫。僕、こう見えて運動神経良いんだよ」
足首を海につけると、波が引いていく。
すぐにざぶんと波が押し寄せると足を取られそうだ。
「アレックス」
ロードリック様が浮き輪も持っていない方の手を僕に差し出す。その手をとり、一緒に膝の高さまで浸かる深さまで進む。
「海に来たの何年ぶりだろう。パパ達とバカンスに来て以来だよ」
僕はばちゃばちゃと足を動かす。水が跳ねて少し楽しい。
「俺ももう十年以上は海に入ってないな。ここから先は深くなるから浮き輪を使ってくれ」
僕の頭の上から浮き輪が下りてきた。
「えへへ、ありがとう」
僕は素直に浮き輪を装着し、腰から下に落ちないように腕で固定した。
「アレックス、海は楽しいか?」
ロードリック様が僕の顔を覗き込むように見る。僕は大きく頷く。
「うん!すごく楽しいよ!大好きな人と一緒だからね!」
「俺も、大好きな人と来れたから楽しい」
ロードリック様が目元を赤くしながら気持ちを伝えてくれて嬉しい。
股間の僕が大きくなりそうで、それを隠すために僕は慌てて海に飛び込んだ。
まだ足が届くけど数歩進むと足が届かなくなる。
浮き輪で受ける深さまで来たけどロードリック様は背が高いからまだ足がついているみたい。
「ロードリック様、もっと深い所に行ってもいい?」
「ああ、だけど帰れる距離にしないと危ないぞ」
「えへへ、大丈夫。いざとなれば僕の魔法で帰ろう」
心配してるロードリック様だけど、僕を浮き輪ごと押して泳いでくれるからスイスイ進んだ。
「綺麗だね」
「ん、人が多いぞ。綺麗な景色ならもっと別の場所がある」
「人がいっぱいいることも含めて綺麗だよ。魔界の海は怪物が泳いでて、利権争いで死体が浮いてることもあるし、こんなに静かで綺麗な海は新鮮だよ」
「怪物……死体……」
ロードリック様は少し顔を青くする。
「今は魔界の事は忘れようか」
「うん。この海はお父様達が連れてってくれた異世界の海みたいで綺麗だし、ここでは皆が楽しんでるから好きだよ」
「……そうか」
僕は浮き輪でぷかぷかと浮かびながら、空を見上げた。
「青くて綺麗だね」
「そうだな。夕方になると赤くなって、海ももっと綺麗に見える」
「ほんと!?一緒に見ようね!」
「もちろんだ」
ロードリック様は、浮き輪にのっかる僕にキスをした。
「ロードリック様……しょっぱいね」
海では初めてのキス。僕は胸がキュッとなり、彼の手を握ると彼は優しく握り返してくれた。
人間はキスしても海で楽しく遊ぶんだろうけど、僕はこのキスだけで勃ってしまう。
「はぁ……エッチしたくなっちゃった」
「アレックス……俺も、勃った」
「じゃあ、エッチする?」
浮き輪の中でロードリック様を見つめたら、今は頭の高さが同じになっている彼は顔を真っ赤にした。
「し、しない!人のたくさんいる場所では駄目だ。他人にアレックスの可愛い姿を見せたくない」
「僕なら平気だよ?」
するとロードリック様は頭まで海に沈んだ。
「わ、わ、沈んじゃった」
ロードリック様が沈んだ辺りに手を伸ばして海水につけるとすぐに彼が飛び出した。
「ぷはっ、頭が冷えた」
「エッチしない?」
せっかくだし、してみたいなー。
「海は危ないから、べ、別の場所で」
ロードリック様は慎重派だね。でも僕の事を想ってくれててそこが好き。
「うん。じゃあ、別の場所でいっぱいしよーね♡」
僕が素直に返事をすると彼は笑った。
それから僕達はゆっくりと海を楽しみ、海の家で焼きそばとかき氷食べた。
それからホテルに戻って、シャワーを浴びで夕方までお昼寝。
夕方はまだ蒸し暑いけど、おそろいのシャツを着てロードリック様と一緒に砂浜を歩く。
今歩いて向かっているのは、二人で夕日を見るためのスポット。人が少ないけど綺麗に見える場所があるって、ここに来るために買った観光本に書いてあったんだよ。だけど観光本で知られるスポットになってたから、カップルがいっぱいだった。
「おかしいな。人が多い……」
「ふふふっ」
皆、考える事は一緒だね。
好きな人と綺麗な景色をみたいって気持ち、僕も結婚して知ったよ。
ロードリック様は人が多い理由に気付いていない。だから僕は小さく笑ってしまった。
「どうした?」
「ううん、なんでもないよ。ほら、夕日が綺麗だよ!」
僕の指差す先には真っ赤な太陽が海を赤く染めていた。
やっぱり魔界の海の色と違って綺麗だ。
ヨットに乗っている人の姿まで、僕にとっては幻想的。
「アレックスの方が綺麗だ」
「え?」
突然、ロードリック様が僕の手を握ってくれた。しかも指と指を絡めるような恋人つなぎ。
僕は驚いて彼を見つめた。ロードリック様は真っ直ぐ海を見つめている。
「俺にとって一番綺麗なのは、アレックスだ」
真面目な顔をしてそんなことを言われたから、僕の顔が太陽みたいに赤くなったと思う。
僕の中央にいる分身が熱くなってきちゃう。でも、まだ一緒に海を見ていたい。
だけど触れ合いたくてその手にキスをした。
ああもう!好き!!手へのキスだけじゃ我慢できず、僕は彼の胸に抱きついた。
「僕が一番大好きなのはロードリック様だよ」
ぎゅーってしがみつくと優しく抱きしめてくれたから嬉しいなあ!
「えへへ」
「ふっ」
周囲にカップル達がいることも忘れ、周囲のカップルに負けないくらい、僕とロードリック様は二人の世界に浸り続けた。
「アレックス、走ると危ないぞ」
「大丈夫。僕、こう見えて運動神経良いんだよ」
足首を海につけると、波が引いていく。
すぐにざぶんと波が押し寄せると足を取られそうだ。
「アレックス」
ロードリック様が浮き輪も持っていない方の手を僕に差し出す。その手をとり、一緒に膝の高さまで浸かる深さまで進む。
「海に来たの何年ぶりだろう。パパ達とバカンスに来て以来だよ」
僕はばちゃばちゃと足を動かす。水が跳ねて少し楽しい。
「俺ももう十年以上は海に入ってないな。ここから先は深くなるから浮き輪を使ってくれ」
僕の頭の上から浮き輪が下りてきた。
「えへへ、ありがとう」
僕は素直に浮き輪を装着し、腰から下に落ちないように腕で固定した。
「アレックス、海は楽しいか?」
ロードリック様が僕の顔を覗き込むように見る。僕は大きく頷く。
「うん!すごく楽しいよ!大好きな人と一緒だからね!」
「俺も、大好きな人と来れたから楽しい」
ロードリック様が目元を赤くしながら気持ちを伝えてくれて嬉しい。
股間の僕が大きくなりそうで、それを隠すために僕は慌てて海に飛び込んだ。
まだ足が届くけど数歩進むと足が届かなくなる。
浮き輪で受ける深さまで来たけどロードリック様は背が高いからまだ足がついているみたい。
「ロードリック様、もっと深い所に行ってもいい?」
「ああ、だけど帰れる距離にしないと危ないぞ」
「えへへ、大丈夫。いざとなれば僕の魔法で帰ろう」
心配してるロードリック様だけど、僕を浮き輪ごと押して泳いでくれるからスイスイ進んだ。
「綺麗だね」
「ん、人が多いぞ。綺麗な景色ならもっと別の場所がある」
「人がいっぱいいることも含めて綺麗だよ。魔界の海は怪物が泳いでて、利権争いで死体が浮いてることもあるし、こんなに静かで綺麗な海は新鮮だよ」
「怪物……死体……」
ロードリック様は少し顔を青くする。
「今は魔界の事は忘れようか」
「うん。この海はお父様達が連れてってくれた異世界の海みたいで綺麗だし、ここでは皆が楽しんでるから好きだよ」
「……そうか」
僕は浮き輪でぷかぷかと浮かびながら、空を見上げた。
「青くて綺麗だね」
「そうだな。夕方になると赤くなって、海ももっと綺麗に見える」
「ほんと!?一緒に見ようね!」
「もちろんだ」
ロードリック様は、浮き輪にのっかる僕にキスをした。
「ロードリック様……しょっぱいね」
海では初めてのキス。僕は胸がキュッとなり、彼の手を握ると彼は優しく握り返してくれた。
人間はキスしても海で楽しく遊ぶんだろうけど、僕はこのキスだけで勃ってしまう。
「はぁ……エッチしたくなっちゃった」
「アレックス……俺も、勃った」
「じゃあ、エッチする?」
浮き輪の中でロードリック様を見つめたら、今は頭の高さが同じになっている彼は顔を真っ赤にした。
「し、しない!人のたくさんいる場所では駄目だ。他人にアレックスの可愛い姿を見せたくない」
「僕なら平気だよ?」
するとロードリック様は頭まで海に沈んだ。
「わ、わ、沈んじゃった」
ロードリック様が沈んだ辺りに手を伸ばして海水につけるとすぐに彼が飛び出した。
「ぷはっ、頭が冷えた」
「エッチしない?」
せっかくだし、してみたいなー。
「海は危ないから、べ、別の場所で」
ロードリック様は慎重派だね。でも僕の事を想ってくれててそこが好き。
「うん。じゃあ、別の場所でいっぱいしよーね♡」
僕が素直に返事をすると彼は笑った。
それから僕達はゆっくりと海を楽しみ、海の家で焼きそばとかき氷食べた。
それからホテルに戻って、シャワーを浴びで夕方までお昼寝。
夕方はまだ蒸し暑いけど、おそろいのシャツを着てロードリック様と一緒に砂浜を歩く。
今歩いて向かっているのは、二人で夕日を見るためのスポット。人が少ないけど綺麗に見える場所があるって、ここに来るために買った観光本に書いてあったんだよ。だけど観光本で知られるスポットになってたから、カップルがいっぱいだった。
「おかしいな。人が多い……」
「ふふふっ」
皆、考える事は一緒だね。
好きな人と綺麗な景色をみたいって気持ち、僕も結婚して知ったよ。
ロードリック様は人が多い理由に気付いていない。だから僕は小さく笑ってしまった。
「どうした?」
「ううん、なんでもないよ。ほら、夕日が綺麗だよ!」
僕の指差す先には真っ赤な太陽が海を赤く染めていた。
やっぱり魔界の海の色と違って綺麗だ。
ヨットに乗っている人の姿まで、僕にとっては幻想的。
「アレックスの方が綺麗だ」
「え?」
突然、ロードリック様が僕の手を握ってくれた。しかも指と指を絡めるような恋人つなぎ。
僕は驚いて彼を見つめた。ロードリック様は真っ直ぐ海を見つめている。
「俺にとって一番綺麗なのは、アレックスだ」
真面目な顔をしてそんなことを言われたから、僕の顔が太陽みたいに赤くなったと思う。
僕の中央にいる分身が熱くなってきちゃう。でも、まだ一緒に海を見ていたい。
だけど触れ合いたくてその手にキスをした。
ああもう!好き!!手へのキスだけじゃ我慢できず、僕は彼の胸に抱きついた。
「僕が一番大好きなのはロードリック様だよ」
ぎゅーってしがみつくと優しく抱きしめてくれたから嬉しいなあ!
「えへへ」
「ふっ」
周囲にカップル達がいることも忘れ、周囲のカップルに負けないくらい、僕とロードリック様は二人の世界に浸り続けた。
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