愛人候補で終わったポチャ淫魔君、人間の花嫁になる。

からどり

文字の大きさ
上 下
35 / 37

35

しおりを挟む
ロードリック様との新婚旅行は、夏、海のある町になった。一緒に花火をみたり、これから海で遊ぶんだ。

「わー!海だー!!」

「アレックス、あまり走ると危ないぞ」

更衣室で水着に着替えた僕は砂浜まで走り、ロードリック様はゆっくり歩いて来た。

広い砂浜には、人々が思い思いにレジャーシートを広げて、日傘を立てたりしている。
僕達もレジャーシートを広げて遊ぶ準備をする。

「アレックス。すぐに遊びたい所をすまないが、日焼け止めを塗ってくれ」

ロードリック様から日焼け止めクリームを受け取る。僕の前で背中を向けて座る彼に日焼け止めを塗る。

「ロードリック様は日焼けしないの?」

「俺は日焼けをしようとすると肌が真っ赤になって痛くなるんだ。普段は日焼け止めはいらないが、旅行中に痛みがあると楽しめないから、念のために塗っておきたい」

「そっか」

日焼けで肌が痛い時、布に擦れるだけで痛いって聞いたことがある。そんなことになったらベッドでいちゃいちゃができなくなっちゃう!
僕は念入りにロードリック様の背中や肩など日焼け止めを塗った。

「アレックス、あとは自分で塗るから」

ロードリック様は僕から日焼け止めを受け取り、腕や上半身、足に塗り始めた。
その様子をじーっと見つめる。なんだか体にローションを塗っているようでエッチだ。
だから、他の人が彼を見ているんじゃないかって周囲を見回したけど、他の人は自分たちが遊ぶことに忙しくてこっちなんて気にしてない。

一人で嫉妬して、なんだかちょっと気まずいなあ……。でも海で遊ぶの楽しみだな。

「アレックス、どうした?」

「ん、ん?なんでもないよ」

「そうか?アレックスのことだから、海の家のアイスクリームが気になったんじゃないか」

「えへへへ」

エッチなことを考えていたとは言えず、笑ってごまかした。

「海で泳いで、休憩の時に買って食べようか」

「うん!」

あ!そうだ!僕は鞄からカメラを取り出した。

僕がカメラを向けるとロードリック様は驚いた顔をした。ほんとはさっきの笑った顔を撮りたかったのに!

「あー、残念。笑顔が撮れなかったよ」

「こら、アレックス。俺は写真が苦手……」

僕が目をうるうるさせて見上げるとロードリック様はすぐに陥落しちゃう。

「だ、だが……今日くらいは撮ってもいい」

ほら!やっぱり!ロードリック様は僕に弱い。だから僕は調子にのって抱きついちゃう。

「ありがとう!!大好き!」

「アレックスは……ほんとうに小悪魔だ」

抱きついた体温が少し上がっていくのを感じる。

「えへへ。ロードリック様、大好き!」

「アレックス」

ロードリック様が顔を赤くして僕を見つめている。
あ!その顔も大好き!欲しい!!絶対誰にもあげない!カメラで撮っちゃおう!!
ぴょんと離れてカメラで激写できた!

するとロードリック様は口元を手で覆ってしまう。

「そんなに連続で撮るものなのか?」

「うん!たくさん撮るよ」

「……そうか。なら俺もアレックスを沢山撮りたい」

「はい、じゃあこれ」

僕は手にしたカメラを渡す。ロードリック様は僕にカメラを向けるとパシャッと撮ってくれた。
楽しい!
この調子でいっぱい写真を撮って印刷したらアルバムができるかな?楽しみだなあ。ロードリック様と一緒ならなんでも楽しい!!

「浮き輪を用意しよう」

「うん。僕、先に海に行っていい?」

「ああ、溺れないように気をつけるんだぞ」

鞄にカメラを片付けて海に向かう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

【完結】「+20キロ!?」〜優しい見た目ヤンキーとぽっちゃり男子のお話

天白
BL
田舎の高校に転校してきたのは都会からやってきた吉良真守(♂)。 ボサボサ頭に蚊の鳴くような小さい声、狸のようなでっぷりお腹に性格は根暗ときたもんだ。 第一印象は最悪。でもそれにはある秘密があって…… ※拙作『+20kg!?』(オリジナル作品)を元に、コンテスト用に一から書き直しました♪ 他投稿サイト「Blove」第2回BL短編小説コンテスト「嘘から始まる恋」応募作品です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

某国の皇子、冒険者となる

くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。 転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。 俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために…… 異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。 主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。 ※ BL要素は控えめです。 2020年1月30日(木)完結しました。

処理中です...