65 / 110
第二章
第六十四話 急転
しおりを挟む
私は氷河期世代の弱者男性である。
私は若い頃を振り返っている。
私が新田の死を知ったのは亡くなった次の日だった。
東京では私たちは一緒に住んでいた。
しかし、新田はマンガ喫茶に入り浸って帰ってこない日もたまにあったし、私はマンガを描くのに必死だったので、その日は何も気が付かなかった。
私の携帯電話に知らない番号から着信があった。
取ると新田の母からであった。
私は病院に駆け付けたが、もう新田は安置所に移されていた。
新田の遺体はシーツに包まれてみる事が出来なかった。
トラックに轢かれて即死だったらしい。
私は泣くことも出来ず呆然とした。
新田の母親のすすり泣く声はよく覚えている。
そのあとに私はいつ家に帰ったか覚えていない。
すべてが終わった気がした。
新田とともに私も死んだように思えた。
小学校六年生の頃。
私は幸せであった。新田と友里子とともに遊ぶ日々。
あの頃が私の人生の一番平和で幸せな日々だったのかも知れない。
三人での幸せな日々。
もう私しかいない。
私は書きかけの原稿を眺めていた。
ずっと、ただ眺めた。
私は若い頃を振り返っている。
私が新田の死を知ったのは亡くなった次の日だった。
東京では私たちは一緒に住んでいた。
しかし、新田はマンガ喫茶に入り浸って帰ってこない日もたまにあったし、私はマンガを描くのに必死だったので、その日は何も気が付かなかった。
私の携帯電話に知らない番号から着信があった。
取ると新田の母からであった。
私は病院に駆け付けたが、もう新田は安置所に移されていた。
新田の遺体はシーツに包まれてみる事が出来なかった。
トラックに轢かれて即死だったらしい。
私は泣くことも出来ず呆然とした。
新田の母親のすすり泣く声はよく覚えている。
そのあとに私はいつ家に帰ったか覚えていない。
すべてが終わった気がした。
新田とともに私も死んだように思えた。
小学校六年生の頃。
私は幸せであった。新田と友里子とともに遊ぶ日々。
あの頃が私の人生の一番平和で幸せな日々だったのかも知れない。
三人での幸せな日々。
もう私しかいない。
私は書きかけの原稿を眺めていた。
ずっと、ただ眺めた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる