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18(ロードリック視点)
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★★☆
仕事中、変形したイヌの置物や俺の家で預かっていた呪物について最終の報告書を書き終えた。これが終われば明日は久々に丸一日休みになる。
「よし、これで完成だ」
俺はペンを置いてグッと背伸びをすると目の前にティーカップが置かれた。
「お疲れさん。お茶でも飲んで休憩しろよ」
ニカッと笑いながら茶菓子を持ってきたのは同期のカルマンだった。彼とは研究所に入所してからなので付き合いは長い。
もうすぐ子供が学園を卒業するらしく、子育てが一段落したと最近は毎日とても機嫌が良い。
「あぁ、ありがとう」
礼を言ってカップを手にするとふわりと香ばしい香りが鼻をくすぐる。これは俺の好みのお茶で、カルマンの気遣いを嬉しく思う。
お茶を一口飲むと口の中にスパイシーな風味が広がってほうっとため息が出るほど美味しかった。
「美味いな」
俺がそう言うとカルマンは嬉しそうに笑う。そして空いている椅子に座った。
「最近、ロードリックのところは色々あるけど大丈夫か?結婚に泥棒騒ぎ、呪物の管理もスケジュールが変わって忙しいって聞いていたから心配してたんだ」
「今のところは問題ない。俺のアレックスも色々と頑張ってくれているからな」
俺は毎日忙しく研究所との家を往復して帰りが日付を超えることもあるが、アレックスが俺になるべく負担をかけないように家事をしたり、話し相手をしてリラックスできるようにしてくれるから仕事の疲れも吹っ飛ぶほど元気をもらえている。
「そうか、なら良かったよ。やっぱり新婚だな。俺の家はもう喧嘩ばかりだぜ。学費だ、部費だと金のことからもっと家事を手伝えとか」
「お前のところは奥さんがしっかりしてるからこそだろ。お前一人だと生活出来ないだろ。逃げられないようにしておいた方がいいぞ」
そう言うとカルマンは照れくさそうに笑った。
「まあ、な。この仕事してたら人間の心って醜いって思うけどよ。家族が笑ってくれるとやっぱり、いいよ。子供がは小さい時が一番可愛かったけども……大きくなって一人前になるともう俺の世話もいらなくなるし……まあ、この年になって寂しいって思うこともあるんだな」
カルマンは少し照れたように鼻をかきながら嬉しそうに笑う。
「いい年して子離れできてないだけじゃないのか?」
俺がそう言うとカルマンは「うるせえ」と小突いてきた。
「それよりお前のことだよ。一番心配してるのがお前の嫁?との文化の違いだよ。向こうは悪魔だろ。しかも政略結婚で人間と悪魔の代表同士で結婚だ。それでも仲がいいみたいだけど生活を合わせるのが大変じゃないのか?」
「ああ、アレックスも多分それを分かってるから今は俺に負担をかけないようにって色々努力してくれているよ。俺は……人間や悪魔とか考えず、ただアレックスが喜ぶことをしてやりたいと思ってる」
「ひゅ~、熱いね!結婚式でお前の姿を見た時は絶対すぐ離婚すると思ってたんだけどな」
「ああ、彼の事を知る前は俺も不安だったが、今は離婚なんて考えられないほどアレックスが一番大切だ」
「ふーん、まあ上手くやっているんなら良かったよ!また何か困ったことがあったら言えよ?今度、聖女様が魔法研究所をあちこち巡るらしいぞ。それでまた忙しくなるみたいだからな。お互い頑張ろうぜ」
カルマンはグッと伸びをしてから立ち上がる。そして俺に手を振りながら自分の席に戻って行った。
仕事中、変形したイヌの置物や俺の家で預かっていた呪物について最終の報告書を書き終えた。これが終われば明日は久々に丸一日休みになる。
「よし、これで完成だ」
俺はペンを置いてグッと背伸びをすると目の前にティーカップが置かれた。
「お疲れさん。お茶でも飲んで休憩しろよ」
ニカッと笑いながら茶菓子を持ってきたのは同期のカルマンだった。彼とは研究所に入所してからなので付き合いは長い。
もうすぐ子供が学園を卒業するらしく、子育てが一段落したと最近は毎日とても機嫌が良い。
「あぁ、ありがとう」
礼を言ってカップを手にするとふわりと香ばしい香りが鼻をくすぐる。これは俺の好みのお茶で、カルマンの気遣いを嬉しく思う。
お茶を一口飲むと口の中にスパイシーな風味が広がってほうっとため息が出るほど美味しかった。
「美味いな」
俺がそう言うとカルマンは嬉しそうに笑う。そして空いている椅子に座った。
「最近、ロードリックのところは色々あるけど大丈夫か?結婚に泥棒騒ぎ、呪物の管理もスケジュールが変わって忙しいって聞いていたから心配してたんだ」
「今のところは問題ない。俺のアレックスも色々と頑張ってくれているからな」
俺は毎日忙しく研究所との家を往復して帰りが日付を超えることもあるが、アレックスが俺になるべく負担をかけないように家事をしたり、話し相手をしてリラックスできるようにしてくれるから仕事の疲れも吹っ飛ぶほど元気をもらえている。
「そうか、なら良かったよ。やっぱり新婚だな。俺の家はもう喧嘩ばかりだぜ。学費だ、部費だと金のことからもっと家事を手伝えとか」
「お前のところは奥さんがしっかりしてるからこそだろ。お前一人だと生活出来ないだろ。逃げられないようにしておいた方がいいぞ」
そう言うとカルマンは照れくさそうに笑った。
「まあ、な。この仕事してたら人間の心って醜いって思うけどよ。家族が笑ってくれるとやっぱり、いいよ。子供がは小さい時が一番可愛かったけども……大きくなって一人前になるともう俺の世話もいらなくなるし……まあ、この年になって寂しいって思うこともあるんだな」
カルマンは少し照れたように鼻をかきながら嬉しそうに笑う。
「いい年して子離れできてないだけじゃないのか?」
俺がそう言うとカルマンは「うるせえ」と小突いてきた。
「それよりお前のことだよ。一番心配してるのがお前の嫁?との文化の違いだよ。向こうは悪魔だろ。しかも政略結婚で人間と悪魔の代表同士で結婚だ。それでも仲がいいみたいだけど生活を合わせるのが大変じゃないのか?」
「ああ、アレックスも多分それを分かってるから今は俺に負担をかけないようにって色々努力してくれているよ。俺は……人間や悪魔とか考えず、ただアレックスが喜ぶことをしてやりたいと思ってる」
「ひゅ~、熱いね!結婚式でお前の姿を見た時は絶対すぐ離婚すると思ってたんだけどな」
「ああ、彼の事を知る前は俺も不安だったが、今は離婚なんて考えられないほどアレックスが一番大切だ」
「ふーん、まあ上手くやっているんなら良かったよ!また何か困ったことがあったら言えよ?今度、聖女様が魔法研究所をあちこち巡るらしいぞ。それでまた忙しくなるみたいだからな。お互い頑張ろうぜ」
カルマンはグッと伸びをしてから立ち上がる。そして俺に手を振りながら自分の席に戻って行った。
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