白山

巳鷹田葛峯

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vol.1 11月

18日

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草の匂い。月が明るい。
いまの日時は…0：64。
今は馬車の中にいる。戦は落ち着いているようなのだ。
後2.3時間もすれば陽が上がるだろう。
夜間は電灯を使っていない。敵に見つかっては　困るからである。寒くなってきた。冷たい、雨が降っている。
私はアントロニカ自警団の副団長、ニッシュ・リシック。アントロニカでは馬を5頭飼っている。今ここにいるのは、私と同隊員たち3匹、そして医者だ。2台あるうちの一台の馬車は、ここ、ミシード地方、アッド県、アリードルー市、バガレート町に置いている。
もう一つの馬車…おそらく、かなり遠くにあるのだが、それには団長と、団長補佐と、馬主、それと隊員2匹が乗っている。それがどこにあるか詳しくは分からぬが、きっと2区画ばかり離れたアディードー町あたりにあるはずだ。
陽が昇る頃には、スコイを通じて私に電報が送られてくるはずである。

さて、改めて説明するが、この日誌を書き始めたのは、戦況が落ち着いてきて、少しではあるが、余裕が出てきたためである。
団長補佐から、いつも通りに日誌を書いておいて欲しいと言われたためだ。
…まあ、そんなところで、今日から日誌を書いていこうという所存である。