弱者男性は幸せになれるのか！？ 一発逆転を夢見た末路の物語

第二章

第五十三話 友里子に会いに行く

私は氷河期世代の弱者男性である。

中学校一年生の頃を思い出していた。

今は引っ越した友里子に会いに自転車をこいでいる。

たまに歌をうたい、良さそうな公園で休憩をして持ってきたお弁当を食べる。

「そう言えば今日は俺たちが行くことを田中さんは知ってんの？」

「ああ、電話で伝えてあるよ」

新田は友里子の電話番号を知っていることを初めて知った。

この頃、電話は相手の家に掛けるものであり電話には普通親が出る。

そのためなかなか女の子の家に電話をするというのは勇気がいることであった。

少し迷いもしたが無事に彼女の街の駅にたどり着いた。

五時間かかったため私は少し疲れていた。

時刻は十一時を過ぎている。

駅で新田が電話をかけ彼女が来るまで駅で待った。

さすがに彼女の家の場所を電話で正確に教えてもらうのは難しかったからだ。

２０分後に友里子はやってきた。

友里子はこの三か月で少し痩せたようだった。

「少し痩せた？」と新田が私の思っていたことを聞いていた。

「うん。でも二人の方が痩せてない？」と友里子が聞いてくる。

確かに私と新田が運動部に入ったために少し体が引き締まっていた。

私たちは友里子の家に案内された。

そして昼食を頂いた。カレーライスであり、友里子の手作りだった。

そのカレーライスは食べ盛りの私たちにとってはとても美味しく、私も新田も二回お代わりをした。

友里子はとても嬉しそうにご飯をよそっていた。

こんなに笑顔でいる友里子を見るのは初めてだった。