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明日は久しぶりに用事がなにもない休みなのに帰ってきたロードリック様は浮かない顔をしていた。でも玄関で待っていた僕の顔を見ると笑って頭を撫でてくれたんだ。
「ロードリック様、なにかあったんですか?」
彼のカバンを持ってあげて、一緒に寝室へ移動する。
「ん、ああ。ここではなんだ。食事をしながら話そう。アレックスは先に行って食事の準備をしていてくれ」
ロードリック様は寝室のドアの前でカバンを受け取り、着替えるために部屋に入っていく。僕は首をかしげながらキッチンに向かった。
ロードリック様、どうしたんだろう?何か言いにくいことがあったのかな?
「お待たせ」
食堂へ来たロードリック様はラフな格好に着替えていた。
「もうすぐ温まりますから座ってゆっくりしててくださいね」
食事を並べて、二人で夕食を食べるとようやくロードリック様が話を切り出してくれたんだ。
「アレックス、実は今度、聖女様が魔法の勉強の一環で各地の魔法研究所を回るらしいんだ。それで俺の働いている研究所に来られる時はアレックスも来るように頼まれてしまった」
「え?聖女様が来るのに僕も行くんですか?」
「ああ、闇魔法への理解を深めるために魔族の話を聞きたいそうだ。だが平和的な同盟を結んでいるとはいえ聖女に好意的な悪魔は少ないから、俺と結婚してくれたアレックスならどうかと打診されたんだ」
僕はフォークを置いて考える。
だってもし僕が借金の返済代わりに人間界で結婚していなかったら魔界にずっといたと思う。そして人間なんてどうでも良いって思っていたと思う。
でも今は人間と仲良くする悪魔としてココにいるし、なによりもロードリック様が僕は大好きだ。
魔族の本能的に聖女や聖職者とはどうしても距離を取りたくなってしまうけど、名前を忘れちゃったけど聖女の力がある彼女自身を避ける理由にはならないよね。
「聖女様の知りたいお話ができるかは分からないけど、僕でよければ闇魔法のことや魔族のことを話してみます」
僕がそう言うとロードリック様は肩の荷が降りたようにため息をついた。
「ああ、アレックスならそう言ってくれるだろうと思っていたんだ。その時は俺も必ず同行するから心配しないでくれ」
「ロードリック様も一緒なら安心です!あの、ロードリック様、話は変わるけど、その、明日はお休みですよね」
「明日は久しぶりに二人でゆっくり過ごせるな。どこか行きたい所はあるか?」
「あ、えっと……ラ」
「ラ?」
「ラ、ラブホテルに行きたいです!」
言っちゃった。
僕の言葉を聞いてロードリック様はお茶を吹き出しむせていた。
「ラ、ラブホテルだと!?」
「はい!ずっと行ってみたかったんです!」
僕は鼻息を荒くして身を乗り出した。お父様達とお母様を見て思い出したんだ。デートの定番スポット・ラブホテルのことを!
最大に仲が深まった二人が必ず行くと聞いているラブホテル。僕もロードリック様と行きたい。
「あ、アレックス……それはどういうところか分かって、いる、はずだな。俺に……を、も、求めてきたこともあるのだから……」
時々ごにょごにょと聞き取りずらいけどロードリック様がそう言ったのが聞こえた。
「はい!大人が楽しむ場所ですよね!食事を注文できるし、歌も歌えるしテレビも見れるって聞いたことあります!ベッドが大きくてエッチするのに楽しい場所!」
僕が目をキラキラさせてそう言うとロードリック様は頭を抱えた。
「……アレックス…………」
「だめ、ですか?」
僕が上目遣いで首をかしげるとロードリック様は顔を真っ赤にさせて視線をそらす。そしてしばらく何かを考えてから深くため息をついた。
「分かった」
「やった!ロードリック様、ありがとう!」
僕がガッツポーズをしたら二の腕とお腹がぷるっと揺れた。
「アレックス。本当に君は……俺の理性が……」
そんなつぶやきが聞こえたけど、ロードリック様とラブホテルに行けることが嬉しい!
明日は久しぶりに用事がなにもない休みなのに帰ってきたロードリック様は浮かない顔をしていた。でも玄関で待っていた僕の顔を見ると笑って頭を撫でてくれたんだ。
「ロードリック様、なにかあったんですか?」
彼のカバンを持ってあげて、一緒に寝室へ移動する。
「ん、ああ。ここではなんだ。食事をしながら話そう。アレックスは先に行って食事の準備をしていてくれ」
ロードリック様は寝室のドアの前でカバンを受け取り、着替えるために部屋に入っていく。僕は首をかしげながらキッチンに向かった。
ロードリック様、どうしたんだろう?何か言いにくいことがあったのかな?
「お待たせ」
食堂へ来たロードリック様はラフな格好に着替えていた。
「もうすぐ温まりますから座ってゆっくりしててくださいね」
食事を並べて、二人で夕食を食べるとようやくロードリック様が話を切り出してくれたんだ。
「アレックス、実は今度、聖女様が魔法の勉強の一環で各地の魔法研究所を回るらしいんだ。それで俺の働いている研究所に来られる時はアレックスも来るように頼まれてしまった」
「え?聖女様が来るのに僕も行くんですか?」
「ああ、闇魔法への理解を深めるために魔族の話を聞きたいそうだ。だが平和的な同盟を結んでいるとはいえ聖女に好意的な悪魔は少ないから、俺と結婚してくれたアレックスならどうかと打診されたんだ」
僕はフォークを置いて考える。
だってもし僕が借金の返済代わりに人間界で結婚していなかったら魔界にずっといたと思う。そして人間なんてどうでも良いって思っていたと思う。
でも今は人間と仲良くする悪魔としてココにいるし、なによりもロードリック様が僕は大好きだ。
魔族の本能的に聖女や聖職者とはどうしても距離を取りたくなってしまうけど、名前を忘れちゃったけど聖女の力がある彼女自身を避ける理由にはならないよね。
「聖女様の知りたいお話ができるかは分からないけど、僕でよければ闇魔法のことや魔族のことを話してみます」
僕がそう言うとロードリック様は肩の荷が降りたようにため息をついた。
「ああ、アレックスならそう言ってくれるだろうと思っていたんだ。その時は俺も必ず同行するから心配しないでくれ」
「ロードリック様も一緒なら安心です!あの、ロードリック様、話は変わるけど、その、明日はお休みですよね」
「明日は久しぶりに二人でゆっくり過ごせるな。どこか行きたい所はあるか?」
「あ、えっと……ラ」
「ラ?」
「ラ、ラブホテルに行きたいです!」
言っちゃった。
僕の言葉を聞いてロードリック様はお茶を吹き出しむせていた。
「ラ、ラブホテルだと!?」
「はい!ずっと行ってみたかったんです!」
僕は鼻息を荒くして身を乗り出した。お父様達とお母様を見て思い出したんだ。デートの定番スポット・ラブホテルのことを!
最大に仲が深まった二人が必ず行くと聞いているラブホテル。僕もロードリック様と行きたい。
「あ、アレックス……それはどういうところか分かって、いる、はずだな。俺に……を、も、求めてきたこともあるのだから……」
時々ごにょごにょと聞き取りずらいけどロードリック様がそう言ったのが聞こえた。
「はい!大人が楽しむ場所ですよね!食事を注文できるし、歌も歌えるしテレビも見れるって聞いたことあります!ベッドが大きくてエッチするのに楽しい場所!」
僕が目をキラキラさせてそう言うとロードリック様は頭を抱えた。
「……アレックス…………」
「だめ、ですか?」
僕が上目遣いで首をかしげるとロードリック様は顔を真っ赤にさせて視線をそらす。そしてしばらく何かを考えてから深くため息をついた。
「分かった」
「やった!ロードリック様、ありがとう!」
僕がガッツポーズをしたら二の腕とお腹がぷるっと揺れた。
「アレックス。本当に君は……俺の理性が……」
そんなつぶやきが聞こえたけど、ロードリック様とラブホテルに行けることが嬉しい!
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