弱者男性は幸せになれるのか！？ 一発逆転を夢見た末路の物語

第二章

第七十四話 幻霧雲開

私は気が付けば４０代になっており弱者男性になっていた。

結局、私は親友の夢を叶えることは出来なかった。

親友の原作を世に出すのが私のすべきことだと固執して３０代を無為に過ごしてしまった。

私は今までは自分のすべきことを決めつけて生きてきたが、今からは自分の幸せを目指していきたい。

だが４０代の弱者男性は生きなければいけない理由などは何もない。

私が死んだところで何も変わらない。

それでも鼓動の続く限り生きないといけない。

何もない人生である。

せめて私の人生を書き記そうか。

どうせ、ろくな人生にならないはずだ。

悲劇と喜劇の人生として読んでもらえるかもしれない。

私はペンネームを鉄才として、ふと思い直した。

「幻霧雲開」と書き直す。

これは亡き親友の新田のペンネームだ。

世に出ることのなかったペンネームである。

新田のペンネームなら才能のない私にも少しは拍が付くかもしれない。

それに新田は私のかけがえのない親友である。

勝手だがペンネームを使うことでこれからも二人で進んで行きたい。

投稿サイトを調べて『アルファポリス』を選ぶ。

タイトルは迷ったが「弱者男性は幸せになれるのか！？　一発逆転を夢見た末路の物語」と付けた。

私は新田に呼びかけた。

「新田。お前がいなくなってとても悲しいよ。
勝手にいなくなってひどいじゃないか。
ビックリしていたら俺の３０代が終わってしまった。
俺はまだ生きないといけないらしいから、出来たら俺が幸せになれるように見守っていてほしい。
そして俺もそっちに行ったときに謝るよ。
お前の原作を世に出せなくてごめんなって」