6 / 37
6
しおりを挟む
☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆
ロードリック様は「用事ができた」と言って窓に飾っていた呪われていた植物を持って魔車に乗って出かけて行った。
一人になった僕は暇だったので、好きに読んでいいと言われた彼の執務室やリビングにあった本を読んで時間を潰すことにした。
お仕事の勉強のため呪術や魔術の本が多いけど息抜きに読んでいるのか恋愛小説もある。
その中でも僕が特に気に入ったのは勇者と聖女の物語。悪いドラゴンを倒した後に恋人同士になる二人。魔界だと勇者や聖女は倒されるばかりだからこうやって活躍する話は僕的に斬新だった。
他には本棚の一番下の段に魔道具の紹介雑誌が並んでいた。
一つだけ開いてみると複雑怪奇な模様がびっしりと書かれている壺特集だった。
「うわぁ……壺の模様って全部手書きなのかな。大変そう」
最初は人間の器用さにすごいっておもったんだけど何ページも壺ばかりで飽きちゃった僕は早々に雑誌を本棚に戻した。
「あっ」
他の雑誌の隣にアルバムというものがあった。
勝手に見て怒られるかなって思ったけど僕はどうしても見たくなってそっと開いた。
「かわいい!」
魔界ではなかなか見たことがない写真に写っているのは小さな赤ちゃん。隣にはロードリック様に似た男性と女性がいた。
「もしかしてお父さんとお母さんかな」
次が3歳くらいの男の子と女の子がキレイな服を着ていて、それぞれの後ろに両親っぽい人が並んで笑っている。なにかの記念写真みたいだ。
その次は5歳の男のコと女のコ、後ろで両親が見守る中、男の子は緊張の表情で女の子は笑っていた。
ページをめくるとどんどんと男の子は大きくなってきて目つきが鋭くなっていき、若々しいロードリック様に変わっていく。
「カッコイイな」
女の子が写らなくなって男の友達達との写真が増え、ロードリック様はなぜか変な方向を向いている。
「あれ?どうしてこっちを見て写してないんだろう」
不思議なことに後の写真は不機嫌な顔をしているか変な方向を向いてる写真ばかりだった。うーん、分からないけど若いロードリック様の姿が見れて嬉しいな。ページをめくると今の外見に近づいていき、
最後に結婚式の時の写真があった。純白のタキシードを着たロードリック様がサイズの合ってないウェディングドレス姿の僕に指輪をはめようとしてるところ。
ぐううぅ~~
「あ、いけない」
いつの間にかお昼を過ぎていて、お腹が鳴ってしまった
お腹が空いたからキッチンでじゃがいもを茹でてお塩をかけて食べた。ロードリック様が帰ってきたら一緒に御飯を作って食べるからね。これはおやつみたいなもの。
一人でエネルギー補給をした僕はちょっと寂しくなってロードリック様の寝室にこっそりと入った。
「まだ帰って来ないなぁ」
ベッドに寝転んで布団にくるまってみた。
「……」
ロードリック様の匂いがする。
「……」
僕の男性器がなぜか大きく膨らんできた。見られているわけじゃないけど恥ずかしいから部屋を出る。自分の寝室に入ってベッドに寝転がる。
「……」
なんだか落ち着かない。魔界ではお姉様達がいっぱいいたし、結婚でバタバタしていたから寂しさを感じなかった。でも今は一人ぼっちで小さい屋敷の中にいる。
「はやく帰ってきてくれないかな」
寂しい気持ちを抱えながら残っている家事をするためにベッドから抜け出した。
☆★☆☆★☆
夜に帰って来たロードリック様と一緒に晩御飯を食べて、今日も彼の寝室でお酒の相手をする。
「ロードリック様、あの……」
「どうした?」
今日も何故か僕の長い髪を触ってくるロードリック様。お酒を飲みながら僕の髪先をいじっている。
「僕、奥さんとしてどうですか?ちゃんと出来ていますか」
「ああ、問題ない」
「よかった」
ほっとため息をつくとロードリック様の手が僕の髪から頬に移ってきた。
「お前は可愛いな」
「えっ」
酔っているのか僕の頬をムニムニと揉みながら笑うロードリック様は酔っていて楽しそうだった。
「人間って美人とか可愛い顔でスタイルのいい人が好きなんですよね?」
夕方、テレビというものを見ているとアイドルという可愛い子やキレイな子はみんな魔王様が人型モンスターで好きそうな体型、つまり痩せている子ばかりだった。
「俺は好きだぞ。キミの顔も体型も性格も」
「……」
頭を撫でられて僕は嬉しかったけど恥ずかしくて下を向いてしまった。
「それにキミは胸も尻も大きくて最高じゃないか」
「む、むね……!?」
ロードリック様の視線の先にあるのは僕の大きな胸とそれよりちょっと出てるお腹。
「お腹も良い出具合だ。健康的で素晴らしいと思う」
「……」
そこでお腹を褒められると微妙な気分になった僕だけど笑って気にしないことにした。
その後、昨日の晩よりお酒がすすんでご機嫌になっているロードリック様は僕を抱きしめてきた。
「んっ、ふぁっ」
「柔らかいな」
首筋にキスされると熱い息も首筋にかかる。
「あ、へへ。くすぐったい」
「もっと強くしても大丈夫か?」
「ええ」
ぎゅっと抱きしめられて、お互いの体温が伝わる。
「暖かいですね」
「そうだな」
お酒の匂いがしてくる。お酒を飲んでいないのに体が熱くなってきた。
「キミはどこを触っても気持ち良いな」
ロードリック様は酔っていて目がとろんとさせながら僕の二の腕を揉んでいる。
「よく家族からも僕の腕やお腹を揉んで気持ちいいって言ってました」
「スキンシップが多い家なんだな」
「皆からも家族の仲が良いってよく言われます」
「そうか。魔族でも家族は大切にするのか」
「そうじゃない魔族の方が多いですけどね。プリンの取り合いで骨折したって軽く言う魔族もいますし」
魔界に住む過激な種族は目的のためならなんだってするから僕達淫魔族は温厚派とも言われている。
「魔界は物騒だな」
「平和なのは人間界くらいですよ。魔王様は常に信頼できる側近や戦うことができる愛人たちを常にそばに置いていますし」
魔界では毎日のように戦争をしている地域もあるし、魔王様はいつも命を狙われている。だから愛人は短命になりやすく僕が魔王様の愛人になりたくなかった理由の1つでもある。
「……」
ロードリック様は何か考え事をしているみたいで黙ってしまった。
「あの……」
「あぁ、悪い。そろそろ部屋に戻す時間だな……」
名残惜しそうにお酒を飲み干してから僕の頬を撫でてきた。
「はい」
お休みの挨拶をして自分の寝室に戻ってベッドで横になる。
ドアが開く音が聞こえてきたけど二人しかいない家だしロードリック様なら心配することもないや……
☆★☆☆★☆
「うぅ~ん」
朝起きるとなんだかお布団の中が暑かった。
「あれぇ?」
僕の隣には誰かいる。誰だろうと思って布団をめくると裸の男の人……ロードリック様が寝ていた。
「うわぁ!うわぁ!」
慌てて飛び起きて部屋の中を見渡すとベッドの下には彼が脱いだ服が散らばっている。
昨日の夜の記憶が蘇ってきた。僕は昨日、部屋に戻って横になっていたらロードリック様が酔っ払って部屋に入ってきて「暑い!」と言い出して服を脱ぎ、「寒い」と言いながら僕の布団に入ってきてそのまま一緒に寝てしまったんだ。
やましいことは一つもないけどどうしようどうしようと慌てる僕に気づいたのかロードリック様が目を覚ました。
「おはよう」
「お、おおお、おはよございます」
裸になったのは向こうなのにまるでこっちが悪いみたいだ。
「どうした?」
「いえ、あの……」
何も言わずに見つめてくるロードリック様の視線に耐えられず、おずおずと口を開く。
「昨日のこと、覚えていますか?」
「きのう、昨日……」
思い出したみたいで彼の顔が青ざめてしまった。
「その、服を着ませんか」
なんで無実の僕が恥ずかしくて顔を熱くしなきゃいけないんだろう。
「悪かった。呑みすぎてしまった……」
しょんぼりとした様子で謝ってくるロードリック様に僕はなんて言えばいいのか分からなくなってしまった。
それからロードリック様は僕と一緒に朝食を食べてから仕事に出かけて行った。僕はその間、政略結婚の夫夫とはなにかずっと考えていたんだけど答えが出なくて、結局考えることを放棄した。
「まぁいっか」
考えても仕方ないし。僕が彼に嫌われることをしなきゃいいだけだし。そう結論付けて家事を再開した。
ロードリック様は「用事ができた」と言って窓に飾っていた呪われていた植物を持って魔車に乗って出かけて行った。
一人になった僕は暇だったので、好きに読んでいいと言われた彼の執務室やリビングにあった本を読んで時間を潰すことにした。
お仕事の勉強のため呪術や魔術の本が多いけど息抜きに読んでいるのか恋愛小説もある。
その中でも僕が特に気に入ったのは勇者と聖女の物語。悪いドラゴンを倒した後に恋人同士になる二人。魔界だと勇者や聖女は倒されるばかりだからこうやって活躍する話は僕的に斬新だった。
他には本棚の一番下の段に魔道具の紹介雑誌が並んでいた。
一つだけ開いてみると複雑怪奇な模様がびっしりと書かれている壺特集だった。
「うわぁ……壺の模様って全部手書きなのかな。大変そう」
最初は人間の器用さにすごいっておもったんだけど何ページも壺ばかりで飽きちゃった僕は早々に雑誌を本棚に戻した。
「あっ」
他の雑誌の隣にアルバムというものがあった。
勝手に見て怒られるかなって思ったけど僕はどうしても見たくなってそっと開いた。
「かわいい!」
魔界ではなかなか見たことがない写真に写っているのは小さな赤ちゃん。隣にはロードリック様に似た男性と女性がいた。
「もしかしてお父さんとお母さんかな」
次が3歳くらいの男の子と女の子がキレイな服を着ていて、それぞれの後ろに両親っぽい人が並んで笑っている。なにかの記念写真みたいだ。
その次は5歳の男のコと女のコ、後ろで両親が見守る中、男の子は緊張の表情で女の子は笑っていた。
ページをめくるとどんどんと男の子は大きくなってきて目つきが鋭くなっていき、若々しいロードリック様に変わっていく。
「カッコイイな」
女の子が写らなくなって男の友達達との写真が増え、ロードリック様はなぜか変な方向を向いている。
「あれ?どうしてこっちを見て写してないんだろう」
不思議なことに後の写真は不機嫌な顔をしているか変な方向を向いてる写真ばかりだった。うーん、分からないけど若いロードリック様の姿が見れて嬉しいな。ページをめくると今の外見に近づいていき、
最後に結婚式の時の写真があった。純白のタキシードを着たロードリック様がサイズの合ってないウェディングドレス姿の僕に指輪をはめようとしてるところ。
ぐううぅ~~
「あ、いけない」
いつの間にかお昼を過ぎていて、お腹が鳴ってしまった
お腹が空いたからキッチンでじゃがいもを茹でてお塩をかけて食べた。ロードリック様が帰ってきたら一緒に御飯を作って食べるからね。これはおやつみたいなもの。
一人でエネルギー補給をした僕はちょっと寂しくなってロードリック様の寝室にこっそりと入った。
「まだ帰って来ないなぁ」
ベッドに寝転んで布団にくるまってみた。
「……」
ロードリック様の匂いがする。
「……」
僕の男性器がなぜか大きく膨らんできた。見られているわけじゃないけど恥ずかしいから部屋を出る。自分の寝室に入ってベッドに寝転がる。
「……」
なんだか落ち着かない。魔界ではお姉様達がいっぱいいたし、結婚でバタバタしていたから寂しさを感じなかった。でも今は一人ぼっちで小さい屋敷の中にいる。
「はやく帰ってきてくれないかな」
寂しい気持ちを抱えながら残っている家事をするためにベッドから抜け出した。
☆★☆☆★☆
夜に帰って来たロードリック様と一緒に晩御飯を食べて、今日も彼の寝室でお酒の相手をする。
「ロードリック様、あの……」
「どうした?」
今日も何故か僕の長い髪を触ってくるロードリック様。お酒を飲みながら僕の髪先をいじっている。
「僕、奥さんとしてどうですか?ちゃんと出来ていますか」
「ああ、問題ない」
「よかった」
ほっとため息をつくとロードリック様の手が僕の髪から頬に移ってきた。
「お前は可愛いな」
「えっ」
酔っているのか僕の頬をムニムニと揉みながら笑うロードリック様は酔っていて楽しそうだった。
「人間って美人とか可愛い顔でスタイルのいい人が好きなんですよね?」
夕方、テレビというものを見ているとアイドルという可愛い子やキレイな子はみんな魔王様が人型モンスターで好きそうな体型、つまり痩せている子ばかりだった。
「俺は好きだぞ。キミの顔も体型も性格も」
「……」
頭を撫でられて僕は嬉しかったけど恥ずかしくて下を向いてしまった。
「それにキミは胸も尻も大きくて最高じゃないか」
「む、むね……!?」
ロードリック様の視線の先にあるのは僕の大きな胸とそれよりちょっと出てるお腹。
「お腹も良い出具合だ。健康的で素晴らしいと思う」
「……」
そこでお腹を褒められると微妙な気分になった僕だけど笑って気にしないことにした。
その後、昨日の晩よりお酒がすすんでご機嫌になっているロードリック様は僕を抱きしめてきた。
「んっ、ふぁっ」
「柔らかいな」
首筋にキスされると熱い息も首筋にかかる。
「あ、へへ。くすぐったい」
「もっと強くしても大丈夫か?」
「ええ」
ぎゅっと抱きしめられて、お互いの体温が伝わる。
「暖かいですね」
「そうだな」
お酒の匂いがしてくる。お酒を飲んでいないのに体が熱くなってきた。
「キミはどこを触っても気持ち良いな」
ロードリック様は酔っていて目がとろんとさせながら僕の二の腕を揉んでいる。
「よく家族からも僕の腕やお腹を揉んで気持ちいいって言ってました」
「スキンシップが多い家なんだな」
「皆からも家族の仲が良いってよく言われます」
「そうか。魔族でも家族は大切にするのか」
「そうじゃない魔族の方が多いですけどね。プリンの取り合いで骨折したって軽く言う魔族もいますし」
魔界に住む過激な種族は目的のためならなんだってするから僕達淫魔族は温厚派とも言われている。
「魔界は物騒だな」
「平和なのは人間界くらいですよ。魔王様は常に信頼できる側近や戦うことができる愛人たちを常にそばに置いていますし」
魔界では毎日のように戦争をしている地域もあるし、魔王様はいつも命を狙われている。だから愛人は短命になりやすく僕が魔王様の愛人になりたくなかった理由の1つでもある。
「……」
ロードリック様は何か考え事をしているみたいで黙ってしまった。
「あの……」
「あぁ、悪い。そろそろ部屋に戻す時間だな……」
名残惜しそうにお酒を飲み干してから僕の頬を撫でてきた。
「はい」
お休みの挨拶をして自分の寝室に戻ってベッドで横になる。
ドアが開く音が聞こえてきたけど二人しかいない家だしロードリック様なら心配することもないや……
☆★☆☆★☆
「うぅ~ん」
朝起きるとなんだかお布団の中が暑かった。
「あれぇ?」
僕の隣には誰かいる。誰だろうと思って布団をめくると裸の男の人……ロードリック様が寝ていた。
「うわぁ!うわぁ!」
慌てて飛び起きて部屋の中を見渡すとベッドの下には彼が脱いだ服が散らばっている。
昨日の夜の記憶が蘇ってきた。僕は昨日、部屋に戻って横になっていたらロードリック様が酔っ払って部屋に入ってきて「暑い!」と言い出して服を脱ぎ、「寒い」と言いながら僕の布団に入ってきてそのまま一緒に寝てしまったんだ。
やましいことは一つもないけどどうしようどうしようと慌てる僕に気づいたのかロードリック様が目を覚ました。
「おはよう」
「お、おおお、おはよございます」
裸になったのは向こうなのにまるでこっちが悪いみたいだ。
「どうした?」
「いえ、あの……」
何も言わずに見つめてくるロードリック様の視線に耐えられず、おずおずと口を開く。
「昨日のこと、覚えていますか?」
「きのう、昨日……」
思い出したみたいで彼の顔が青ざめてしまった。
「その、服を着ませんか」
なんで無実の僕が恥ずかしくて顔を熱くしなきゃいけないんだろう。
「悪かった。呑みすぎてしまった……」
しょんぼりとした様子で謝ってくるロードリック様に僕はなんて言えばいいのか分からなくなってしまった。
それからロードリック様は僕と一緒に朝食を食べてから仕事に出かけて行った。僕はその間、政略結婚の夫夫とはなにかずっと考えていたんだけど答えが出なくて、結局考えることを放棄した。
「まぁいっか」
考えても仕方ないし。僕が彼に嫌われることをしなきゃいいだけだし。そう結論付けて家事を再開した。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
43
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる