34 / 84
7歳児と張り合う大人
しおりを挟む
みなさん、こんにちは。世界一の犯罪者であるメシアであるギル・ノイルラーです。
結局、僕の腕は、全治一か月の骨折だった。
右利きなのに右手を使えなくなってしまったせいで、エンデュミオンにせっせと介護されている。
申し訳ないと思って、他の奴らにも曜日別で頼もうとしたが、何故かエンデュミオンは、俺の世話係を譲らなかった。俺の世話係になる人間をかわいそうだと思って、他の奴にやらせようとしないのだろう。
おかげで朝から晩まで世話になっている。
服の着替えから、食事、書類の整理、何から何までお世話になっている。
トイレと風呂は、何とか自力で入っているが、その後、髪を乾かしてもらったりしている。その度に、こいつは俺がいないと生きていけないクズだなというような優越感に満ちた目で見られているのは、たぶん気のせいではないはずだ。……早く元気になりたい。とりあえず頭にあるのは、そればかりだ。
ちなみに、今日の服は、ショッキングピンクのヒラヒラスーツです。
うおおおおおおおおおおおおおお。
これは視界の暴力だああああ。
鏡に自分が映るたびに、鏡をアチョーってジャッキーのように叩きわりたくなる。
ブサイクよ、胸を張れ。きっと、君たちの姿は、今の僕のキモさ100%の姿よりも、はるかにましだろう。
シオンを他の奴らに人質にされないように地下牢に閉じ込めることにした。ちなみに、シオンの隣には、探偵レイヴンがいる。二つの地下牢を開通させて、暇を持て余しているレイヴンには、シオンの家庭教師を頼んだ。
時間がある時は、シオンのために新しい本や教材を届けることにした。
ドアを開けた途端、牢屋の中でシオンがキラキラと瞳を輝かせた。
「ギル様、会いたかったです」
目が潰れそうになるくらい眩しい笑顔だ。君の瞳に乾杯。
「シオン、今日も一日頑張っていたか」
「うっ……。が、頑張りました」
その引きつった笑顔は、何なのだろうか。
「レイヴン、お前、もしかしてスパルタ教育をしていないか」
「俺は、普通に教えている。だけど、シオンが思ったよりもバカなんだよ」
「レイヴンが厳しすぎるんです」
意外と相性が悪かったみたいだ。
「お前一体どんな指導をしたんだよ」
「一時間で本を一冊丸暗記しろと言っただけだ」
「どう考えても厳しすぎるだろう。シオンがかわいそうだ」
「ギル様!!」
シオンがキラキラと瞳を輝かせながら、僕を見てくる。ミルクティー色の髪が縁取るマシュマロほっぺは、ピンク色に染まっている。破壊力抜群のかわいさだ。
安心しろ、僕は、お前の味方だからな。
「全くレイヴンは、凡人の記憶力というものを理解していないな。2時間で一冊にしろよ」
「……ギル様」
今度は、シオンから腐った生ゴミを見るような目をされた。何故だ?
「そんなの僕には、無理ですよ」
目をウルウルとして泣きそうな顔をするシオンを見ると、甘やかしたい気分でいっぱいになる。
「しょうがないな。シオンは、かわいいから許してやるよ」
「ギル様、こんな奴のどこがかわいいんですか」
地獄の使者のような目をしたエンデュミオンから、問いかけられる。
「全部、かわいいじゃねぇか。少なくともお前の百倍かわいい」
「本当ですか」
キラキラをした目をするシオン。
「そりゃ、当然だろう。むしろエンデュミオンにかわいい要素とか皆無だな」
「やったー」
それを聞いたエンデュミオンは、ムッとしたような顔をした。
「俺の方が優秀です。背も高いし、女にもモテモテです。女だけじゃなくて、ギル様に一目惚れされるほどイケメンですから。しかも、スポーツ万能です。剣大会を最年少で優勝して、あまりにも勝ちすぎて出場資格をはく奪されるほど強いです。俺の方がシオンよりも、断然ハイスペックですから」
そこにいたのは、7歳児相手に本気で張り合う大人の姿だった……。とんでもないクズだ。
「う、うえーん……。エンデュミオンが苛めてくる……」
辺りにシオンの泣き声が響きわたる。
「かわいそうに。よし。今日のデザートにプリンもつけさせといてやるよ」
鉄格子の間から手を差し込んで、シオンのミルクティー色の髪を撫でてやる。
な、何という触り心地だ。まさに神級の髪だ。もうこれだけで、誰もを虜にする魔性の美少年になれる気がする。
「ギル様、シオンばかりずるいです」
「黙れ。お前は、今日のデザート抜きだから」
ビシッと指さし宣言する。
すると、ますます不機嫌そうに美しい顔を歪めた。
一体こいつが何を考えているのかよくわからない。
結局、僕の腕は、全治一か月の骨折だった。
右利きなのに右手を使えなくなってしまったせいで、エンデュミオンにせっせと介護されている。
申し訳ないと思って、他の奴らにも曜日別で頼もうとしたが、何故かエンデュミオンは、俺の世話係を譲らなかった。俺の世話係になる人間をかわいそうだと思って、他の奴にやらせようとしないのだろう。
おかげで朝から晩まで世話になっている。
服の着替えから、食事、書類の整理、何から何までお世話になっている。
トイレと風呂は、何とか自力で入っているが、その後、髪を乾かしてもらったりしている。その度に、こいつは俺がいないと生きていけないクズだなというような優越感に満ちた目で見られているのは、たぶん気のせいではないはずだ。……早く元気になりたい。とりあえず頭にあるのは、そればかりだ。
ちなみに、今日の服は、ショッキングピンクのヒラヒラスーツです。
うおおおおおおおおおおおおおお。
これは視界の暴力だああああ。
鏡に自分が映るたびに、鏡をアチョーってジャッキーのように叩きわりたくなる。
ブサイクよ、胸を張れ。きっと、君たちの姿は、今の僕のキモさ100%の姿よりも、はるかにましだろう。
シオンを他の奴らに人質にされないように地下牢に閉じ込めることにした。ちなみに、シオンの隣には、探偵レイヴンがいる。二つの地下牢を開通させて、暇を持て余しているレイヴンには、シオンの家庭教師を頼んだ。
時間がある時は、シオンのために新しい本や教材を届けることにした。
ドアを開けた途端、牢屋の中でシオンがキラキラと瞳を輝かせた。
「ギル様、会いたかったです」
目が潰れそうになるくらい眩しい笑顔だ。君の瞳に乾杯。
「シオン、今日も一日頑張っていたか」
「うっ……。が、頑張りました」
その引きつった笑顔は、何なのだろうか。
「レイヴン、お前、もしかしてスパルタ教育をしていないか」
「俺は、普通に教えている。だけど、シオンが思ったよりもバカなんだよ」
「レイヴンが厳しすぎるんです」
意外と相性が悪かったみたいだ。
「お前一体どんな指導をしたんだよ」
「一時間で本を一冊丸暗記しろと言っただけだ」
「どう考えても厳しすぎるだろう。シオンがかわいそうだ」
「ギル様!!」
シオンがキラキラと瞳を輝かせながら、僕を見てくる。ミルクティー色の髪が縁取るマシュマロほっぺは、ピンク色に染まっている。破壊力抜群のかわいさだ。
安心しろ、僕は、お前の味方だからな。
「全くレイヴンは、凡人の記憶力というものを理解していないな。2時間で一冊にしろよ」
「……ギル様」
今度は、シオンから腐った生ゴミを見るような目をされた。何故だ?
「そんなの僕には、無理ですよ」
目をウルウルとして泣きそうな顔をするシオンを見ると、甘やかしたい気分でいっぱいになる。
「しょうがないな。シオンは、かわいいから許してやるよ」
「ギル様、こんな奴のどこがかわいいんですか」
地獄の使者のような目をしたエンデュミオンから、問いかけられる。
「全部、かわいいじゃねぇか。少なくともお前の百倍かわいい」
「本当ですか」
キラキラをした目をするシオン。
「そりゃ、当然だろう。むしろエンデュミオンにかわいい要素とか皆無だな」
「やったー」
それを聞いたエンデュミオンは、ムッとしたような顔をした。
「俺の方が優秀です。背も高いし、女にもモテモテです。女だけじゃなくて、ギル様に一目惚れされるほどイケメンですから。しかも、スポーツ万能です。剣大会を最年少で優勝して、あまりにも勝ちすぎて出場資格をはく奪されるほど強いです。俺の方がシオンよりも、断然ハイスペックですから」
そこにいたのは、7歳児相手に本気で張り合う大人の姿だった……。とんでもないクズだ。
「う、うえーん……。エンデュミオンが苛めてくる……」
辺りにシオンの泣き声が響きわたる。
「かわいそうに。よし。今日のデザートにプリンもつけさせといてやるよ」
鉄格子の間から手を差し込んで、シオンのミルクティー色の髪を撫でてやる。
な、何という触り心地だ。まさに神級の髪だ。もうこれだけで、誰もを虜にする魔性の美少年になれる気がする。
「ギル様、シオンばかりずるいです」
「黙れ。お前は、今日のデザート抜きだから」
ビシッと指さし宣言する。
すると、ますます不機嫌そうに美しい顔を歪めた。
一体こいつが何を考えているのかよくわからない。
10
お気に入りに追加
188
あなたにおすすめの小説
異世界に転生したので、とりあえず戦闘メイドを育てます。
佐々木サイ
ファンタジー
異世界の辺境貴族の長男として転生した主人公は、前世で何をしていたかすら思い出せない。 次期領主の最有力候補になるが、領地経営なんてした事ないし、災害級の魔法が放てるわけでもない・・・・・・ ならばっ! 異世界に転生したので、頼れる相棒と共に、仲間や家族と共に成り上がれっ!
実はこっそりカクヨムでも公開していたり・・・・・・
最底辺の落ちこぼれ、実は彼がハイスペックであることを知っている元幼馴染のヤンデレ義妹が入学してきたせいで真の実力が発覚してしまう!
電脳ピエロ
恋愛
時野 玲二はとある事情から真の実力を隠しており、常に退学ギリギリの成績をとっていたことから最底辺の落ちこぼれとバカにされていた。
しかし玲二が2年生になった頃、時を同じくして義理の妹になった人気モデルの神堂 朱音が入学してきたことにより、彼の実力隠しは終わりを迎えようとしていた。
「わたしは大好きなお義兄様の真の実力を、全校生徒に知らしめたいんです♡ そして、全校生徒から羨望の眼差しを向けられているお兄様をわたしだけのものにすることに興奮するんです……あぁんっ♡ お義兄様ぁ♡」
朱音は玲二が実力隠しを始めるよりも前、幼少期からの幼馴染だった。
そして義理の兄妹として再開した現在、玲二に対して変質的な愛情を抱くヤンデレなブラコン義妹に変貌していた朱音は、あの手この手を使って彼の真の実力を発覚させようとしてくる!
――俺はもう、人に期待されるのはごめんなんだ。
そんな玲二の願いは叶うことなく、ヤンデレ義妹の暴走によって彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて玲二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
義兄の実力を全校生徒に知らしめたい、ブラコンにしてヤンデレの人気モデル VS 真の実力を絶対に隠し通したい、実は最強な最底辺の陰キャぼっち。
二人の心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
[完結]堕とされた亡国の皇子は剣を抱く
小葉石
BL
今は亡きガザインバーグの名を継ぐ最後の亡国の皇子スロウルは実の父に幼き頃より冷遇されて育つ。
10歳を過ぎた辺りからは荒くれた男達が集まる討伐部隊に強引に入れられてしまう。
妖精姫との名高い母親の美貌を受け継ぎ、幼い頃は美少女と言われても遜色ないスロウルに容赦ない手が伸びて行く…
アクサードと出会い、思いが通じるまでを書いていきます。
※亡国の皇子は華と剣を愛でる、
のサイドストーリーになりますが、この話だけでも楽しめるようにしますので良かったらお読みください。
際どいシーンは*をつけてます。
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
王子様と魔法は取り扱いが難しい
南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。
特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。
※濃縮版
異世界に転生したらめちゃくちゃ嫌われてたけどMなので毎日楽しい
やこにく
BL
「穢らわしい!」「近づくな、この野郎!」「気持ち悪い」
異世界に転生したら、忌み人といわれて毎日罵られる有野 郁 (ありの ゆう)。
しかし、Mだから心無い言葉に興奮している!
(美形に罵られるの・・・良い!)
美形だらけの異世界で忌み人として罵られ、冷たく扱われても逆に嬉しい主人公の話。騎士団が(嫌々)引き取
ることになるが、そこでも嫌われを悦ぶ。
主人公受け。攻めはちゃんとでてきます。(固定CPです)
ドMな嫌われ異世界人受け×冷酷な副騎士団長攻めです。
初心者ですが、暖かく応援していただけると嬉しいです。
国王様は新米騎士を溺愛する
あいえだ
BL
俺はリアン18歳。記憶によると大貴族に再婚した母親の連れ子だった俺は5歳で母に死なれて家を追い出された。その後複雑な生い立ちを経て、たまたま適当に受けた騎士試験に受かってしまう。死んだ母親は貴族でなく実は前国王と結婚していたらしく、俺は国王の弟だったというのだ。そして、国王陛下の俺への寵愛がとまらなくて?
R18です。性描写に★をつけてますので苦手な方は回避願います。
ジュリアン編は「騎士団長は天使の俺と恋をする」とのコラボになっています。
転生した悪役令息は破滅エンドをなかなか回避できない
加兎琉める
BL
腐男子である山那椿は、気がつくと前世で愛好していたBL同人ゲームの悪役令息、マリス・アスムベルクに転生していた。
マリスは、同じく転生者でありこのゲームの作者だと言うエチカに「このままでは破滅エンドを免れられない」と言われてしまう。
破滅エンドを避けるべくイベントをこなしていくうちに、攻略対象の一人で意地悪な公爵令息セオリアス・カンテミールが何かと絡んできて……?
2度目の青春を謳歌しつつ、破滅エンドを回避するために奮闘する異世界転生BLストーリー。
不器用意地悪ツンデレ攻め×顔は可愛いけどそれ以外は平凡受け
セオリアス×マリス固定cp
くっつくまでが長いです。
嫌い→好き、もだもだ展開があります。
エロ描写は2年生以降です。
エロ描写には*をつけております。
!!注意!!
※いじめ描写、嫌われ要素があります。
※本番はセオリアスだけですが、セオリアス以外の人との性的な描写があります。
※無理矢理・残酷描写があります。
※なんでも許せる人向け
誤字脱字おかしな点等何かありましたらお気軽にお教えください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる