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16.告白
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素直に甘えるリムルに頭を撫でてやる。すると目を細めて微笑んだ。
「なんだよその顔。可愛いな」
「クラウスゥ。もっとほめろ」
可愛い顔のまま強請るのはずるすぎる。
「はいはい、可愛い。可愛い」
「心がこもってない」
「可愛いと思わなきゃこんなことしないだろ?」
「むうぅ~」
頬を膨らませても可愛くない年頃のリムルを可愛いと思うからやっぱり俺はリムルに染まってる。
「なあ、クラウス。次はいつボクを襲うんだ?」
「俺が襲う前提で話を進めるなよ。それにあれは合意だし、いつも相手してるだろ」
「だっていつもボクからだ。好きなら襲いたくなるだろ……」
漫画の知識で偏り過ぎてるな。恋人同士や夫婦でも無理矢理はダメだぞ。
「そんなに俺に襲われたいのか?」
「うん……。クラウスは奴隷だから遠慮してるのか?」
「遠慮じゃなくってリムルを傷つけたくないからだよ。それに……俺にもプライドがある」
「プライド?」
「身分も家も金も……持たなくなっても……男としての尊厳だけは捨てちゃ駄目だろ」
「クラウス……カッコいいな」
「だろ?惚れたか?」
「……ばか」
リムルは恥ずかしそうに顔を逸らす。俺はリムルの顎を掴みこちらに向かせた。
「俺はリムルが好きだ。愛してる」
きっとリムルに買われていなかったら俺はそのプライドも捨てて誰かの命令を聞いて働き、逆らうこともできず無様に生きていただろう。だけど俺は今こうしてリムルと幸せに暮らしている。
だから一番気持ちを込めて言ったのに、リムルの顔が険しくなった。
「奴隷の立場を考えずに愛してるなんて言って悪かった。忘れてくれ」
「違う!そうじゃなくて……クラウスは本当に僕のことが好きか?奴隷って立場が嫌で僕を油断させて逃げようとしてるんじゃないか?」
「なんでそうなるんだよ」
「だって、クラウスは格好いいし背も筋肉もある。それに珍しく字も読める。ボク以外のとこに行ってもなんとかやってけるだろ。それに……お前の国から逃げてくる難民の保護をしてる奴がこの国には少ないけどいるんだ。そいつを頼ったらボクの所にいる意味がなくなる」
確かに、今の生活より質は落ちるが他のところへ行っても生きれるとは思う。リムルに頼ってるって罪悪感も感じず、自由に出かけられるし仕事もできる。今みたいに金のことを遠慮して禁酒しなくても稼いだ金で酒も飲めるだろう。でも俺は離れたくないと思うほどリムルが好きなんだよ。
「奴隷として買われたから我慢して言わなかったがリムルはバカだな」
「んなっ!?」
「お前は頭が切れる。でも恋愛に関してだけ鈍感すぎる。しかもその知識も偏ってる。それに付き合って一年も一緒にいるんだぞ。お前から逃げても生きれる俺が文句も言わずに、今もここに居る理由を考えてみろよ」
リムルが俺の気持ちを疑うなら分からせてやろう。俺はリムルの手を取り指を絡めて握った。
「俺はリムルを愛してる。リムル以外の物にはならない。でもお前は家を継いで結婚もする必要があるだろ。だからいつか俺を捨てても『優しい奴隷が傍にいた』って思い出して欲しい」
ずっと言えなかった言葉。ずっと隠していた気持ち。ずっと目をそらしていた近いうちにくるだろう未来を口にした。
「クラウス……」
「だから俺を信用してくれ。俺を捨てる時は俺の全てを奪ってくれよ。クラウスなんて嫌いだって言えば俺はお前に買われる前の俺に戻れるから」
俺の言葉を聞いたリムルがポロポロと涙を流す。俺も少し泣きそうだ。
「泣くなって。俺とリムルは身分が違いすぎるだろ。漫画みたいに俺が王子様だったら良かったんだけどな」
「クッリャウスのばかぁ、あほお。なんのため、ボクががんばってると思ってるんだ。おまえを逃さないためなのに」
リムルが震える腕で体を支えて起き上がりソファを降りたから転ばないかと腕を伸ばしたら俺の方に崩れるように抱きついて腕の中に収まった。
「ボクはクラウスのことが好きだから結婚したいんだ。だから勉強を頑張って、何年掛かっても絶対に僕はクラウスと結婚するぞ。捨てるなんて絶対しない」
リムルが顔を押し付けている胸元が湿ってきた。泣いているのはわかる。でも顔を上げてくれないから表情がわからない。
「なんだよそれ……。そんなの無理だろ。俺が貴族になるのか?」
貴族籍を金でやりとりできるらしいけども奴隷に身分を売りたい貴族はいないはずだ。
「ちがう。家も国も出て男同士で結婚できる国に行って暮らすんだ。いい学校を卒業して僕がいっぱい稼いで貯金してお前の旅費も全部出すんだ。ヒーロー様みたいに愛してる人を幸せにするんだ」
また漫画を引き合いに……まあ、それがリムルの本心を言ってるって分かって安心する。
「じゃあ、早く金持ちにならないといけないから俺も働く。もうこれだけは反対しても駄目だぞ。だからお前が考えてるより早くその国に行けるぞ。だからエロばっかに頭を使って勉強できずに学校を留年するなよ」
俺の胸から顔を上げたリムルの顔は涙で濡れていた。鼻水も垂れていて俺の胸には鼻水の橋がかかっていた。いままで裸で話し合っていて締まらないんだが、さらに滑稽な状態になってる。なのに俺は愛おしくって胸が苦しくってリムルを抱きしめてとうとう泣いてしまった。
「なんだよその顔。可愛いな」
「クラウスゥ。もっとほめろ」
可愛い顔のまま強請るのはずるすぎる。
「はいはい、可愛い。可愛い」
「心がこもってない」
「可愛いと思わなきゃこんなことしないだろ?」
「むうぅ~」
頬を膨らませても可愛くない年頃のリムルを可愛いと思うからやっぱり俺はリムルに染まってる。
「なあ、クラウス。次はいつボクを襲うんだ?」
「俺が襲う前提で話を進めるなよ。それにあれは合意だし、いつも相手してるだろ」
「だっていつもボクからだ。好きなら襲いたくなるだろ……」
漫画の知識で偏り過ぎてるな。恋人同士や夫婦でも無理矢理はダメだぞ。
「そんなに俺に襲われたいのか?」
「うん……。クラウスは奴隷だから遠慮してるのか?」
「遠慮じゃなくってリムルを傷つけたくないからだよ。それに……俺にもプライドがある」
「プライド?」
「身分も家も金も……持たなくなっても……男としての尊厳だけは捨てちゃ駄目だろ」
「クラウス……カッコいいな」
「だろ?惚れたか?」
「……ばか」
リムルは恥ずかしそうに顔を逸らす。俺はリムルの顎を掴みこちらに向かせた。
「俺はリムルが好きだ。愛してる」
きっとリムルに買われていなかったら俺はそのプライドも捨てて誰かの命令を聞いて働き、逆らうこともできず無様に生きていただろう。だけど俺は今こうしてリムルと幸せに暮らしている。
だから一番気持ちを込めて言ったのに、リムルの顔が険しくなった。
「奴隷の立場を考えずに愛してるなんて言って悪かった。忘れてくれ」
「違う!そうじゃなくて……クラウスは本当に僕のことが好きか?奴隷って立場が嫌で僕を油断させて逃げようとしてるんじゃないか?」
「なんでそうなるんだよ」
「だって、クラウスは格好いいし背も筋肉もある。それに珍しく字も読める。ボク以外のとこに行ってもなんとかやってけるだろ。それに……お前の国から逃げてくる難民の保護をしてる奴がこの国には少ないけどいるんだ。そいつを頼ったらボクの所にいる意味がなくなる」
確かに、今の生活より質は落ちるが他のところへ行っても生きれるとは思う。リムルに頼ってるって罪悪感も感じず、自由に出かけられるし仕事もできる。今みたいに金のことを遠慮して禁酒しなくても稼いだ金で酒も飲めるだろう。でも俺は離れたくないと思うほどリムルが好きなんだよ。
「奴隷として買われたから我慢して言わなかったがリムルはバカだな」
「んなっ!?」
「お前は頭が切れる。でも恋愛に関してだけ鈍感すぎる。しかもその知識も偏ってる。それに付き合って一年も一緒にいるんだぞ。お前から逃げても生きれる俺が文句も言わずに、今もここに居る理由を考えてみろよ」
リムルが俺の気持ちを疑うなら分からせてやろう。俺はリムルの手を取り指を絡めて握った。
「俺はリムルを愛してる。リムル以外の物にはならない。でもお前は家を継いで結婚もする必要があるだろ。だからいつか俺を捨てても『優しい奴隷が傍にいた』って思い出して欲しい」
ずっと言えなかった言葉。ずっと隠していた気持ち。ずっと目をそらしていた近いうちにくるだろう未来を口にした。
「クラウス……」
「だから俺を信用してくれ。俺を捨てる時は俺の全てを奪ってくれよ。クラウスなんて嫌いだって言えば俺はお前に買われる前の俺に戻れるから」
俺の言葉を聞いたリムルがポロポロと涙を流す。俺も少し泣きそうだ。
「泣くなって。俺とリムルは身分が違いすぎるだろ。漫画みたいに俺が王子様だったら良かったんだけどな」
「クッリャウスのばかぁ、あほお。なんのため、ボクががんばってると思ってるんだ。おまえを逃さないためなのに」
リムルが震える腕で体を支えて起き上がりソファを降りたから転ばないかと腕を伸ばしたら俺の方に崩れるように抱きついて腕の中に収まった。
「ボクはクラウスのことが好きだから結婚したいんだ。だから勉強を頑張って、何年掛かっても絶対に僕はクラウスと結婚するぞ。捨てるなんて絶対しない」
リムルが顔を押し付けている胸元が湿ってきた。泣いているのはわかる。でも顔を上げてくれないから表情がわからない。
「なんだよそれ……。そんなの無理だろ。俺が貴族になるのか?」
貴族籍を金でやりとりできるらしいけども奴隷に身分を売りたい貴族はいないはずだ。
「ちがう。家も国も出て男同士で結婚できる国に行って暮らすんだ。いい学校を卒業して僕がいっぱい稼いで貯金してお前の旅費も全部出すんだ。ヒーロー様みたいに愛してる人を幸せにするんだ」
また漫画を引き合いに……まあ、それがリムルの本心を言ってるって分かって安心する。
「じゃあ、早く金持ちにならないといけないから俺も働く。もうこれだけは反対しても駄目だぞ。だからお前が考えてるより早くその国に行けるぞ。だからエロばっかに頭を使って勉強できずに学校を留年するなよ」
俺の胸から顔を上げたリムルの顔は涙で濡れていた。鼻水も垂れていて俺の胸には鼻水の橋がかかっていた。いままで裸で話し合っていて締まらないんだが、さらに滑稽な状態になってる。なのに俺は愛おしくって胸が苦しくってリムルを抱きしめてとうとう泣いてしまった。
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