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ライトサイド 第5話 「水の精霊」
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「いやー! やっぱり揺れない陸地はいいなぁ! 空気もおいしいし!」
リュークスは大きく伸びをして、空気を吸い込む。
「海も陸も、吸ってる空気は変わらないじゃない」
例によって例の如くニアは、その美味しい空気をいらない灰色で着色する。
「気分の問題なんだよ、気分の!」
がるるるると獣のように、二人してにらみ合う。
「リュークスさん、私はルコナーア様の教会へ行ってきますね」
涼しげな(我関せず?)顔で、フィリスはいつもの笑顔である。
『光の女神ルコナーア』
世界の創造神と言われている女神の教えを広める教会は各地にある。
リュークスの村にさえもあったし、無論この島にも存在する。
実際に神が存在して、奇跡を起こしてくれるわけではない。
だが、頼み事や恨み言が言える超越した存在が、人々には必要である。
その女神の神官フィリスには、神官の務めとしての『お祈り』があるらしい。
「はい。分かりました。ええっと……僕に何か出来る事はないですか?」
神官でなく、敬虔な信者でもない少年は特にすることが無いのだ。
「そうですね……。では、ニアと一緒に剣を買いに行ってくれませんか?」
いつもの笑顔でフィリスが答える。
「剣ですか? フィリスさんはメイスを持ってるんじゃ…? あ、分かった二刀流ですね!」
「ば~か、あんたの剣よ。いつまで村人のままのつもりよ」
あぁ、そうか、と少年は頷く。
魔王を倒す冒険をするのに、武器を持たない勇者などいない。
つまりは、これからは戦いもあり得るという事。
そして戦いは、相手を殺す。
少なくとも傷つけるという行為となる。
「……」
ようやくそこに至ったリュークスの表情を察し、女性神官はいたわるように、だが凛とした声で言う。
「魔王を倒すには、幾多の障害があります。配下の中でも特別に強い『闇の娘』たちや、数多くの魔物、魔獣たち……さし当たっては、精霊と契約する為の『試練』です」
「え、試練……?」
初めて耳にする言葉に、少年は驚いた顔をする。
いや、驚きだけでなく、『やる気メーター』が音を立ててぐんぐん下がっている。
「はい……。実は私にも試練の内容は詳しく分からないのですが、『勇者ただ一人だけが、精霊にその力を示す』とされています。戦いもあるかもしれません」
「誰これ構わず、ほいほい契約してたら、大変な事になるでしょ?」
ニアが呆れたような顔で、付け加える。
「……確かにそうだ。分かっていたつもりなんだけど」
リュークスは自らの手のひらを見つめる。
(この手で……誰かを殺すのか……?)
「ま、説得で済む相手かもしれないけど、武器は持ってないとね。
行くわよ。こんな可愛い妖精のお嬢さんとショッピング出来る機会なんてそうそう無いんだから」
「…自分で可愛いとかいう奴に、可愛いのが居た試しは無い……いてぇえええ! この虫娘っ!」
ニアとリュークスとの争いは宿に辿り着くまで続いた。
『水』の神殿。
それは洞窟の中にある。
一行は、じめじめした薄気味悪い洞窟を一歩一歩進む。
所々に落ちる水滴が、ぴちゃんぴちょんと嫌な気分を演出している。
リュークスは思わず腰に提げている買ったばかりの剣を握りしめる。
「あんたに期待なんて、これっぽっちもしてないんだから、せいぜい足手まといにならないようにしてよね」
ニアが彼の目の前で、『これっぽっち』をジェスチャーする。
「なんだよっ、せっかく頑張ろうとしてるのに……むぐっ」
少年の口は、フィリスの細い指に押さえられる。
「しっ……気配を感じます」
フィリスが慎重に周囲を見渡す。
「け、気配なんて特に……(小声)」
「あんたはレベルが低いからよ(小声)」
虫娘の言いぐさに、かちんと来て、大声を上げそうになった時、それは現れた。
ぼうっと光り輝く、女性の姿。
ゆったりとした簡素なドレスのような服装。
水色の透き通るような長い髪。
彼女のファッションのテーマはきっと『水』だろう。(意味不明)
物静かに佇む様は、フィリスとは違ったタイプの『聖女』を見るようだった。
(フィリスさんは気遣ってくれるタイプで、この人はちょっと冷たいというか、物静かというか……)
見るからに『水の精霊でございます』という出で立ちは、分かりやすいと言えば、分かりやすい。
「水の精霊ウンディーネ様ですね? 私は女神ルコナーア様の神官フィリスと申します」
フィリスが、丁寧に頭を下げる。
「ウンディーネというのは、我々水の精霊を総称して、人の子が勝手に付けた名前。私個人の名前は『アウクウォール』です」
少し理屈っぽい人のようだ、などとリュークスは思ったが、表情に出さないよう注意する。
「『アウクウォール』様!? あの、水姫のですか!?」
フィリスが驚いたように声を上げた。
例によって例の如く、少年はすごい勢いで置き去りにされている。
「それも人の子が付けたものですが……まぁ、いいでしょう。些細なことです」
だったら最初からそう言えばいいのに、という呟きはニアから漏れたものだ。
リュークスも同感だったが、ニアの呟きは極小なので、水の精霊に聞こえた様子は無い。
その水の精霊、『水姫』の目が、少年に移る。
「……そちらの方が『勇者』様ですね?」
性格はともかく、綺麗な事には変わらない女の人に見つめら、リュークスは照れる。
「えっ、ええと、そうかも……しれません。はい……」
「あんた、全然勇者っぽくないわよ」
ニアのぼそりという氷の刃が、一瞬胸に突き刺さる。
今度はしっかりと聞こえる程度の音量だ。
少年が虫娘に反論しようとした所で、水姫から声がかかった。
「では、試練を受けるという事ですね?」
穏やかな声での質問。
恐怖はあるが、ここで退くわけにはいかない。
試練を受けなければ、事態は進まない。
「……はい」
「試練に耐えられなければ、命を落とす事にもなります。それでも決意は変わらないのですね?」
ごくり、と唾を飲む。
そして同様に答える。
「………はい。……そ、それでもです」
リュークスの言葉に、水姫が頷く。
そして彼女は顔に似合わず、とんでもなく迅速に行動に出た。
「分かりました。では、試練を」
水姫が言うと同時に、足下の泥水が跳ね上がり、少年を包み込む。
咄嗟の事で、反応が出来ない。
「リュークスさんっ!?」
「リュークスっ!?」
二人の慌てたような声が一瞬だけ聞こえて、遠ざかって行く。
あぁ……勇ましく言うんじゃなかった。
まだ、死にたくない……
(自称)勇者リュークス、『水の精霊との契約に失敗して死亡』
いや、せめて墓碑には、『勇敢に戦って戦死』にしてほしい……
ぶくぶくぶく……
リュークスの声にならない抗議は、泡になった。
「あれ……僕、まだ生きてる?」
目を覚ましたリュークスは周囲を見回す。
彼の周りを濁った水が包み込んでいる。
浮力は働いているらしく、どこが上でどこが下かもおぼつかない。
不思議と空気は吸えるらしいのが、救いと言えば救いだ。
「気が付かれましたか?」
「おわっ!? あ、ええと、アバオクいやアクウ……クォールさんでしたっけ?」
さっき上に居た人だ。
「水姫でも、ア・ウ・ク・ウォールでも構いません。どちらも私を表す記号に過ぎないのですから……」
「は、はぁ……すいません」
微妙に名前を強く訂正している所は、実はこだわりを持っているのかもしれない。
そんなリュークスに構わず、水姫(こう呼ぶ事に決めた)は続ける。
「では、『試練』を開始しましょう……」
ごくり、という自身の唾を飲む音が妙に大きく聞こえる。
そして彼女は、身構える少年の予想外(ある意味予想通り)の行動を始めた。
するするとドレスのような服が外されていく。
「ちょ、ちょ……水姫様!?」
長い水色の髪が、ふわりと広がる。
「何か?」
「いや、何かって……冷静に言われても困るんですが……えっと、どうして、その……服を脱ぐんですか?」
困惑するリュークスの言葉に、彼女の表情は変わらない。
「『試練』を受けるのでしょう?」
言いながらも、彼女はするすると衣服を脱ぎ、今や下着だけの姿になっている。
(うわっ、下着まで薄い水色という徹底ぶり……って、違う)
「いや、その、目のやり場に困るというか……見たくないわけじゃないんです……って、そうじゃなくてですね!」
あまり性の経験の無いリュークスにとって、水姫の身体は凶器そのものだ。
豊かなバストに、綺麗に引き締まったウエスト。
柔らかな曲線で描かれる体のラインは、魅力的過ぎるものだ。
身体が自然と前屈みになるのは、僕のせいじゃないのです。(リュークス談)
やがて彼女は思い至ったかのように、冷静に答える。
「これはただのまぐわいではありません。勇者としての力が足りなければ……あなたは周囲の精霊に取り込まれ同化します」
水姫の言葉に、いきなり嫌な汗が噴き出す。
「勇者の資質がある者ならば、体験しているはずです。生命力、能力の授受を」
「……………」
前例は経験している。
ラミアやハーピーそれにシュティーの事例だ。
周囲の精霊に飲み込まれ同化する……人間としての形が無くなる。
簡単に言えば、それはすなわち死ぬという事。
「……止めますか?」
沈黙するリュークスに、水姫は穏やかに尋ねる。
だが、彼の答えは決まっている。
決められていると言った方が正しいのかもしれない。
「いえ、試練を………受けます」
少年に勇者としての自覚などは、まだ無い。
彼の脳裏に浮かんでいるのは、村の仲間たちの顔。
リュークスが守りたいと思っている大切な存在だ。
「分かりました。では……」
水姫はゆっくりと手を差し伸べ、少年に顔を近づけた。
最初に吐息を感じ、次に柔らかな唇のぬくもりを感じる。
「んっ……」
さりげなく回された手が、男の腰あたりに添えられる。
リュークスもそれに応えるように、彼女の薄い背中に手を回す。
だが、何か神聖なものを触るようで、つい手が離れてしまう。
「もっと強く抱きしめて下さい……」
キスを終え、耳元で囁くように言われてしまっては、もう止められない。
「は、はい……」
水姫は、遠目ではもっと華奢かと思っていたが、抱きしめてみると案外ボリュームがある。
太っているという意味ではない。
締まるところは引き締まっており、主張する所は主張している。
その柔らかい感触にドキドキしながら、リュークスは彼女の重さを確かめる。
「んっ………」
水姫はゆっくりと、少年に身体を預ける。
二人の身体はさらに密着する。
少しぬるめの温泉に入っているようであり、熱いものに入っているような感覚でもある。
しばらくお互いの熱を伝え合い、温もりを堪能する。
やがて水姫はぽつりと呟く。
「勇者様は……触ってくれないのですか?」
(さ、さ、さわらいでかぁ! 注:触らないわけがあろうか、いや無い(反語))
リュークスは内心のドキドキを隠しながら、出来るだけ冷静を装う。
「ええっと、その、い、いいんですか?」
「ええ」
水姫は冷静かつ簡潔に答えると、下着までも脱ぎ始める。
今、彼女の身体を隠しているものは何もない。
形の良い綺麗な乳房が露わになり、言葉もなく生唾を飲み込む。
「……………」
沈黙を勘違いしたのだろう。
水姫は自分の胸を指し、神妙な顔で言う。
「……変でしょうか?」
リュークスはぶんぶんと、力の限り首を左右に振る。
「…そうですか」
水姫の口調は相変わらずなものの、ちょっと安心したような表情が浮かぶ。
(へぇ、こんな表情もするんだ……)
当初の目的を忘れそうになりながら、リュークスも服を脱ぐことにする。
「……………」
その間、言いようのない沈黙が続き、やや気まずい雰囲気が漂う。
「……………」
(うぅーん、こういう普通の展開(普通か?)はあんまり無かったので、すごく恥ずかしい。何をすればいいのか、分からない)
「では……失礼します」
戸惑う少年の耳に、突然の彼女の声。
「はぁ、はい……………って、うひゃ!?」
最初は突然の感触にびっくりして、次に状況を理解してびっくりする。
水姫の白い手が、男の竿部分を握っていたからだ。
「ここらへんを……こんな感じはどうでしょう?」
彼女は、その握った手を前後したりする。
「ちょ、ちょ、ちょ……」
ちょっと強めだったかと思うと、今度は焦らすようにゆっくりとしごく。
「こういう感じが……それともこんな感じ?」
男の表情を冷静に観察しながら、水姫は色々試行錯誤する。
くすぐったいような、痺れるような、例えようのない感覚がせり上がってくる。
「あっ、ちょっ、み、水姫様……くっ………うわわっ……」
思わず逃げそうになるその腰を、やんわりと固定しながら彼女は続ける。
「そうですか。……こんな感じがいいんですね?」
細い指が絡みつくように、テンポ良く前後する。
強過ぎるわけでなく、弱過ぎるわけでもない、絶妙の指使い。
加えて、目の前にある彼女の身体は、リュークスには目の毒であり……
彼女の指の動きに合わせるように、豊かな乳房もぷるぷると震えている。
(普段静かな人の方が、こういう時は変な艶めかしさを感じるというか…)
「あっ、ちょっと小刻みに動いてますね。……そろそろですか?」
「れ、冷静に、そんな風に言われるとまずいって!」
まずいと思いつつも、リュークスの身体は水姫の予想通りの行動を取ってしまう。
竿の先端に、快楽が集まる感覚。
(ま、まず………い………)
「あ、出ました」
彼女の冷静な声。
しくしくしくしくしく……(流れる涙)
いや、その気持ち良かったんですよ……
ただ、もうちょっとその……………………ぐっすん。
「これからが本番です。こうしておけば、次は持続するでしょう」
水姫は相変わらず冷静に言う。
(ん? まてよ? ひょっとして水姫様は手加減してくれたんだろうか)
最初からいきなり挿入して力のやりとりをすれば、あっという間に果てていただろう。
試練の初っぱなで、リュークスは周囲の精霊と同化していたかもしれない。
「水姫様……もしかし…んぐっ………」
質問しようとする彼の口が、口で塞がれた。
そのまま、柔らかな舌が絡みついてくる。
「んっ……んむっ…むっ………んん……」
少し長めのキスのあと、彼女はゆっくりと唇を離す。
「『契約』中ですから、余計なことは気にしないで下さい」
ちょっとはにかんだように、水姫が言った。
(そうか……こういう気の遣い方もあるんだなぁ)
最初の理知的な物静かなイメージが先行していたため、その優しさはリュークスの心を打つ。
お返しとばかりに、今度は少年の方から口を近づける。
「っ! ……んっ………んふ…んっ……」
水姫は一瞬、びっくりした様子だったが、すぐに応える。
唇が一度離れ、またくっつく。
少年の手が彼女の長い髪を撫でる。
さらさらとした感触が心地よい。
「水姫様の髪、さわり心地いい…じゃなくて、えっと、とっても綺麗ですね」
スマートに格好良く台詞を言おうとあたふたするリュークスだったのだが。
「ありがとうございます。けれど慣れない美辞麗句よりも、拙くても本心からの言葉の方が、私は好みです」
と、水姫は冷静に言う。
「ええっと……じゃあ、そうさせて貰います」
「ええ。そうして下さい」
表情に大きな変化は無い。
だが、抱き合っている当人には分かる程度にやや強く、彼女は身体を預けてくれる。
柔らかな膨らみが男の胸に当たり、屹立したモノは彼女の腹に当たる。
「勇者様の……まだ、固い」
「え、ええ…………まぁ」
左手で髪を撫でながら、右手を下へと移動させる。
柔らかな尻に手が当たると、水姫はわずかに身じろぎする。
「んっ……ふぁ……………っ………」
弾力のある心地よい感触を、リュークスは手の平で味わう。
軽く握るたびに、彼女の身体がぴくりと反応してくれる。
その身じろぎが、男根に微妙な刺激を与える。
「ふっ…………んっ…………ぁ……んっ……」
もどかしい気持ちを抑えながら、少年は身体を少しずつ下へとずらしていく。
白いすべすべする首に舌を這わせる。
「んくっ…ぃ……んっ………」
水姫が僅かに身体を震わせる。
そのまま舌を付けたまま、柔らかな膨らみへと降ろす。
「はっ………んっ……ぅ……っ……」
その先端を口に含むと、水姫は身体を寄せて来る。
乳飲み子のように、ただひたすら吸い続けてみる。
「んっ……ぁ…っん……ふふっ………大きな赤ん坊ですね」
そう言うと彼女は、包み込むようにリュークスの頭を抱きしめる。
どうやら同じ事を考えていたようだ。
ずっと吸い続けているのも、変化が無いので、軽く歯を立ててみる。
「っ……駄目です……噛んだりしては………っ……」
『駄目』という言葉でも、言い方には色々な種類があって、言葉通りに嫌がっている場合と、『いい』という意味とがあるそうだ(マールから聞いた話による)
なんとなく後者っぽいかなぁ、などと考え、リュークスはさらに軽く噛んでみる。
「んっ……やっ………だっ…だめ……んっ…………ゃ……やぁ……」
普段はクールに見える人が、可愛らしい声を上げているというギャップだけで、少年の鼓動は勝手に高まる。
そして今度は舌先で転がすようにする。
ぴん、と尖った乳首に舌先が触れる度に、水姫は甘い声をあげる。
「ぁ……っ……くぅ…ん…………ぅ……」
声を抑えているのか、控えめではあったが、その息遣いと鼓動は早くなっている。
「はぁ……んっ…はぁ………勇者様……そろそろ……」
水姫がしなだれかかって来た。
柔らかな手が男根を固定しながら、彼女の秘所へと導く。
「んっ!」「くっ!」
水姫とリュークスの声が重なった。
彼女の中は、まるで別の生き物であるように、暖かくぬるぬると男を受け入れた。
少年の首に手が回され、更に深く結合させようと、水姫の脚が男の腰に絡みつく。
負けじとリュークスの手は彼女を抱きかかえるように、両太股を支える。
通常の状態では、少年の非力な筋肉では彼女の体重を支えきれない。
だが、ここは水の中(?)なので、普段では出来ない体勢も可能だ。
「はんっ………くっ………ふぅ……んっ………」
リュークスのモノは、彼女の花弁の中に根本まで挿入されている。
暖かく、包み込むような感覚がペニスに襲いかかる。
「……ぁ……っく……くぅ…んっ………あっ……」
水姫の腰がゆっくりと離れる。
抜けるか抜けないかの距離、先端部分を包み込んだまま、再びゆっくりと沈み込む。
彼女はゆっくりと、次第にスピードを上げながら、それを繰り返す。
(うくっ……下半身の熱さが僕の身体全てに駆け登るみたいだ。き、きもちいい……)
ぞわり、という感覚。
「んふっ…あっ……あああっ……んくっ……」
だが、欲求に負けてばかりでは命を落とす事になってしまう。
彼女の腰の動きに合わせて、リュークスも腰を深く突き入れる。
「ふあっ………っ……それ………ぃ……あっ……ああっ………」
深く結合した下半身が、彼女の性感を刺激したのか、少し高い声が聞こえる。
そんな声をもっと聞きたくて、彼女が一番大きく反応するところを探るように動かす。
「あっ……ああんっ……そっ…そこっ……あああっ………」
まとわりつくような、ざらつくような、そんなぬめった感じ。
男が腰を突き入れる度に、彼女は甘い声とともに動きを合わせてくる。
膣内はリュークスを受け入れるように、全て飲み込むように収縮を繰り返す。
「んっ……ああっ………あんっ…くふっ……ああっ……」
熱いくらいの彼女の中に、今すぐ放出したい気持ちを抑えながら、少年も彼女に合わせる。
「あっ…あああっ……いっ……いやっ………くっ…くる……!」
ぎゅっとリュークスにしがみつく水姫。
(僕も限界に近い)
最後のスパートとばかりに、リズミカルに、かき混ぜるように腰を入れる。
「あっ………ああああっ……だっ……だめっ……だめぇえええええ!」
きゅっと締め付けられるような感覚。
目の前が白く染まっていく。
まるで眠りにつく前のような、心地よい脱力感。
どちらが吸収されたのか、それとも吸収したのか……
そんなことがどうでも良いことに思えるほどに感じる、甘美な快楽。
「……魔王を倒して下さいね」
最後に、冷静な水姫の声が聞こえた…………。
リュークスは夢を見ていた。
屈強な筋肉ムキムキのどでかい斧を担いだ怖そうな人。
長い髪の軽薄そうなイケメンで、青いマントの青年。
そして、安心を与えてくれる笑顔の女性。
彼らが一体、誰なのかは分からないけど、僕は安心していた。
いや、正確には僕では無い。
けれど、それは僕の意識でも共有出来て……あぁ、何を言ってるんだろう、僕。
悩む僕に、にっこりと笑って手を差し出してくれる彼女。
「早く来ないと、置いていくぞ」と、笑う彼ら。
そう、彼らは最高の仲間……
・・・・・・・・ス・・・・・・リュー・・・・・・
眩しい光を背負う彼らの顔がよく見えない。
知っているはずのその顔を、よく見ることが出来ない。
・・・・・スさ・・・・・・ュークスさん・・・・
光が次第に薄れていって・・・・
「リュークスさん! 良かった! ニア! 気が付いたわ!」
少年の意識は現実へと戻った。
代わりに、彼の、彼でない記憶は急速に薄れていく。
「ちょっと、大丈夫? 頭が悪いのは元からだけど、意識は?」
視界が開けると、心配そうな顔の二人が映った。
「あれ?……フィリスさんと、ニア……どうしたの?」
フィリスが安心したように、ほっ、と息を吐く。
が、もう一人(一匹)の方は、
「どうしたも、こうしたも……あるかぁ!」
ニアの身体が急速に大きくなり………
リュークスの顔面に、彼女のハイキックが炸裂した。
「な、なななな………何を?」
「人を散々心配させて、そんな言葉があるかって事よ!」
ニアはいつも怒っているが、今日は特にその度合いが大きい。
きっとカルシウムが足りてないのだろう。
人の出来た女性神官は、いつものようになだめてくれる。
「まぁまぁ、精霊様との契約も無事終了したみたいですし、記憶が混濁しているのでしょう」
「契約……そうだ、僕は………」
彼の言葉に反応するかのように、身体の中で、力が湧く。
水姫の、水の精霊の力だ。
「大丈夫ですか? 少し休みますか?」
気が付けば、リュークスの目の前には心配そうなフィリスの顔がある。
少年は水姫の言葉を思い出す。
『……魔王を倒して下さいね』
彼女は冷静な声で、僕に言った。
僕に託してくれた。
だから、立ち止まるわけには行かない。
「大丈夫です。水姫様とも約束したから……行きましょう、次の精霊の所へ」
リュークスは少しだけ演技過剰に、勢いよく立ち上がる。
「…本当に疲れた時は、言って下さいね」
諦めたように、けれど優しくフィリスは微笑んだ。
残る精霊は、あと3つ。
そして倒すべき魔王配下の『闇の娘』に魔王……。
彼の旅はまだ始まったばかりだ。
「それはそうと、リュークスさん……セフィーさんとはどなたですか?」
「セフィー? ………誰ですか?」
リュークスは記憶のデータベースを探るが、全くもって記憶には無い名前だ。
「ほっほぅ。あんたは知らない女の人の名前をうわごとのように呟くわけだ」
いつもよりも1オクターブほど低い声で、ニアが呟く。
「……ひょっとして、何か誤解されているんでしょうか?」
リュークスは、こっそりとフィリスの顔を覗き見る。
その表情はいつも通り………にしか見えないのだが、周りのオーラあるいは空気が軽く渦巻いている。
「し、信じて下さい! 僕はそんな人知らないですよ!」
「さ、ニア、行きましょう。また船旅ですよ」
「そ~ね。心配して損したし。あ、お土産買っていこうよ」
リュークスの言葉は悲しく華麗にスルー(無視)された。
「濡れ衣だ、それは濡れ衣なんですよおぉおおおおお!!」
洞窟の内部は、差し込んだ光をきらきらと反射し、それはまるで水姫が微笑んでくれているかのようだった。
To Be Continued・・・
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あとがき
話が進むごとに、リュークス君がお馬鹿になっていく気がする(笑)
次回はもうちょっと、知的レベルの向上を図ろうな、リュークス君?
今回は王道ファンタジー(っぽい)展開です。
「我を従わせたいならば、戦って力を示すがいい!」
とか、なぜか召喚獣やら精霊さんやらは戦いが好きで困ります(笑)
そんなに戦うのが好きなら、お前らがラスボスと戦えよ!
挙げ句の果てに、パワーダウンしてから味方になるしよ!(やなことあったのか、俺?)
こうして各地の「精霊」さんたちと、『試練』という大義名分で、アレするわけか・・・
一、 二回ならいいけど、四回は飽きるなぁ・・・
何か違う展開を考えないと・・・
まぁ、「低空飛行で頑張る」をモットーにして、そこそこ頑張りたいと思います。
「力を入れ過ぎない」のが、長続きする秘訣だと思ったり思わなかったり。
ではでは。
リュークスは大きく伸びをして、空気を吸い込む。
「海も陸も、吸ってる空気は変わらないじゃない」
例によって例の如くニアは、その美味しい空気をいらない灰色で着色する。
「気分の問題なんだよ、気分の!」
がるるるると獣のように、二人してにらみ合う。
「リュークスさん、私はルコナーア様の教会へ行ってきますね」
涼しげな(我関せず?)顔で、フィリスはいつもの笑顔である。
『光の女神ルコナーア』
世界の創造神と言われている女神の教えを広める教会は各地にある。
リュークスの村にさえもあったし、無論この島にも存在する。
実際に神が存在して、奇跡を起こしてくれるわけではない。
だが、頼み事や恨み言が言える超越した存在が、人々には必要である。
その女神の神官フィリスには、神官の務めとしての『お祈り』があるらしい。
「はい。分かりました。ええっと……僕に何か出来る事はないですか?」
神官でなく、敬虔な信者でもない少年は特にすることが無いのだ。
「そうですね……。では、ニアと一緒に剣を買いに行ってくれませんか?」
いつもの笑顔でフィリスが答える。
「剣ですか? フィリスさんはメイスを持ってるんじゃ…? あ、分かった二刀流ですね!」
「ば~か、あんたの剣よ。いつまで村人のままのつもりよ」
あぁ、そうか、と少年は頷く。
魔王を倒す冒険をするのに、武器を持たない勇者などいない。
つまりは、これからは戦いもあり得るという事。
そして戦いは、相手を殺す。
少なくとも傷つけるという行為となる。
「……」
ようやくそこに至ったリュークスの表情を察し、女性神官はいたわるように、だが凛とした声で言う。
「魔王を倒すには、幾多の障害があります。配下の中でも特別に強い『闇の娘』たちや、数多くの魔物、魔獣たち……さし当たっては、精霊と契約する為の『試練』です」
「え、試練……?」
初めて耳にする言葉に、少年は驚いた顔をする。
いや、驚きだけでなく、『やる気メーター』が音を立ててぐんぐん下がっている。
「はい……。実は私にも試練の内容は詳しく分からないのですが、『勇者ただ一人だけが、精霊にその力を示す』とされています。戦いもあるかもしれません」
「誰これ構わず、ほいほい契約してたら、大変な事になるでしょ?」
ニアが呆れたような顔で、付け加える。
「……確かにそうだ。分かっていたつもりなんだけど」
リュークスは自らの手のひらを見つめる。
(この手で……誰かを殺すのか……?)
「ま、説得で済む相手かもしれないけど、武器は持ってないとね。
行くわよ。こんな可愛い妖精のお嬢さんとショッピング出来る機会なんてそうそう無いんだから」
「…自分で可愛いとかいう奴に、可愛いのが居た試しは無い……いてぇえええ! この虫娘っ!」
ニアとリュークスとの争いは宿に辿り着くまで続いた。
『水』の神殿。
それは洞窟の中にある。
一行は、じめじめした薄気味悪い洞窟を一歩一歩進む。
所々に落ちる水滴が、ぴちゃんぴちょんと嫌な気分を演出している。
リュークスは思わず腰に提げている買ったばかりの剣を握りしめる。
「あんたに期待なんて、これっぽっちもしてないんだから、せいぜい足手まといにならないようにしてよね」
ニアが彼の目の前で、『これっぽっち』をジェスチャーする。
「なんだよっ、せっかく頑張ろうとしてるのに……むぐっ」
少年の口は、フィリスの細い指に押さえられる。
「しっ……気配を感じます」
フィリスが慎重に周囲を見渡す。
「け、気配なんて特に……(小声)」
「あんたはレベルが低いからよ(小声)」
虫娘の言いぐさに、かちんと来て、大声を上げそうになった時、それは現れた。
ぼうっと光り輝く、女性の姿。
ゆったりとした簡素なドレスのような服装。
水色の透き通るような長い髪。
彼女のファッションのテーマはきっと『水』だろう。(意味不明)
物静かに佇む様は、フィリスとは違ったタイプの『聖女』を見るようだった。
(フィリスさんは気遣ってくれるタイプで、この人はちょっと冷たいというか、物静かというか……)
見るからに『水の精霊でございます』という出で立ちは、分かりやすいと言えば、分かりやすい。
「水の精霊ウンディーネ様ですね? 私は女神ルコナーア様の神官フィリスと申します」
フィリスが、丁寧に頭を下げる。
「ウンディーネというのは、我々水の精霊を総称して、人の子が勝手に付けた名前。私個人の名前は『アウクウォール』です」
少し理屈っぽい人のようだ、などとリュークスは思ったが、表情に出さないよう注意する。
「『アウクウォール』様!? あの、水姫のですか!?」
フィリスが驚いたように声を上げた。
例によって例の如く、少年はすごい勢いで置き去りにされている。
「それも人の子が付けたものですが……まぁ、いいでしょう。些細なことです」
だったら最初からそう言えばいいのに、という呟きはニアから漏れたものだ。
リュークスも同感だったが、ニアの呟きは極小なので、水の精霊に聞こえた様子は無い。
その水の精霊、『水姫』の目が、少年に移る。
「……そちらの方が『勇者』様ですね?」
性格はともかく、綺麗な事には変わらない女の人に見つめら、リュークスは照れる。
「えっ、ええと、そうかも……しれません。はい……」
「あんた、全然勇者っぽくないわよ」
ニアのぼそりという氷の刃が、一瞬胸に突き刺さる。
今度はしっかりと聞こえる程度の音量だ。
少年が虫娘に反論しようとした所で、水姫から声がかかった。
「では、試練を受けるという事ですね?」
穏やかな声での質問。
恐怖はあるが、ここで退くわけにはいかない。
試練を受けなければ、事態は進まない。
「……はい」
「試練に耐えられなければ、命を落とす事にもなります。それでも決意は変わらないのですね?」
ごくり、と唾を飲む。
そして同様に答える。
「………はい。……そ、それでもです」
リュークスの言葉に、水姫が頷く。
そして彼女は顔に似合わず、とんでもなく迅速に行動に出た。
「分かりました。では、試練を」
水姫が言うと同時に、足下の泥水が跳ね上がり、少年を包み込む。
咄嗟の事で、反応が出来ない。
「リュークスさんっ!?」
「リュークスっ!?」
二人の慌てたような声が一瞬だけ聞こえて、遠ざかって行く。
あぁ……勇ましく言うんじゃなかった。
まだ、死にたくない……
(自称)勇者リュークス、『水の精霊との契約に失敗して死亡』
いや、せめて墓碑には、『勇敢に戦って戦死』にしてほしい……
ぶくぶくぶく……
リュークスの声にならない抗議は、泡になった。
「あれ……僕、まだ生きてる?」
目を覚ましたリュークスは周囲を見回す。
彼の周りを濁った水が包み込んでいる。
浮力は働いているらしく、どこが上でどこが下かもおぼつかない。
不思議と空気は吸えるらしいのが、救いと言えば救いだ。
「気が付かれましたか?」
「おわっ!? あ、ええと、アバオクいやアクウ……クォールさんでしたっけ?」
さっき上に居た人だ。
「水姫でも、ア・ウ・ク・ウォールでも構いません。どちらも私を表す記号に過ぎないのですから……」
「は、はぁ……すいません」
微妙に名前を強く訂正している所は、実はこだわりを持っているのかもしれない。
そんなリュークスに構わず、水姫(こう呼ぶ事に決めた)は続ける。
「では、『試練』を開始しましょう……」
ごくり、という自身の唾を飲む音が妙に大きく聞こえる。
そして彼女は、身構える少年の予想外(ある意味予想通り)の行動を始めた。
するするとドレスのような服が外されていく。
「ちょ、ちょ……水姫様!?」
長い水色の髪が、ふわりと広がる。
「何か?」
「いや、何かって……冷静に言われても困るんですが……えっと、どうして、その……服を脱ぐんですか?」
困惑するリュークスの言葉に、彼女の表情は変わらない。
「『試練』を受けるのでしょう?」
言いながらも、彼女はするすると衣服を脱ぎ、今や下着だけの姿になっている。
(うわっ、下着まで薄い水色という徹底ぶり……って、違う)
「いや、その、目のやり場に困るというか……見たくないわけじゃないんです……って、そうじゃなくてですね!」
あまり性の経験の無いリュークスにとって、水姫の身体は凶器そのものだ。
豊かなバストに、綺麗に引き締まったウエスト。
柔らかな曲線で描かれる体のラインは、魅力的過ぎるものだ。
身体が自然と前屈みになるのは、僕のせいじゃないのです。(リュークス談)
やがて彼女は思い至ったかのように、冷静に答える。
「これはただのまぐわいではありません。勇者としての力が足りなければ……あなたは周囲の精霊に取り込まれ同化します」
水姫の言葉に、いきなり嫌な汗が噴き出す。
「勇者の資質がある者ならば、体験しているはずです。生命力、能力の授受を」
「……………」
前例は経験している。
ラミアやハーピーそれにシュティーの事例だ。
周囲の精霊に飲み込まれ同化する……人間としての形が無くなる。
簡単に言えば、それはすなわち死ぬという事。
「……止めますか?」
沈黙するリュークスに、水姫は穏やかに尋ねる。
だが、彼の答えは決まっている。
決められていると言った方が正しいのかもしれない。
「いえ、試練を………受けます」
少年に勇者としての自覚などは、まだ無い。
彼の脳裏に浮かんでいるのは、村の仲間たちの顔。
リュークスが守りたいと思っている大切な存在だ。
「分かりました。では……」
水姫はゆっくりと手を差し伸べ、少年に顔を近づけた。
最初に吐息を感じ、次に柔らかな唇のぬくもりを感じる。
「んっ……」
さりげなく回された手が、男の腰あたりに添えられる。
リュークスもそれに応えるように、彼女の薄い背中に手を回す。
だが、何か神聖なものを触るようで、つい手が離れてしまう。
「もっと強く抱きしめて下さい……」
キスを終え、耳元で囁くように言われてしまっては、もう止められない。
「は、はい……」
水姫は、遠目ではもっと華奢かと思っていたが、抱きしめてみると案外ボリュームがある。
太っているという意味ではない。
締まるところは引き締まっており、主張する所は主張している。
その柔らかい感触にドキドキしながら、リュークスは彼女の重さを確かめる。
「んっ………」
水姫はゆっくりと、少年に身体を預ける。
二人の身体はさらに密着する。
少しぬるめの温泉に入っているようであり、熱いものに入っているような感覚でもある。
しばらくお互いの熱を伝え合い、温もりを堪能する。
やがて水姫はぽつりと呟く。
「勇者様は……触ってくれないのですか?」
(さ、さ、さわらいでかぁ! 注:触らないわけがあろうか、いや無い(反語))
リュークスは内心のドキドキを隠しながら、出来るだけ冷静を装う。
「ええっと、その、い、いいんですか?」
「ええ」
水姫は冷静かつ簡潔に答えると、下着までも脱ぎ始める。
今、彼女の身体を隠しているものは何もない。
形の良い綺麗な乳房が露わになり、言葉もなく生唾を飲み込む。
「……………」
沈黙を勘違いしたのだろう。
水姫は自分の胸を指し、神妙な顔で言う。
「……変でしょうか?」
リュークスはぶんぶんと、力の限り首を左右に振る。
「…そうですか」
水姫の口調は相変わらずなものの、ちょっと安心したような表情が浮かぶ。
(へぇ、こんな表情もするんだ……)
当初の目的を忘れそうになりながら、リュークスも服を脱ぐことにする。
「……………」
その間、言いようのない沈黙が続き、やや気まずい雰囲気が漂う。
「……………」
(うぅーん、こういう普通の展開(普通か?)はあんまり無かったので、すごく恥ずかしい。何をすればいいのか、分からない)
「では……失礼します」
戸惑う少年の耳に、突然の彼女の声。
「はぁ、はい……………って、うひゃ!?」
最初は突然の感触にびっくりして、次に状況を理解してびっくりする。
水姫の白い手が、男の竿部分を握っていたからだ。
「ここらへんを……こんな感じはどうでしょう?」
彼女は、その握った手を前後したりする。
「ちょ、ちょ、ちょ……」
ちょっと強めだったかと思うと、今度は焦らすようにゆっくりとしごく。
「こういう感じが……それともこんな感じ?」
男の表情を冷静に観察しながら、水姫は色々試行錯誤する。
くすぐったいような、痺れるような、例えようのない感覚がせり上がってくる。
「あっ、ちょっ、み、水姫様……くっ………うわわっ……」
思わず逃げそうになるその腰を、やんわりと固定しながら彼女は続ける。
「そうですか。……こんな感じがいいんですね?」
細い指が絡みつくように、テンポ良く前後する。
強過ぎるわけでなく、弱過ぎるわけでもない、絶妙の指使い。
加えて、目の前にある彼女の身体は、リュークスには目の毒であり……
彼女の指の動きに合わせるように、豊かな乳房もぷるぷると震えている。
(普段静かな人の方が、こういう時は変な艶めかしさを感じるというか…)
「あっ、ちょっと小刻みに動いてますね。……そろそろですか?」
「れ、冷静に、そんな風に言われるとまずいって!」
まずいと思いつつも、リュークスの身体は水姫の予想通りの行動を取ってしまう。
竿の先端に、快楽が集まる感覚。
(ま、まず………い………)
「あ、出ました」
彼女の冷静な声。
しくしくしくしくしく……(流れる涙)
いや、その気持ち良かったんですよ……
ただ、もうちょっとその……………………ぐっすん。
「これからが本番です。こうしておけば、次は持続するでしょう」
水姫は相変わらず冷静に言う。
(ん? まてよ? ひょっとして水姫様は手加減してくれたんだろうか)
最初からいきなり挿入して力のやりとりをすれば、あっという間に果てていただろう。
試練の初っぱなで、リュークスは周囲の精霊と同化していたかもしれない。
「水姫様……もしかし…んぐっ………」
質問しようとする彼の口が、口で塞がれた。
そのまま、柔らかな舌が絡みついてくる。
「んっ……んむっ…むっ………んん……」
少し長めのキスのあと、彼女はゆっくりと唇を離す。
「『契約』中ですから、余計なことは気にしないで下さい」
ちょっとはにかんだように、水姫が言った。
(そうか……こういう気の遣い方もあるんだなぁ)
最初の理知的な物静かなイメージが先行していたため、その優しさはリュークスの心を打つ。
お返しとばかりに、今度は少年の方から口を近づける。
「っ! ……んっ………んふ…んっ……」
水姫は一瞬、びっくりした様子だったが、すぐに応える。
唇が一度離れ、またくっつく。
少年の手が彼女の長い髪を撫でる。
さらさらとした感触が心地よい。
「水姫様の髪、さわり心地いい…じゃなくて、えっと、とっても綺麗ですね」
スマートに格好良く台詞を言おうとあたふたするリュークスだったのだが。
「ありがとうございます。けれど慣れない美辞麗句よりも、拙くても本心からの言葉の方が、私は好みです」
と、水姫は冷静に言う。
「ええっと……じゃあ、そうさせて貰います」
「ええ。そうして下さい」
表情に大きな変化は無い。
だが、抱き合っている当人には分かる程度にやや強く、彼女は身体を預けてくれる。
柔らかな膨らみが男の胸に当たり、屹立したモノは彼女の腹に当たる。
「勇者様の……まだ、固い」
「え、ええ…………まぁ」
左手で髪を撫でながら、右手を下へと移動させる。
柔らかな尻に手が当たると、水姫はわずかに身じろぎする。
「んっ……ふぁ……………っ………」
弾力のある心地よい感触を、リュークスは手の平で味わう。
軽く握るたびに、彼女の身体がぴくりと反応してくれる。
その身じろぎが、男根に微妙な刺激を与える。
「ふっ…………んっ…………ぁ……んっ……」
もどかしい気持ちを抑えながら、少年は身体を少しずつ下へとずらしていく。
白いすべすべする首に舌を這わせる。
「んくっ…ぃ……んっ………」
水姫が僅かに身体を震わせる。
そのまま舌を付けたまま、柔らかな膨らみへと降ろす。
「はっ………んっ……ぅ……っ……」
その先端を口に含むと、水姫は身体を寄せて来る。
乳飲み子のように、ただひたすら吸い続けてみる。
「んっ……ぁ…っん……ふふっ………大きな赤ん坊ですね」
そう言うと彼女は、包み込むようにリュークスの頭を抱きしめる。
どうやら同じ事を考えていたようだ。
ずっと吸い続けているのも、変化が無いので、軽く歯を立ててみる。
「っ……駄目です……噛んだりしては………っ……」
『駄目』という言葉でも、言い方には色々な種類があって、言葉通りに嫌がっている場合と、『いい』という意味とがあるそうだ(マールから聞いた話による)
なんとなく後者っぽいかなぁ、などと考え、リュークスはさらに軽く噛んでみる。
「んっ……やっ………だっ…だめ……んっ…………ゃ……やぁ……」
普段はクールに見える人が、可愛らしい声を上げているというギャップだけで、少年の鼓動は勝手に高まる。
そして今度は舌先で転がすようにする。
ぴん、と尖った乳首に舌先が触れる度に、水姫は甘い声をあげる。
「ぁ……っ……くぅ…ん…………ぅ……」
声を抑えているのか、控えめではあったが、その息遣いと鼓動は早くなっている。
「はぁ……んっ…はぁ………勇者様……そろそろ……」
水姫がしなだれかかって来た。
柔らかな手が男根を固定しながら、彼女の秘所へと導く。
「んっ!」「くっ!」
水姫とリュークスの声が重なった。
彼女の中は、まるで別の生き物であるように、暖かくぬるぬると男を受け入れた。
少年の首に手が回され、更に深く結合させようと、水姫の脚が男の腰に絡みつく。
負けじとリュークスの手は彼女を抱きかかえるように、両太股を支える。
通常の状態では、少年の非力な筋肉では彼女の体重を支えきれない。
だが、ここは水の中(?)なので、普段では出来ない体勢も可能だ。
「はんっ………くっ………ふぅ……んっ………」
リュークスのモノは、彼女の花弁の中に根本まで挿入されている。
暖かく、包み込むような感覚がペニスに襲いかかる。
「……ぁ……っく……くぅ…んっ………あっ……」
水姫の腰がゆっくりと離れる。
抜けるか抜けないかの距離、先端部分を包み込んだまま、再びゆっくりと沈み込む。
彼女はゆっくりと、次第にスピードを上げながら、それを繰り返す。
(うくっ……下半身の熱さが僕の身体全てに駆け登るみたいだ。き、きもちいい……)
ぞわり、という感覚。
「んふっ…あっ……あああっ……んくっ……」
だが、欲求に負けてばかりでは命を落とす事になってしまう。
彼女の腰の動きに合わせて、リュークスも腰を深く突き入れる。
「ふあっ………っ……それ………ぃ……あっ……ああっ………」
深く結合した下半身が、彼女の性感を刺激したのか、少し高い声が聞こえる。
そんな声をもっと聞きたくて、彼女が一番大きく反応するところを探るように動かす。
「あっ……ああんっ……そっ…そこっ……あああっ………」
まとわりつくような、ざらつくような、そんなぬめった感じ。
男が腰を突き入れる度に、彼女は甘い声とともに動きを合わせてくる。
膣内はリュークスを受け入れるように、全て飲み込むように収縮を繰り返す。
「んっ……ああっ………あんっ…くふっ……ああっ……」
熱いくらいの彼女の中に、今すぐ放出したい気持ちを抑えながら、少年も彼女に合わせる。
「あっ…あああっ……いっ……いやっ………くっ…くる……!」
ぎゅっとリュークスにしがみつく水姫。
(僕も限界に近い)
最後のスパートとばかりに、リズミカルに、かき混ぜるように腰を入れる。
「あっ………ああああっ……だっ……だめっ……だめぇえええええ!」
きゅっと締め付けられるような感覚。
目の前が白く染まっていく。
まるで眠りにつく前のような、心地よい脱力感。
どちらが吸収されたのか、それとも吸収したのか……
そんなことがどうでも良いことに思えるほどに感じる、甘美な快楽。
「……魔王を倒して下さいね」
最後に、冷静な水姫の声が聞こえた…………。
リュークスは夢を見ていた。
屈強な筋肉ムキムキのどでかい斧を担いだ怖そうな人。
長い髪の軽薄そうなイケメンで、青いマントの青年。
そして、安心を与えてくれる笑顔の女性。
彼らが一体、誰なのかは分からないけど、僕は安心していた。
いや、正確には僕では無い。
けれど、それは僕の意識でも共有出来て……あぁ、何を言ってるんだろう、僕。
悩む僕に、にっこりと笑って手を差し出してくれる彼女。
「早く来ないと、置いていくぞ」と、笑う彼ら。
そう、彼らは最高の仲間……
・・・・・・・・ス・・・・・・リュー・・・・・・
眩しい光を背負う彼らの顔がよく見えない。
知っているはずのその顔を、よく見ることが出来ない。
・・・・・スさ・・・・・・ュークスさん・・・・
光が次第に薄れていって・・・・
「リュークスさん! 良かった! ニア! 気が付いたわ!」
少年の意識は現実へと戻った。
代わりに、彼の、彼でない記憶は急速に薄れていく。
「ちょっと、大丈夫? 頭が悪いのは元からだけど、意識は?」
視界が開けると、心配そうな顔の二人が映った。
「あれ?……フィリスさんと、ニア……どうしたの?」
フィリスが安心したように、ほっ、と息を吐く。
が、もう一人(一匹)の方は、
「どうしたも、こうしたも……あるかぁ!」
ニアの身体が急速に大きくなり………
リュークスの顔面に、彼女のハイキックが炸裂した。
「な、なななな………何を?」
「人を散々心配させて、そんな言葉があるかって事よ!」
ニアはいつも怒っているが、今日は特にその度合いが大きい。
きっとカルシウムが足りてないのだろう。
人の出来た女性神官は、いつものようになだめてくれる。
「まぁまぁ、精霊様との契約も無事終了したみたいですし、記憶が混濁しているのでしょう」
「契約……そうだ、僕は………」
彼の言葉に反応するかのように、身体の中で、力が湧く。
水姫の、水の精霊の力だ。
「大丈夫ですか? 少し休みますか?」
気が付けば、リュークスの目の前には心配そうなフィリスの顔がある。
少年は水姫の言葉を思い出す。
『……魔王を倒して下さいね』
彼女は冷静な声で、僕に言った。
僕に託してくれた。
だから、立ち止まるわけには行かない。
「大丈夫です。水姫様とも約束したから……行きましょう、次の精霊の所へ」
リュークスは少しだけ演技過剰に、勢いよく立ち上がる。
「…本当に疲れた時は、言って下さいね」
諦めたように、けれど優しくフィリスは微笑んだ。
残る精霊は、あと3つ。
そして倒すべき魔王配下の『闇の娘』に魔王……。
彼の旅はまだ始まったばかりだ。
「それはそうと、リュークスさん……セフィーさんとはどなたですか?」
「セフィー? ………誰ですか?」
リュークスは記憶のデータベースを探るが、全くもって記憶には無い名前だ。
「ほっほぅ。あんたは知らない女の人の名前をうわごとのように呟くわけだ」
いつもよりも1オクターブほど低い声で、ニアが呟く。
「……ひょっとして、何か誤解されているんでしょうか?」
リュークスは、こっそりとフィリスの顔を覗き見る。
その表情はいつも通り………にしか見えないのだが、周りのオーラあるいは空気が軽く渦巻いている。
「し、信じて下さい! 僕はそんな人知らないですよ!」
「さ、ニア、行きましょう。また船旅ですよ」
「そ~ね。心配して損したし。あ、お土産買っていこうよ」
リュークスの言葉は悲しく華麗にスルー(無視)された。
「濡れ衣だ、それは濡れ衣なんですよおぉおおおおお!!」
洞窟の内部は、差し込んだ光をきらきらと反射し、それはまるで水姫が微笑んでくれているかのようだった。
To Be Continued・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
話が進むごとに、リュークス君がお馬鹿になっていく気がする(笑)
次回はもうちょっと、知的レベルの向上を図ろうな、リュークス君?
今回は王道ファンタジー(っぽい)展開です。
「我を従わせたいならば、戦って力を示すがいい!」
とか、なぜか召喚獣やら精霊さんやらは戦いが好きで困ります(笑)
そんなに戦うのが好きなら、お前らがラスボスと戦えよ!
挙げ句の果てに、パワーダウンしてから味方になるしよ!(やなことあったのか、俺?)
こうして各地の「精霊」さんたちと、『試練』という大義名分で、アレするわけか・・・
一、 二回ならいいけど、四回は飽きるなぁ・・・
何か違う展開を考えないと・・・
まぁ、「低空飛行で頑張る」をモットーにして、そこそこ頑張りたいと思います。
「力を入れ過ぎない」のが、長続きする秘訣だと思ったり思わなかったり。
ではでは。
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