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会議
しおりを挟む会議には、全部で13人の人間が参加していた。黒髪と茶髪の女もいて、久しぶりに見た女の子の姿に、「女だ――――!ウホ―――」とゴリラのように雄叫びをあげたくなった。
「これから、会議を始める。アティスが、ゾディア教の宗派の人間を皆殺しにしようとしていることが判明した。それについての対策について話し合う」
アティス……本当にろくでもないことを企むな……。もしかして、僕がなかなか見つからないことに対する八つ当たりだろうか。
「もしも、この計画が実行されれば1万人以上の人間が死ぬだろう。我々で、この計画を何とかして食い止めたい。ジュレミーは、何か意見があるか」
「ああ。でも、まず、ギルの意見聞きたい」
アティス、TKG、ゾディア教徒、逃げ道、戦い方……グルグルと言葉が脳内でまわり出す。
「世界最強と言われるアティスの軍隊とまともに戦ったところで勝ち目はない。だったら、ゾディア教徒を生かす方法を考えるしかない」
周りの注目を浴びながら、そう発言した。
「なるほど」
「まずは、この計画を外部に漏らす。そうすれば、ゾディア教徒が他国に亡命するなり自力で避難しようとするだろう」
「それはいい考えだ」
リーダーであるフローレンスも賛同してくれた。
「それから脱出経路の確保をしなければならない。ゾディア教徒が逃げ出すと知ったら、アティスは必ず経路を封鎖する。だから、どこか別のルートを考えなければならない」
「そうだな。ジュレミーは、どう思う?」
フローレンスは、今度はジュレミーに尋ねた。
「まったく同じことを考えていた。あと、もしも、アティスの軍隊と戦うことになったら、敵が来る入り口を狭くしなければいけない。数や、武器で負けるなら、入り口を集中攻撃してそれ以上入れないようにしなければいけない」
なるほど。確かにそれは、有効な手段だ。
「他に方針に関する意見のあるものはいるか」
周囲は、一瞬静まり返ってから、ジュレミーの意見に賛成し始めた。
「私は、賛成です」
金茶の髪、灰色の瞳をした男がそう告げる。その男の発音に妙な違和感を覚えた。
「俺もです」
「私もです」
次々に同意の声があがる。
こうして方向性が決まり、具体的な計画へと移っていった。
4時間ほどで会議は終了した。 帰り際に、ジュレミーの耳元でこっそりと話しかける。
「一つ聞きたいことがある。後で地下牢に来てくれ」
彼からの返事はなかったが、かすかにうなずく様子が見えた。
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