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「ねえ、アモン。ロードリック様が働いている研究所が壊されたんだけどね。研究所に聖女がいたから『聖女様を狙っての犯行だ』って、あちこちで捜査がされているらしいけど犯人はまだ見つからないんだ」

「ほーん」

「犯人探しってつまり人探しでしょ。僕達魔族を頼ればいいのにって思うけど教会のメンツがあって頼ってはいけないんだって。なら人間と魔族の架け橋になった僕が探してあげるのに止められれちゃんたんだよ。」

「あっちゃん、犯人見つからんでグチグチ言って落ち込むんやったら反対を振り切ってまえや。勝手に捕まえてヤキ入れしたらええやん。兵士が犯人が捕まえられんのやから、あっちゃんが捕まえに動いたって向こうにはどうせ分からんやろ。いちいち人間に従ってどうすんねん」

僕が用意したケーキを食べながらアモン流に言うと「アホくさっ」という顔をアモンがしていた。

「うっ、でも僕はロードリック様と人間と魔族の架け橋になりたいんだ。だから僕が人間の約束を守れる模倣的な」「あっちゃんの献身は淫魔族に天変地異起こすレベルやで。淫魔が浮気非推薦ってだけでありえん。人間界はあっちゃんの金の像を立てるべきや」

アモンは強引だから話の途中で話を被せてくる。

「そういう人間的に良い事を重ねていくことが架け橋になるの」

「アー、ハイハイ。あっちゃんの全成分ザラメやもんな。せやったらあっちゃんが動きたなる話したるわ」

「な、なに……」

「犯人の狙いが聖女やとしたら遠回りやと思わんか?襲うなら移動やらで建物の外にいる時の方が狙いやすいで。壁いうけっこう厄介な障害物がないんやから。いくら研究所に来てるいう情報があったからって、建物を壊した先にピンポイントで聖女が目の前とは限らへん。研究所ってわりとデカいんやろ?そないとこで聖女を探し回ってるうちに逃げられてまうで」

「う、そうかもしれないけど、それなら犯人は何が目的なの?」

「犯人は悪魔崇拝者かもしれんで。研究所と教会の仲を悪くしたいんやろな。そしたら反人間派の悪魔は喜ぶやろ。悪魔に取り入りたいなら聖女を襲うのはもちろん、教会にとって悪いことをいっぱい起こせばそれだけ反人間派の悪魔からの評価が上がる」

「そ、そんなぁ。そんな理由でロードリック様の働く研究所を襲うなんて……」

僕がショックを受けるとアモンはケーキを口に入れて頷いた。

「そうかもしれんし、違うかもしれん。もう一個考えれるんがあっちゃんに会うことが目的かもってことや」

「僕に会うこと?」

「そや。魔界の変な奴がまとわりつくのもしょっちゅうやったやん。あっちゃんは昔から誘拐されそうになったり、狙われたりしとるやろ。それが人間界の人間でも湧いたって話やわ」

「んえええ」

思わず変な声が出ちゃった。

「結婚式の様子、あれテレビで全国放送してたんやで。その姿に惚れるやつもおるやろ」

「そうかも?」

魔界でしょっちゅう口説かれていた。でも人間界ではそんなことはガクンと減ったし、そんなことないと思うんだけど。

「ま、惚れてもアイドル的な扱いで終わるんがほとんどやけどな。でも人間はぶっ飛んどる考え方するのがおるからな。捻じくれてぶっ飛んどる奴は、相手に振り向いて欲しいからその人の大事な人を殺してくれって依頼を悪魔にするのが定番やからな。わいも何度か依頼されたことあるわ。そいつがあっちゃんに会いたいがために旦那さんを殺そうとしたんかもしれん」

「そ、それって逆に嫌われちゃう行動だよ。なに、それ、変だよ」

「あっちの考えを聞いてももっと分からんなるで。復讐心でも良いから相手の中に住み着きたいとか、会えば運命だと分かって惚れるとか、そんくらい捻じ曲がってる奴がおるんや。それにこれはわいの想像やし。他にも目的があるかもしれん」

「ひゃあぁ……」

アモンはもぐもぐとケーキを食べながら喋っていた。でも確かにそういう可能性もあるよね。僕、ぽっちゃり系美少年だし。もし犯人がアモンの言う通りなら……

「いいか?あっちゃん」

アモンがフォークで僕をさすように指した。

「アモン、行儀が悪いよ」

「気にすんな。それより好きな男が命を狙われとるのに呑気に他人任せにするとか愛が足らんと思わんか?剣を持ったことない弱いやつならしゃーないわ。でも―――」

「今すぐ行くよ!!まだ犯人の魔力は僕の中に残ってるから感じ取れるよ!」

僕はテーブルを叩いて立ち上がり、リビングを飛び出した。
そうだ!!人間のルールだからって言葉に縛られすぎて大事なことを忘れていた!あの時、ロードリック様が殺されてもおかしくなかったんだ!危ない!!捕まえて首根っこ引っこ抜くくらいしなきゃ安心してお誘いもできないし、ぐっすり寝れないよ!

*****

「あーあ。違うやん、あっちゃん。そこはロードリックのジジイが僕のこと守ろうと動いてくれなかったって嘆くとこやろ。なんであいつのこと守ったるって意気込むんや、ありえんやろ―――あほ」

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