10 / 37
10(ロードリック視点)
しおりを挟む
柔らかく温かい二人だけの世界。
「ふにゅー、ふこー」
俺の隣で眠るアレックスは寝息を立てながら、時々口とほっぺを動かして夢の中で何かを食べていた。
キミのみる夢の中で食事を共にしている相手は俺だと嬉しい。
「アレックス、今日、キミを訪ねて来た者は本当に友達なのか」
自画自賛になるが、私は結界を張るのが得意だ。だから信頼されて呪われた道具達の呪いを薄めるために清浄の地に家を立てて呪われた道具の浄化を許されている。
並の悪魔なら敷地に足を踏み入れた途端に弾かれるはずだ。しかしそれを破って家に踏み込んだとなると相手は高位の悪魔。
魔王がアレックスを気遣い、派遣した者だろうか。
彼が起きている間に聞けば良いことなのだが、本当にただの友達なら俺の質問は彼を信じていないように思われるかもしれない。
そんな葛藤など知らないアレックスは夢でまた何かを食べているようで可愛い口を開けていた。
のんきな姿を見ていると腹立たしくも愛おしく、どんな反応を見せてくれるのかと口に指を差し込んでしまった。
ぬるりと動く舌が指に絡まり、食べ物かを確かめるかのように上下の歯に軽く挟まれた。
味わっているのかぬらぬらと舌が這うように動く。眉頭同士が引っ付きそうなほど眉間に皺が寄った。美味しくなかったようで俺の指は柔らかい舌で口の外に押し出された。
「ん……。ロードリック様……」
寝言で俺の名を呼ぶキミ。
夢の中でも俺と過ごす時間を作ってくれていると思うと気分が良い。
「キミに俺以外の者と過ごしてほしくないと言ったらどうする」
寝ているアレックスにそう問いかけても返事はない。ふにゃりと笑い、何かを食べるように口を動かしていた。
「……キミは俺の妻だ」
魔族なのに穏やかに尽くしてくれる。淫魔でありながら操を立ててくれる彼と結婚できた俺は世界一の果報者だろう。だが彼と過ごす時間が増えれば増えるほど誰にも渡したくないという感情が湧いてくるのだ。
彼が他の悪魔と親しくしていることが気に食わないし、人間の友達がいずれできるだろうと思うと嫉妬の炎が燃え上がる。
俺にとってアレックスは理想そのもので男の欲をぶつけたくても汚したくない。
今日は酒の力を借りずに抱き合うことができた。口づけもできた。だがその次に進むのが怖い。しかし進まなければ彼は淫魔の本能で誰かの下に組み敷かれ、取られてしまう妄執に取り憑かれてしまう。
大切にしたい。汚したい。愛し合いたい。
「この感情は私の身勝手な思いなのだろうか」
そっと彼を抱きしめると彼は寝ぼけているようで俺の胸に顔を埋めた。そしてまた寝息を立て始めたので俺は彼の額に口づけをして目を閉じた。
窓辺に飾っていた植物の浄化が予定より早く終わり、今日は二つほど呪われた物を持って帰っている。呪われた道具を盗まれないようにという名目で明日、目がさめたらもっと強い結界を貼ろう。
「ふにゅー、ふこー」
俺の隣で眠るアレックスは寝息を立てながら、時々口とほっぺを動かして夢の中で何かを食べていた。
キミのみる夢の中で食事を共にしている相手は俺だと嬉しい。
「アレックス、今日、キミを訪ねて来た者は本当に友達なのか」
自画自賛になるが、私は結界を張るのが得意だ。だから信頼されて呪われた道具達の呪いを薄めるために清浄の地に家を立てて呪われた道具の浄化を許されている。
並の悪魔なら敷地に足を踏み入れた途端に弾かれるはずだ。しかしそれを破って家に踏み込んだとなると相手は高位の悪魔。
魔王がアレックスを気遣い、派遣した者だろうか。
彼が起きている間に聞けば良いことなのだが、本当にただの友達なら俺の質問は彼を信じていないように思われるかもしれない。
そんな葛藤など知らないアレックスは夢でまた何かを食べているようで可愛い口を開けていた。
のんきな姿を見ていると腹立たしくも愛おしく、どんな反応を見せてくれるのかと口に指を差し込んでしまった。
ぬるりと動く舌が指に絡まり、食べ物かを確かめるかのように上下の歯に軽く挟まれた。
味わっているのかぬらぬらと舌が這うように動く。眉頭同士が引っ付きそうなほど眉間に皺が寄った。美味しくなかったようで俺の指は柔らかい舌で口の外に押し出された。
「ん……。ロードリック様……」
寝言で俺の名を呼ぶキミ。
夢の中でも俺と過ごす時間を作ってくれていると思うと気分が良い。
「キミに俺以外の者と過ごしてほしくないと言ったらどうする」
寝ているアレックスにそう問いかけても返事はない。ふにゃりと笑い、何かを食べるように口を動かしていた。
「……キミは俺の妻だ」
魔族なのに穏やかに尽くしてくれる。淫魔でありながら操を立ててくれる彼と結婚できた俺は世界一の果報者だろう。だが彼と過ごす時間が増えれば増えるほど誰にも渡したくないという感情が湧いてくるのだ。
彼が他の悪魔と親しくしていることが気に食わないし、人間の友達がいずれできるだろうと思うと嫉妬の炎が燃え上がる。
俺にとってアレックスは理想そのもので男の欲をぶつけたくても汚したくない。
今日は酒の力を借りずに抱き合うことができた。口づけもできた。だがその次に進むのが怖い。しかし進まなければ彼は淫魔の本能で誰かの下に組み敷かれ、取られてしまう妄執に取り憑かれてしまう。
大切にしたい。汚したい。愛し合いたい。
「この感情は私の身勝手な思いなのだろうか」
そっと彼を抱きしめると彼は寝ぼけているようで俺の胸に顔を埋めた。そしてまた寝息を立て始めたので俺は彼の額に口づけをして目を閉じた。
窓辺に飾っていた植物の浄化が予定より早く終わり、今日は二つほど呪われた物を持って帰っている。呪われた道具を盗まれないようにという名目で明日、目がさめたらもっと強い結界を貼ろう。
11
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
魔力なしの嫌われ者の俺が、なぜか冷徹王子に溺愛される
ぶんぐ
BL
社畜リーマンは、階段から落ちたと思ったら…なんと異世界に転移していた!みんな魔法が使える世界で、俺だけ全く魔法が使えず、おまけにみんなには避けられてしまう。それでも頑張るぞ!って思ってたら、なぜか冷徹王子から口説かれてるんだけど?──
嫌われ→愛され 不憫受け 美形×平凡 要素があります。
※総愛され気味の描写が出てきますが、CPは1つだけです。
繋がれた絆はどこまでも
mahiro
BL
生存率の低いベイリー家。
そんな家に生まれたライトは、次期当主はお前であるのだと父親である国王は言った。
ただし、それは公表せず表では双子の弟であるメイソンが次期当主であるのだと公表するのだという。
当主交代となるそのとき、正式にライトが当主であるのだと公表するのだとか。
それまでは国を離れ、当主となるべく教育を受けてくるようにと指示をされ、国を出ることになったライト。
次期当主が発表される数週間前、ライトはお忍びで国を訪れ、屋敷を訪れた。
そこは昔と大きく異なり、明るく温かな空気が流れていた。
その事に疑問を抱きつつも中へ中へと突き進めば、メイソンと従者であるイザヤが突然抱き合ったのだ。
それを見たライトは、ある決意をし……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる