愛人候補で終わったポチャ淫魔君、人間の花嫁になる。

からどり

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☆★★☆

「ロードリック様、お帰りなさい」

玄関で彼を出迎えたら彼は少し驚いた顔をした。それから左右と僕を通り越して正面を見つめた。

「ただいま。俺が留守の間になにか……魔界から訪れていたみたいだな?」

「僕の友達のアモンが来てくれたんです」

どうして分かったのか不思議だけど、僕が嬉しそうだったからかな?
僕が結婚したと聞いた幼馴染のアモンが訪ねてきたことを話した。そして彼は「そうか」だけ言って自分の部屋に入った。

夜はいつも通りに二人で食事をして、食器を片付けた。いつもみたいに僕が先にお風呂に入って、お風呂から出たらロードリック様が浴室に入って行った。

しばらくは部屋で過ごしていたんだけど今日も寝酒のお付き合いでいつもの時間に来るよう呼ばれている。
アモンが言っていた通り瘴気や精気を貰うことは大事だし、僕から迫ったらその気になってくれるかなあ?

ドキドキとして落ち着かないから少し早いけどロードリック様の部屋に繋がるドアを開けて中に入った。

「早すぎましたか?」

「いや、構わない」

良かった。だけど彼を見ているだけでドキドキが加速してくる。
僕は少し距離をあけて彼の隣に座る。そしたら彼はわざわざ椅子ごと移動し、距離を詰めてきて密着してきた。横は僕のほうが広いくらいなんだけど身長差があるからどうしても彼を見上げてしまう。

「あ……」

どうしよう……心臓がバクバクして口から飛び出そうだ。今まではロードリックさんが酔ってからのハグだけしかしていないし、彼が酔ってないのに腕や肩が密着することなんてなかったから緊張してしまう。
これは瘴気や精気をもらうための準備だから、と僕は手を震わせながら彼に腕を伸ばして抱きついた。
すると彼も僕の背に腕を回してきた。

「あっ……」

ぎゅっと抱きしめあうと普通のことだけど体がさらに密着する。彼の温もりを感じると、僕のドキドキはもっと加速していく。

彼は僕を抱きしめたまま体を揺らしてきた。ロードリック様は何も言わずにただ揺れているだけだけど、その間も彼の息が耳たぶにかかって僕は好きがいっぱいになってどんどん満足してしまう。

「あ、あの……ロードリック様」

「ん?」

僕だけ満足してはダメだ。僕は彼の胸に顔を押し付けた。彼みたいに愛情表現が上手くできるかな。とにかく彼に抱きついたまま僕も体を揺らした。

「どうしたんだ?今日は随分と甘えてくれるのだな」

「ぼ、僕は甘えん坊ではないです。ただちょっと……」

彼の胸に顔を埋めたまま答えたからくぐもってしまってよく聞こえなかったみたいだ。すると彼は僕をさらに強く抱きしめてくれた。

「友人に会って寂しくなったのか?たまには向こうに帰っても良いのだぞ」

「んーんー」

寂しくなったのは当たってるかもしれないけど、こうやってロードリック様とくっついていたいだけだ。

僕の頭に彼の唇が寄せられた。彼に抱きつかれるのは嬉しいけど、ずっと抱きついていたら彼は体を休めることができないんじゃないかって思って僕は体を離そうとした。でも彼は僕を強く抱きしめたままで離してくれなかった。それどころか僕の手をとって指の間に指を滑り込ませてきたんだ。これは恋人繋ぎってやつだ!

「あ、あの……ロードリック様」

「なんだ?」

彼は少し体を離して僕の顔を見た。もうドキドキが止まらなすぎて僕はどうにかなりそうだった。

「僕がずっと抱きつくのは良いんでしょうか?お疲れのようでしたら……」

「何を言っているんだ?俺は疲れているからキミに抱きついているんだ」

そう言うと今度は僕の頭にキスをしてきた。どうしよう!僕の心臓はもう潰れちゃいそうだ!って思っていた時、彼の唇が僕の耳を這った。
こんなに心がとろけることがあるなんて!

「ロードリック様……僕……僕の本当の名前」

悪魔は結婚相手だろうと本当の名前を言ってはいけない。なのに僕はロードリック様に自分の本当の名前を言おうとしている。
だけどロードリック様の指が唇に触れてそれ以上は言うなと制してきた。

「俺の妻の名前はアレックスだ」

そして今度は僕の唇に指を添えたままキスされた。もう僕は何が何だか分からなくなっちゃって何も言えずにずっとキスされて、いつのまにか二人でベッドに入っていた。
横になったロードリック様は僕のお腹を撫で回し、小さな動物を掴むような手つきでお腹のお肉を揉んでいた。

「あの、あの」

みんなにもお腹を揉まれたり掴まれたり、捏ねられたこともあったけどこんなに気持ちいいことはなかった!
そう伝えたいのに彼と目が合うだけで言葉が出てこない。

「ふにゅうぅ」

むにむにむに、もにもにもにもに

「ふにゅー」

「よしよし、眠いのならば眠るといい。朝まで隣にいよう」

僕は催眠術にかかったかのように眠りに落ちてしまった。
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