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☆★

翌日、いつもより早く目覚めちゃった僕は枕の下に隠した掌サイズの本を取り出した。
これはお父様達に会ったあの日にいつの間にかポケットに入っていた本。男性同士がエッチするときのお作法が書いてある本だ。
ロードリック様と楽しいデートをするために予習しよう!ということで1ページ目から読んでいく。

「えっと、最初は……『シャワーを一緒に浴びましょう』。お風呂でイチャイチャしてからベットに行くんだね!」

今度こそはと意気込む僕は本の内容を暗記して頭に叩き込む! そして身支度を整えて、ロードリック様と一緒に朝食を食べた。それから彼の車に乗ってデートに出発だ!

「さ、先にどこかへ行こうか。他に行きたいところはあるか?」

車を運転するロードリック様の横顔が怖い。彼がこんな顔をするときは緊張してる時だ。お父様が来たときに比べると威圧感は少ないけどね。

「え、えっと……」

ラブホテルにすぐに行っちゃだめかな?僕は「無理の進めようとせず、相手のペースに合わせるのも大切です」と本の内容を思い出して慌てて考える。

「……ロードリック様と一緒に行けるならどこでも嬉しいです」

僕がそう言うとロードリック様は小さく笑ってくれたから多分正解なはず!良かった!
でも行き先をお任せばかりじゃ困るよね。どこに行こうかな? あ、そうだ。

「鳥カフェに行ってみたいです」

「鳥カフェ?」

「テレビで『鳥を触れ合えるカフェ』をしてたんです。僕、鳥が好きだから行ってみたいなって……」

「そうか……よし、わかった。調べてみよう」

ロードリック様はそう言うとハンドルを回して行き先を変えた。
少し走ったところでコンビニの駐車場で止まった。ロードリック様は板みたいな電話を使って調べ物をよくしている。今は鳥カフェのことを調べてくれていて、僕が画面を覗き込むと見やすいように向けてくれた。

「ここから遠いな。二時間くらいは車での移動になるがいいか?」

「もちろんです」

「長くなるからここで飲み物とお菓子も買っていくか」

車を降りてお菓子とお茶を買って僕とロードリック様は車で再出発した。

☆★☆
2時間くらい車で走って着いたのは鳥カフェ・小鳥の小窓という可愛らしいお店だった。店は赤い屋根と白い壁の建物で、入り口には緑の木々が植わっていておとぎ話に出てきそうな雰囲気だ。
「わぁ!可愛い建物ですね」
僕が喜ぶとロードリック様は嬉しそうに僕の頭を撫でてくれた。
お店の中に入るとお客さんは僕たち二人だけだった。店員さんも鳥がモチーフになったエプロンをつけたお姉さん一人だけだ。

「いらっしゃいませー」

にっこり笑って迎えてくれるお姉さんに僕たちは席に案内されて、メニューを渡された。

「わぁ~!綺麗な羽」

「俺はコーヒーを頼むがアレックスはどうする」

「う~ん……迷っちゃうな……」

僕が腕を組んで悩んでいると、鳥が「アー」って鳴きながら羽を広げたり、エサ入れのお皿に足を乗せたりしてアピールしてきた。

「可愛い~、あ、飲み物、どうしよ……」

飲み物はコーヒと紅茶以外にオレンジ、アップル、ぶどう、ミックスジュース、サイダーがある。そこにクッキーやケーキも組み合わせると幾らでも悩めちゃうよ。

僕がメニューと睨めっこをしていると店員さんがニコニコ笑って話しかけてくる。

「ご注文はお決まりですか~?」

「あ、えっと……コーヒーと、それにクッキー、オレンジジュースをお願いします」

店員さんが注文を伝えてながらも僕の目は隣のカゴの中の小鳥に釘付けだ。小鳥は止まり木の上でぴょんぴょんとジャンプしてアピールしてくる。可愛い~。

「お待たせしました。コーヒーとオレンジジュースです」

店員さんが僕の前にクッキーとオレンジジュースを置いてくれる。小鳥はその間も僕の方を見ていて、まるで「早く遊ぼうよ!」とでも言ってるみたいに見える。
美味しいものを食べて鳥を眺められるなんてとっても素敵だよね。
体験コーナーでは肘まである特別な手袋をつけて腕に大きな鳥を乗せることもできた。
鳥を腕に乗せた僕をロードリック様が写真に撮ってくれて、ロードリック様に言えばいつでも見れるようになった。

「ロードリック様、人間界って楽しいですね!」
「ああ」

僕がそう言うとロードリック様は穏やかに微笑んで頷いた。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。鳥カフェでおそろいの白い鳥のキーホルダーを買ってから車に乗った。
早く起きたせいか走る車の中で僕はうとうと眠気が襲ってきていつの間にか眠ってしまったんだ。

★☆

「アレックス。起きろ。部屋へ上がろう」

「ん、んん……」

ロードリック様に優しく揺すられて目を覚ました僕は欠伸をしてから窓の外を見た。
車の左右は壁に囲まれて、正面には道を挟んで駐車場の上に小さな家が乗っかった建物が見えた。

「あれ?鳥カフェから出て……いつの間にか寝てて、ここは?」

ロードリック様を見上げると彼は真面目な顔をした。

「ここがキミが行きたがっていたラブホテルだ」

「こ、ここ」

僕はボールが跳ねるように車を飛び出して駐車場から出る。ぐるっと周りを見回すと正面からみえた建物と同じ見た目の場所に僕達の車が停めてあった。

「アレックス、こっちだ。ここから中に入れる」

手招きをされ、僕は彼の元へ小走りで行く。駐車場の奥にドアがあって、そのドアを開けたら階段がある。
階段を昇ってまたドアを開けたらベッドのある部屋だった。

「わぁ……ここがラブホテル……」

先に入ったロードリック様に続いて僕が部屋の中に入ると後ろでドアがバタンと閉まり鍵がかかる音がした。

「アレックス」

横から引き寄せられるように抱きしめられて、僕はビクッと体を強張らせた。お、落ち着け僕!ロードリック様はいつもの優しいロードリック様だ!だから大丈夫……でもドキドキしてアソコがムクムクと大きくなってきちゃう!

「アレックス、今日は本当にいいのか?」

耳元で囁かれるように言われた言葉に僕は首を縦に動かした。するとうなじをペロリと舐められる。熱くてぬるりとした感触は体が震えそうなほど気持ちいい。

「あ……ロードリック様」

僕は我慢できなくなって両腕で彼の首の後ろに回してキスをした。

「先にシャワーを浴びようか」

ロードリック様の言葉に頷いた。僕は彼に手を引かれて浴室へと連れていかれた。
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