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第二章
第五十一話 引っ越し
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私は氷河期世代の弱者男性である。
今は小学校六年の頃を振り返っている。
その頃の私は新田と友里子と三人で遊ぶのが日常だった。
とても楽しく穏やかな日々で、中学校になっても同じ生活が続くものだと思っていた。
しかし、小学校最後の冬に変化が訪れた。
「私、引っ越しするんだ」と友里子は悲しそうに言ったのだ。
友里子の引っ越し先は車なら一時間もかからない距離であった。
しかし、子供の私たちにとってそれは別れを意味していた。
「いつ引っ越しするの?」と新田は聞いた。
「卒業したらすぐ」
「そうか、じゃあ、あと二か月くらい先か」
そういう会話があったが、私たちのすることは一緒であった。
みんなで漫画を読み、ゲームをして、映画を観る。
もうすぐ別れが来るとわかっていても何をすればいいかわからなかったのだ。
そうしてあっという間に二か月が過ぎ、私たちは小学校を卒業した。
「遊びに来るのは今日が最後になると思う」と友里子が言った。
ああ、ついにこの日が来たかと私は思った。
私は告白をするかどうか、友里子が引っ越しすると聞かされてからずっと私は迷っていた。
しかし、私に告白をする勇気はなかった。
新田は友里子にプレゼントを渡していた。
包装しリボンが付けられていた本だ。
あとからそれは『星の王子様』だとわかった。
こうして私たちの三人で遊ぶ日々は終わったのである。
今は小学校六年の頃を振り返っている。
その頃の私は新田と友里子と三人で遊ぶのが日常だった。
とても楽しく穏やかな日々で、中学校になっても同じ生活が続くものだと思っていた。
しかし、小学校最後の冬に変化が訪れた。
「私、引っ越しするんだ」と友里子は悲しそうに言ったのだ。
友里子の引っ越し先は車なら一時間もかからない距離であった。
しかし、子供の私たちにとってそれは別れを意味していた。
「いつ引っ越しするの?」と新田は聞いた。
「卒業したらすぐ」
「そうか、じゃあ、あと二か月くらい先か」
そういう会話があったが、私たちのすることは一緒であった。
みんなで漫画を読み、ゲームをして、映画を観る。
もうすぐ別れが来るとわかっていても何をすればいいかわからなかったのだ。
そうしてあっという間に二か月が過ぎ、私たちは小学校を卒業した。
「遊びに来るのは今日が最後になると思う」と友里子が言った。
ああ、ついにこの日が来たかと私は思った。
私は告白をするかどうか、友里子が引っ越しすると聞かされてからずっと私は迷っていた。
しかし、私に告白をする勇気はなかった。
新田は友里子にプレゼントを渡していた。
包装しリボンが付けられていた本だ。
あとからそれは『星の王子様』だとわかった。
こうして私たちの三人で遊ぶ日々は終わったのである。
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