愛人候補で終わったポチャ淫魔君、人間の花嫁になる。

からどり

文字の大きさ
上 下
16 / 37

16

しおりを挟む
ソファは狭くて壁側じゃないロードリック様が落ちるんじゃないかと心配なんだけど横向きになって抱きしめ合う形で約束通り一緒に横になってくれた。

「アレックス、その犬になにを話したんだ?」
「ロードリック様のことを話しました。最初は怖かった雰囲気だったけど優しいところとか、美味しいご飯を作ってくれることとか話したんです」

「他には?」

「ステーキを焼くのが上手だよとか、僕が失敗したパンを食べてくれた話もしました。それとチョコレートをくれたこも」

「あ、ああ……そうか」

なんとなく嬉しそうな声なんだけど、ちょっと歯切れが悪いかな?食いしん坊すぎて引かれちゃった?

「ロードリック様は、もう眠い?」

「いや、俺はアレックスが眠くないならもっと話がしたい。良ければ魔界で暮らしていたことを聞かせてくれないか」

「じゃあ、僕のことをいっぱいお話ししますね」

「ああ、頼む」

ふふっと嬉しそうな声が聞こえてきて僕は嬉しくて話し続けることにした。ロードリック様が笑ってくれるなら僕も嬉しいし元気がでるから。

★☆★

家に帰り、周辺と家の中を確認するとロードリック様はお風呂にも入らず、着替えもせずにそのまま寝室に入って寝ちゃった。
ほぼ一晩中、いろんなことが流れるように起きて大変だったよね……僕は反対に目が冴えちゃって眠れそうにもない。

音を立てないように雑巾で拭き掃除をしたり、起きたらすぐにご飯ができるように準備をしたりしていたんだけどロードリック様のことが気になっちゃう。

寝ている時に勝手に入った駄目だと分かってはいるんだけど顔を見るだけだからと寝室にお邪魔しちゃった。
よほど疲れているのか布団もかぶらずにネクタイを緩めてベルトもボタンも外した姿で眠るロードリック様を見ているだけでドキドキしちゃう。


寝顔もかっこよくって、「こんなにカッコイイなんて!」と叫びたくなっちゃう。
そっと近づいていくんだけどロードリック様が寝ていると分かっていてもドキドキしちゃうよ……。
起こさないように気をつけながら彼の頭をそおっと撫でてみる。

「ロードリック様、大好きです」

寝顔を見ながら気持ちを口にする。そうしていると胸の奥から温かいものが溢れてきて、これが好きってことなんだなって再確認しちゃう。
本当は起きているときに言って、もっとギューってして欲しい。それでエッチなこともしてほしい。

「ロードリック様……」

ちょっとくらいならいいかな。寝てるし、ちょっとだけ……僕は彼の頬に唇を近づけてキスをしてみた。
結婚式の時にしたときみたいに温かいほっぺだった。
口同士のキスもしていいよね?前にロードリック様からキスしてくれたし。僕は彼の頬を両手で包んで唇を近づけた。

「んー、アレックス……」

「はわわっ」

でもあとちょっとのところで名前を呼ばれて慌てて離れた。ロードリック様が寝言を言ってるっ。どんな夢をみてるのかな?僕の名前を言ってくれてるなんて嬉しい!もっともっと名前を呼んで欲しいし、僕のこと好きになって欲しいよ!

「ん……んん」

あ、どうしよう。これ以上見ているといけない気持ちになってきちゃう。でもロードリック様は疲れているからゆっくり眠ってもらわなきゃ。

「おやすみなさい、ロードリック様」

僕はもう一度だけ頬にキスをして寝室を出ることにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

【完結】「+20キロ!?」〜優しい見た目ヤンキーとぽっちゃり男子のお話

天白
BL
田舎の高校に転校してきたのは都会からやってきた吉良真守(♂)。 ボサボサ頭に蚊の鳴くような小さい声、狸のようなでっぷりお腹に性格は根暗ときたもんだ。 第一印象は最悪。でもそれにはある秘密があって…… ※拙作『+20kg!?』(オリジナル作品)を元に、コンテスト用に一から書き直しました♪ 他投稿サイト「Blove」第2回BL短編小説コンテスト「嘘から始まる恋」応募作品です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

某国の皇子、冒険者となる

くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。 転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。 俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために…… 異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。 主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。 ※ BL要素は控えめです。 2020年1月30日(木)完結しました。

処理中です...