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魔界にいた頃に仕立てて貰ったスーツを着て、ローリック様と一緒に出勤。
僕も出来る男になった気分。研究所の会議室には所長さんと研究員の皆と一緒に、これからお迎えする聖女様のことで最終打ち合わせだ。
「それでは打ち合わせ通りに。よろしく頼むよ」
「はい」
研究員の皆が立ち上がって会議室を出て行った。僕もローリック様に続いて慌てて立ち上がって、所長さんにペコリと一礼して扉へ急ぐ。
「アレックス、焦らなくていい。行くぞ」
「はい」
僕は立ち止まって待ってくれているロードリック様の横に急いで行き、二人で一緒に廊下を歩いた。その途中で聖女のプロフィールを頭の中でおさらいする。
初めて会ったのは結婚式の二次会だったかな。そこで挨拶した時は聖なる力を感じてゾワゾワしちゃった。向こうもきっと闇の力を感じてただろうね。
性格の相性の前に属性が反発してたから、もう会わないだろうなぁって思ってたけどまた会うことになるなんてびっくりだよ。
聖女のプロフィールはごく普通の女の子。爵位はないけど『聖女』だから良い学校に通っている。趣味は読書で本を読むのが大好き。聖女と分かる前の将来の夢は司書さんか小説家だったそう。
今は聖女の勉強に学校の勉強、そして結界魔法を中心に魔法を学んでいるそうだよ。
その合間に教会で奉仕活動や研究所への視察などこなしているんだって。だから皆が彼女を敬愛してて、新聞やニュースでもいっぱい取り上げられている。
噂では幅広い年齢の男性達が彼女との結婚を希望してるんだとか。
「ねえ、ロードリックさん」
「ん?」
僕は歩きながら周りに人がいないことを確認してロドーリック様に話しかけた。
「僕達、ちゃんとラブホテルで結ばれたけど、ロードリック様は僕とのエッチ足りてる?」
「なっ!アレックス、そういう話は家でだ」
彼が女の人との浮気が出来ないとはいえ不安だよ。頬を膨らませてぶぶぶぶと息を漏らすとその頬をローリック様が撫でてくれた。
「アレックス。前にも言ったが俺は呪われた身だ。女性とはできない。それにもし俺の呪いが解けて女性とできたとしても心変わりはしない」
「ほんと?」
「本当だ。それに……その、キミと二人でいる時間はすごく気持ちが良くて幸せだ……」
彼は困ったように眉を寄せているけど照れているように見えて僕は嬉しくなった。
「えへへ。でも僕心配で……ローリックさんって凄く優しいから聖女が惚れちゃったらどうしよう」
「言っただろう?俺が求めてるのはアレックスだけだ。誰に好かれても俺の気持ちは変わらない」
「うん!僕もローリック様だけだよ!」
僕の頬を撫でる手が大好き。鋭いのに僕をみる時は優しくなる目が大好き。心がぽわぽわっとする。
「はいはい、ヴァン君。新婚さんだから目を瞑ってあげるけど職場でいちゃいちゃしないの。もうすぐ聖女様がくる予定だし、準備を整えておいてくれよ」
いつの間にか会議室から出てきて、僕達の後ろにいた所長さん。彼は透明人間だから顔が分からないけど、呆れてる声を出した。
「はい!すみません!」
「すみません、所長」
僕のせいでロードリック様も怒られちゃった……反省しなくちゃ。そう思ってたら所長さんから釘をさされた。
「あ~、あとね、聖女様の視察の時には変な態度を取らないようにね。アレックス君は魔族だから聖女様に良い感情はないだろうけど喧嘩にならないように」
「「はい!」」
僕達の声が重なる。でも顔が熱くなるのが抑えきれない。だってロードリック様が僕一筋って言ってくれたもの。
これで聖女が来ても怖くないぞ~~!ロードリック様と一緒に頑張るぞ!
魔界にいた頃に仕立てて貰ったスーツを着て、ローリック様と一緒に出勤。
僕も出来る男になった気分。研究所の会議室には所長さんと研究員の皆と一緒に、これからお迎えする聖女様のことで最終打ち合わせだ。
「それでは打ち合わせ通りに。よろしく頼むよ」
「はい」
研究員の皆が立ち上がって会議室を出て行った。僕もローリック様に続いて慌てて立ち上がって、所長さんにペコリと一礼して扉へ急ぐ。
「アレックス、焦らなくていい。行くぞ」
「はい」
僕は立ち止まって待ってくれているロードリック様の横に急いで行き、二人で一緒に廊下を歩いた。その途中で聖女のプロフィールを頭の中でおさらいする。
初めて会ったのは結婚式の二次会だったかな。そこで挨拶した時は聖なる力を感じてゾワゾワしちゃった。向こうもきっと闇の力を感じてただろうね。
性格の相性の前に属性が反発してたから、もう会わないだろうなぁって思ってたけどまた会うことになるなんてびっくりだよ。
聖女のプロフィールはごく普通の女の子。爵位はないけど『聖女』だから良い学校に通っている。趣味は読書で本を読むのが大好き。聖女と分かる前の将来の夢は司書さんか小説家だったそう。
今は聖女の勉強に学校の勉強、そして結界魔法を中心に魔法を学んでいるそうだよ。
その合間に教会で奉仕活動や研究所への視察などこなしているんだって。だから皆が彼女を敬愛してて、新聞やニュースでもいっぱい取り上げられている。
噂では幅広い年齢の男性達が彼女との結婚を希望してるんだとか。
「ねえ、ロードリックさん」
「ん?」
僕は歩きながら周りに人がいないことを確認してロドーリック様に話しかけた。
「僕達、ちゃんとラブホテルで結ばれたけど、ロードリック様は僕とのエッチ足りてる?」
「なっ!アレックス、そういう話は家でだ」
彼が女の人との浮気が出来ないとはいえ不安だよ。頬を膨らませてぶぶぶぶと息を漏らすとその頬をローリック様が撫でてくれた。
「アレックス。前にも言ったが俺は呪われた身だ。女性とはできない。それにもし俺の呪いが解けて女性とできたとしても心変わりはしない」
「ほんと?」
「本当だ。それに……その、キミと二人でいる時間はすごく気持ちが良くて幸せだ……」
彼は困ったように眉を寄せているけど照れているように見えて僕は嬉しくなった。
「えへへ。でも僕心配で……ローリックさんって凄く優しいから聖女が惚れちゃったらどうしよう」
「言っただろう?俺が求めてるのはアレックスだけだ。誰に好かれても俺の気持ちは変わらない」
「うん!僕もローリック様だけだよ!」
僕の頬を撫でる手が大好き。鋭いのに僕をみる時は優しくなる目が大好き。心がぽわぽわっとする。
「はいはい、ヴァン君。新婚さんだから目を瞑ってあげるけど職場でいちゃいちゃしないの。もうすぐ聖女様がくる予定だし、準備を整えておいてくれよ」
いつの間にか会議室から出てきて、僕達の後ろにいた所長さん。彼は透明人間だから顔が分からないけど、呆れてる声を出した。
「はい!すみません!」
「すみません、所長」
僕のせいでロードリック様も怒られちゃった……反省しなくちゃ。そう思ってたら所長さんから釘をさされた。
「あ~、あとね、聖女様の視察の時には変な態度を取らないようにね。アレックス君は魔族だから聖女様に良い感情はないだろうけど喧嘩にならないように」
「「はい!」」
僕達の声が重なる。でも顔が熱くなるのが抑えきれない。だってロードリック様が僕一筋って言ってくれたもの。
これで聖女が来ても怖くないぞ~~!ロードリック様と一緒に頑張るぞ!
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