白山

vol.1 11月

19日

　こっちの戦況が落ち着いたぶん、団長たちがいる区画の方は少し大変らしい。
そのためか、こちらの方にお子さんが疎開してきた。とはいえど、その数もあまり多くはない。多分、どこかの小規模校からだろう。
　教員らから話を聞けば、彼ら、みんな上流階級の生まれなんだと言う。
それなら、大層おとなしいのが多いんだろうと思っていたのだが、どうやらそう言うわけでもないらしい。
あの嬢さんと息子さんたち、妙に危なっかしい。それに、やはりお駄賃をたくさんもらっているのだろう。「依頼」と称して、20ガルくらいで馬車に乗せてくれと何度も言ってくる。
まあ、可愛いからいいんだけど…
　それにしても、2キロも離れた戦地で、火災が起こってる建物に突っ込もうとした時は流石にびっくりした。急いで、えりの部分を咥えて、連れて行ったが。私としたことが、四つ足になってシッポをぶんぶん振ってしまった。本当、心臓に悪すぎる！（しかし、火事場に思いっきり飛び込む勇気は、褒めて欲しいなどと…）

❇︎今日では、20ガル＝8円ほどだった。
11/19、00:25 敬具 副団長・ニッシュ・リシック。