愛人候補で終わったポチャ淫魔君、人間の花嫁になる。

からどり

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入り口の横にはメニューと値段、リアルな絵が書かれていた。その横の壁には少し汚れていたけど『期間限定 ほくほくじゃが芋のパイ』と書かれた湯気のたったパイとじゃが芋の絵がかかれていた。

お店に入ると店員さんがこちらへと案内してくれた。

「いらっしゃいませ」

オレンジがメインカラーの服を着たウェイターさんが来て僕を見てニコッと微笑んだ。
僕もニコッと笑顔を返した。
ロードリック様がテーブルの椅子を引いてそこに座った。あれ?レストランなのに自分でするの?って思ったけど僕も自分で椅子を引いて座った。
ウェイターさんがすっとお水、フォークやスプーン、ナイフなどが並べられた。メニューとを置いてくれたので僕はそれを受け取ってメニューを開いた。
ロードリック様が言っていた通りステーキやハンバーグのセットがあった。でもメニューをよく見るとデザートが充実してる!
「アレックス、決めたか?俺はこのチーズトマトのパスタを頼む」

「僕はハンバーグとステーキセットにします!」

ロードリック様は僕を見て楽しそうに笑っていた。ハンバーグとステーキが一つの鉄板に乗ってでてくる豪華セットなんて夢のような食事が食べられるから僕も笑った。
ウェイターさんを呼んで注文すると二人で料理が来るまで待った。

「アレックス、ご実家からは何人くらい来る予定か分かるか?」
「えっと……手紙だけだとブランクお父様だけ来るというないようなんですが、他のお父様達も来るので7人いると思います」

「ほかのおとうさま?」

「お話してませんでしたか?僕にはお父様だろう悪魔が七人いるって」

「それは……魔界には人間界のような戸籍票がない。ただキミの母親が特殊な種族だと聞いていた。だから人間界とは違う習慣があるだろ。父親が複数いる複雑な家庭なのは離婚と再婚を繰り返した結果かと」

「僕、正直に言うと本当のお父様が誰か知らないんです。お父様だろう人達とお母様が納得して親子の繋がりの検査をしてないから息子の僕はそれに従うんです」

「こっそりと調べようとは思……」

「お待たせしましたー」

お料理が運ばれてきたので会話を中断した。
運ばれたステーキとハンバーグはリアルな絵の通りに一つの鉄板に乗っていて、添えられた人参ソテーが輝いて見えた。

「美味しそう……いただきます!」

ナイフとフォークを持ってハンバーグを一口。外側は香ばしく焼かれていて下味が濃いけど美味しい。
ステーキはちょっとかたいお肉だけどもペロリと食べてしまった。
セットのパンは温めてあり、ロードリック様が買ってきてくれるパンに似ていた。

「ロードリック様、デザートどうですか?」

「俺はコーヒーがあればいい。アレックスは好きなものを頼んでいいからな」

「じゃあ、アイスを頼もうかな」

メニューを取ってデザートのページを見る。アイスはバニラやチョコレート、ストロベリーにパイナップルもあった。魔界では氷魔法を使えないとなかなか食べれないデザートだ。

「これ……食べたいけど、ちょっと高いなあ」

メニューを見ながらうーんと唸る。一つ1000円というアイスタワーパフェ。
ロードリック様との生活で人間のお金の価値が分かるようになったから働いていない僕にとってこれは大金だ。

「遠慮しなくていい。食事も足りなかったら追加していいんだぞ」

「えっ!?でも……」

「疲れた時に甘いものをとると疲れがとれるそうだからな。頑張ってくれているキミにご褒美がいるだろ」

そうは言うけど本当に贅沢をしていいのかな?って思ってしまう。でもこのデザートすごく美味しそうだから……食べたいなあ。

「じゃあ……いただきます」

ロードリック様がテーブルのボタンを押してウェイターさんを呼び、注文をしてくれた。

「ロードリック様、今日はありがとうございました」

デザートと珈琲が運ばれる前に忘れないようにお礼を言った。

「外食をして俺もいい気分転換になった。ありがとう。アレックスは楽しかったか?」

「はい!楽しくって美味しかったです」

にっこり笑うとロードリック様も笑った。

デザートはアイスが乗った美味しいパフェで、パフェの上のアイスクリームを食べてコーンフレークを口に入れた時にチラッとロードリック様を見たらニコニコしながら僕を見ていた。
僕が食べていたところを見られていたんだと急に恥ずかしくなったので急いで飲み込んだから喉に詰まってしまった。
胸をトントンと叩いていたらロードリック様がお水をくれたからそれを飲んで一息ついた。

「慌てなくていい。ゆっくり食べなさい」

ロードリック様が優しく笑っていた。

初めて会った時は怖い顔をしていたのに、結婚が人を変えるって本当だね。

「ごちそうさまでした!」

デザートも食べ終わって僕達はお店から出た。
ロードリック様が運転してくれて来た道を戻ってお屋敷に帰った。

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