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超絶ヤバい奴
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独裁国家を破壊するのは一次的に中断した方がいいかもしれない。だって、ブロトレイト国以外の独裁国家を破壊していったら、ここにXがいることがばれてしまう。
次に殺す奴は、誰にしよう。この世界を平和にするために、殺さないといけない奴はたくさんいるに違いない。
書庫にある本を読み漁っていく。
あ、あった、この本。こいつについて、知りたいと思って探していたんだよな。
本のタイトルは、『徹底解説 アティス・シュタインベルト』。
アティスについては、いろんな本で出てきたから知っていた。莫大な権力を持ち、逆らったものや裏切り者には容赦のない人間であり、世界最大の国家と言われるルータリア国の現皇帝である。こいつのやってきたことを批判する人間もいるが、狂信者もたくさんいて、画期的な財政改革、技術革命も起こした偉大な人物だ。
一体、アティスは、どんなことをしてきたのだろう。
ゴクリと唾を飲んでから、覚悟をしてページをめくる。
モデルのようなイケメンがバーンと出てきた。
おいっ。
僕が知りたいのは、そういうことじゃない。
まあ、一ページ目だからしょうがないか……。そう思いながら、次のページをめくると、黒猫と戯れながら微笑むアティスの写真が出てきた。今度こそはと思いめくると、彫刻のように完璧な胸元をはだけているアティスがいた。
さらにページをめくると、15歳の頃の皇帝に即位したばかりのアティスの写真があった。美しいプラチナブランドに、血のように赤い瞳をしている。この世のものとは思えな程の美少年である。いや、かわいいんだけど、早く本文出てこいよ。
そろそろ本文かとめくっていくと、何とアティスの写真は半分以上もあった。
何なんだ、この本。今すぐビリビリに引き裂きたいんだが。
あの……、僕が見たかったのは、写真集じゃないんですけれど。これ、絶対にタイトル詐欺だろう。
つーか、こいつ、本当にこんな顔をしているのか。人間離れしているようにしか思えないんだが。絶対に、CG加工しているだろう。美白効果とか、目力増強効果も使っているんじゃね?こんな人間、実在するわけねぇよ。自分の写真をCG加工させるとか、意外とかわいいところがあるんだな。
ようやく半分を超えた頃から、アティスの話について書き始めていた。
狂ったような価値観と、悪魔のようなカリスマを持つアティスの話に夢中になって、3分もしないうちに全て読んでしまった。兄殺し、斬新な処刑法、法律の改変、裏切り者への処罰、女関係、自分の部屋の埃を取り忘れた執事を殺してしまうくらいの綺麗好き、オオカミを調教してペットにしていたエピソード……どれも自分の想像斜め上をいくようなものばかりだった。
不要なエピソードを排除して頭の中でまとめると、次のようになった。
アティス・シュタインベルト。第53代皇帝 現27歳
1513年 誕生
1529年 16歳の頃、自らの手でナイフを刺して皇帝であった兄を殺す。そして、後継者となる。同年元皇帝であった父親を処刑。
1530年 皇帝交代の混乱に乗じて攻め込んできた4か国を征服して、植民地化する。(ガナダ、ドーツン、バルヘルム、ロバイを征服)
1531年 平和主義者死刑法(戦争反対に関する書物を出したもの、声明を唱えたものを死刑にする)
カルタヤ人の人権排除法
その結果、国は大量のカルタヤ人を奴隷としてこき使い国益を2倍近くにあげる。
1534年 S級障害者安楽死法施行、障害者施設破壊法
1535年 公共不快物排除法施行(容姿が醜すぎる者や、体重120kgの人間を死刑にする)
後期高齢者安楽死推奨法施行(自力で生活を送るのが困難な高齢者、認知症の人間を安楽死させる)
1537年 公共不要物排除法施行(引きニート大量処分計画を実行。5年以上引きこもっている人間を死刑にする)
1538年 ルータリア国のシュタインベルト一族にインフルエンザウイルスをまき散らしたホワイ国首相に対して怒り、ホワイ国を滅ぼす。ホワイ国を植民地化。
・ルータリア国は、シュタインベルト一族は神の血を引く一族であり、皇帝の地位についたものは、半神扱いされる。そのことは、全国民に学校の教育で洗脳されるように仕込まれる。
・圧倒的な美貌から写真集は飛ぶように売れた。
・頭脳明晰で、千年に一人の天才と呼ばれている。
・気にいらない人間を次々に死刑させる。
・選民思想をしているが、美貌とカリスマ性から国民から熱狂的な支持を得ている。
・猫が好きだが、ひっかいてきた猫は容赦なく処刑。
・赤ワインが大好き。しかし、ワイングラスに人間の血を入れ他人に飲めと強制させたエピソードもある。
・女にモテモテ。仲良し姉妹の間で殺人事件が勃発するほどモテる。
読んだら、わかる。こいつ、超絶ヤバい奴やん。
引きニート大量処分計画とか斬新だな。民主主義だったら、絶対に考えられない計画だな。引きニートは、確かに僕も全く役に立たない社会的不要物だと思うけれど、死刑にすることはやりすぎだろうと思う。
ミサイル乱射とかカルタヤ人を大量処分して遊ぶギル・ノイルラーとは、違ったヤバさだな。
何というか……一部の人間だけが豊かに暮らせる国家にするという選民思想を感じる。
無茶苦茶な政策をしているが、引きニート、障碍者を減らしたことで国民の負担は軽減している。軍の規模はそこそこで、その気になれば世界征服できそうなほどの体制を整えている。
千年に一人の天才は大げさな褒め言葉だと思うが、頭が相当キレる奴だ。
こいつは、殺すべき人間だろうか。
アティスには、熱狂的な信者が多い。彼は、国民にとって戦争中の天皇みたいな存在だ。だから、彼を殺せば、メシアを憎むものも増えるし、自殺する奴も少なからずいるだろう。
もちろん彼の政策をやり過ぎていると批判している奴もいるが、よくぞみんなが消えて欲しいと本音では思っている奴らを排除してくれたと称賛する人間も大勢いる。彼のことを人間から偽善を取っ払った存在だと評価した人もいる。
しかし、アティスの持つ権力と徹底的な選民思想や攻撃的な性格は、非常に危険だ。シュタインベルト一族がいる限り、ルータリア国で国民洗脳教育は続いて行く。
神の一族と言われるシュタインベルト一族に人間宣言をさせるか、シュタインベルト一族を滅ぼさなければいけない。
そうしない限り、カースト制度がはっきりしているあの国では民主主義にはならない。だったら、シュタインベルト一族の全滅が一番早いだろう。
僕は、今まで罪のない人間を大量に殺しまくる如何にも悪い奴がトップという国だけを殺しまくってきた。アティスは、そんな奴らとはかなり違うタイプの悪い人間だ。
アティスを殺すべきか、利用するべきか。
その答えは、もう少し先延ばしにしておくことにした。
次に殺す奴は、誰にしよう。この世界を平和にするために、殺さないといけない奴はたくさんいるに違いない。
書庫にある本を読み漁っていく。
あ、あった、この本。こいつについて、知りたいと思って探していたんだよな。
本のタイトルは、『徹底解説 アティス・シュタインベルト』。
アティスについては、いろんな本で出てきたから知っていた。莫大な権力を持ち、逆らったものや裏切り者には容赦のない人間であり、世界最大の国家と言われるルータリア国の現皇帝である。こいつのやってきたことを批判する人間もいるが、狂信者もたくさんいて、画期的な財政改革、技術革命も起こした偉大な人物だ。
一体、アティスは、どんなことをしてきたのだろう。
ゴクリと唾を飲んでから、覚悟をしてページをめくる。
モデルのようなイケメンがバーンと出てきた。
おいっ。
僕が知りたいのは、そういうことじゃない。
まあ、一ページ目だからしょうがないか……。そう思いながら、次のページをめくると、黒猫と戯れながら微笑むアティスの写真が出てきた。今度こそはと思いめくると、彫刻のように完璧な胸元をはだけているアティスがいた。
さらにページをめくると、15歳の頃の皇帝に即位したばかりのアティスの写真があった。美しいプラチナブランドに、血のように赤い瞳をしている。この世のものとは思えな程の美少年である。いや、かわいいんだけど、早く本文出てこいよ。
そろそろ本文かとめくっていくと、何とアティスの写真は半分以上もあった。
何なんだ、この本。今すぐビリビリに引き裂きたいんだが。
あの……、僕が見たかったのは、写真集じゃないんですけれど。これ、絶対にタイトル詐欺だろう。
つーか、こいつ、本当にこんな顔をしているのか。人間離れしているようにしか思えないんだが。絶対に、CG加工しているだろう。美白効果とか、目力増強効果も使っているんじゃね?こんな人間、実在するわけねぇよ。自分の写真をCG加工させるとか、意外とかわいいところがあるんだな。
ようやく半分を超えた頃から、アティスの話について書き始めていた。
狂ったような価値観と、悪魔のようなカリスマを持つアティスの話に夢中になって、3分もしないうちに全て読んでしまった。兄殺し、斬新な処刑法、法律の改変、裏切り者への処罰、女関係、自分の部屋の埃を取り忘れた執事を殺してしまうくらいの綺麗好き、オオカミを調教してペットにしていたエピソード……どれも自分の想像斜め上をいくようなものばかりだった。
不要なエピソードを排除して頭の中でまとめると、次のようになった。
アティス・シュタインベルト。第53代皇帝 現27歳
1513年 誕生
1529年 16歳の頃、自らの手でナイフを刺して皇帝であった兄を殺す。そして、後継者となる。同年元皇帝であった父親を処刑。
1530年 皇帝交代の混乱に乗じて攻め込んできた4か国を征服して、植民地化する。(ガナダ、ドーツン、バルヘルム、ロバイを征服)
1531年 平和主義者死刑法(戦争反対に関する書物を出したもの、声明を唱えたものを死刑にする)
カルタヤ人の人権排除法
その結果、国は大量のカルタヤ人を奴隷としてこき使い国益を2倍近くにあげる。
1534年 S級障害者安楽死法施行、障害者施設破壊法
1535年 公共不快物排除法施行(容姿が醜すぎる者や、体重120kgの人間を死刑にする)
後期高齢者安楽死推奨法施行(自力で生活を送るのが困難な高齢者、認知症の人間を安楽死させる)
1537年 公共不要物排除法施行(引きニート大量処分計画を実行。5年以上引きこもっている人間を死刑にする)
1538年 ルータリア国のシュタインベルト一族にインフルエンザウイルスをまき散らしたホワイ国首相に対して怒り、ホワイ国を滅ぼす。ホワイ国を植民地化。
・ルータリア国は、シュタインベルト一族は神の血を引く一族であり、皇帝の地位についたものは、半神扱いされる。そのことは、全国民に学校の教育で洗脳されるように仕込まれる。
・圧倒的な美貌から写真集は飛ぶように売れた。
・頭脳明晰で、千年に一人の天才と呼ばれている。
・気にいらない人間を次々に死刑させる。
・選民思想をしているが、美貌とカリスマ性から国民から熱狂的な支持を得ている。
・猫が好きだが、ひっかいてきた猫は容赦なく処刑。
・赤ワインが大好き。しかし、ワイングラスに人間の血を入れ他人に飲めと強制させたエピソードもある。
・女にモテモテ。仲良し姉妹の間で殺人事件が勃発するほどモテる。
読んだら、わかる。こいつ、超絶ヤバい奴やん。
引きニート大量処分計画とか斬新だな。民主主義だったら、絶対に考えられない計画だな。引きニートは、確かに僕も全く役に立たない社会的不要物だと思うけれど、死刑にすることはやりすぎだろうと思う。
ミサイル乱射とかカルタヤ人を大量処分して遊ぶギル・ノイルラーとは、違ったヤバさだな。
何というか……一部の人間だけが豊かに暮らせる国家にするという選民思想を感じる。
無茶苦茶な政策をしているが、引きニート、障碍者を減らしたことで国民の負担は軽減している。軍の規模はそこそこで、その気になれば世界征服できそうなほどの体制を整えている。
千年に一人の天才は大げさな褒め言葉だと思うが、頭が相当キレる奴だ。
こいつは、殺すべき人間だろうか。
アティスには、熱狂的な信者が多い。彼は、国民にとって戦争中の天皇みたいな存在だ。だから、彼を殺せば、メシアを憎むものも増えるし、自殺する奴も少なからずいるだろう。
もちろん彼の政策をやり過ぎていると批判している奴もいるが、よくぞみんなが消えて欲しいと本音では思っている奴らを排除してくれたと称賛する人間も大勢いる。彼のことを人間から偽善を取っ払った存在だと評価した人もいる。
しかし、アティスの持つ権力と徹底的な選民思想や攻撃的な性格は、非常に危険だ。シュタインベルト一族がいる限り、ルータリア国で国民洗脳教育は続いて行く。
神の一族と言われるシュタインベルト一族に人間宣言をさせるか、シュタインベルト一族を滅ぼさなければいけない。
そうしない限り、カースト制度がはっきりしているあの国では民主主義にはならない。だったら、シュタインベルト一族の全滅が一番早いだろう。
僕は、今まで罪のない人間を大量に殺しまくる如何にも悪い奴がトップという国だけを殺しまくってきた。アティスは、そんな奴らとはかなり違うタイプの悪い人間だ。
アティスを殺すべきか、利用するべきか。
その答えは、もう少し先延ばしにしておくことにした。
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