死亡フラグ乱立の極悪非道な国王になりました!

さつき

文字の大きさ
上 下
56 / 84

会議

しおりを挟む

 会議には、全部で13人の人間が参加していた。黒髪と茶髪の女もいて、久しぶりに見た女の子の姿に、「女だ――――!ウホ―――」とゴリラのように雄叫びをあげたくなった。

「これから、会議を始める。アティスが、ゾディア教の宗派の人間を皆殺しにしようとしていることが判明した。それについての対策について話し合う」

 アティス……本当にろくでもないことを企むな……。もしかして、僕がなかなか見つからないことに対する八つ当たりだろうか。

「もしも、この計画が実行されれば1万人以上の人間が死ぬだろう。我々で、この計画を何とかして食い止めたい。ジュレミーは、何か意見があるか」

「ああ。でも、まず、ギルの意見聞きたい」

 アティス、TKG、ゾディア教徒、逃げ道、戦い方……グルグルと言葉が脳内でまわり出す。

「世界最強と言われるアティスの軍隊とまともに戦ったところで勝ち目はない。だったら、ゾディア教徒を生かす方法を考えるしかない」    

 周りの注目を浴びながら、そう発言した。

「なるほど」

「まずは、この計画を外部に漏らす。そうすれば、ゾディア教徒が他国に亡命するなり自力で避難しようとするだろう」

「それはいい考えだ」

 リーダーであるフローレンスも賛同してくれた。

「それから脱出経路の確保をしなければならない。ゾディア教徒が逃げ出すと知ったら、アティスは必ず経路を封鎖する。だから、どこか別のルートを考えなければならない」

「そうだな。ジュレミーは、どう思う?」

 フローレンスは、今度はジュレミーに尋ねた。

「まったく同じことを考えていた。あと、もしも、アティスの軍隊と戦うことになったら、敵が来る入り口を狭くしなければいけない。数や、武器で負けるなら、入り口を集中攻撃してそれ以上入れないようにしなければいけない」

 なるほど。確かにそれは、有効な手段だ。

「他に方針に関する意見のあるものはいるか」

 周囲は、一瞬静まり返ってから、ジュレミーの意見に賛成し始めた。

「私は、賛成です」

 金茶の髪、灰色の瞳をした男がそう告げる。その男の発音に妙な違和感を覚えた。

「俺もです」
「私もです」

 次々に同意の声があがる。
 こうして方向性が決まり、具体的な計画へと移っていった。
 4時間ほどで会議は終了した。 帰り際に、ジュレミーの耳元でこっそりと話しかける。

「一つ聞きたいことがある。後で地下牢に来てくれ」

 彼からの返事はなかったが、かすかにうなずく様子が見えた。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

[離婚宣告]平凡オメガは結婚式当日にアルファから離婚されたのに反撃できません

月歌(ツキウタ)
BL
結婚式の当日に平凡オメガはアルファから離婚を切り出された。お色直しの衣装係がアルファの運命の番だったから、離婚してくれって酷くない? ☆表紙絵 AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。

左遷先は、後宮でした。

猫宮乾
BL
 外面は真面目な文官だが、週末は――打つ・飲む・買うが好きだった俺は、ある日、ついうっかり裏金騒動に関わってしまい、表向きは移動……いいや、左遷……される事になった。死刑は回避されたから、まぁ良いか! お妃候補生活を頑張ります。※異世界後宮ものコメディです。(表紙イラストは朝陽天満様に描いて頂きました。本当に有難うございます!)

騎士が花嫁

Kyrie
BL
めでたい結婚式。 花婿は俺。 花嫁は敵国の騎士様。 どうなる、俺? * 他サイトにも掲載。

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

シャルルは死んだ

ふじの
BL
地方都市で理髪店を営むジルには、秘密がある。実はかつてはシャルルという名前で、傲慢な貴族だったのだ。しかし婚約者であった第二王子のファビアン殿下に嫌われていると知り、身を引いて王都を四年前に去っていた。そんなある日、店の買い出しで出かけた先でファビアン殿下と再会し──。

[完結]堕とされた亡国の皇子は剣を抱く

小葉石
BL
 今は亡きガザインバーグの名を継ぐ最後の亡国の皇子スロウルは実の父に幼き頃より冷遇されて育つ。  10歳を過ぎた辺りからは荒くれた男達が集まる討伐部隊に強引に入れられてしまう。  妖精姫との名高い母親の美貌を受け継ぎ、幼い頃は美少女と言われても遜色ないスロウルに容赦ない手が伸びて行く…  アクサードと出会い、思いが通じるまでを書いていきます。  ※亡国の皇子は華と剣を愛でる、 のサイドストーリーになりますが、この話だけでも楽しめるようにしますので良かったらお読みください。  際どいシーンは*をつけてます。

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

[BL]王の独占、騎士の憂鬱

ざびえる
BL
ちょっとHな身分差ラブストーリー💕 騎士団長のオレオはイケメン君主が好きすぎて、日々悶々と身体をもてあましていた。そんなオレオは、自分の欲望が叶えられる場所があると聞いて… 王様サイド収録の完全版をKindleで販売してます。プロフィールのWebサイトから見れますので、興味がある方は是非ご覧になって下さい

処理中です...