弱者男性は幸せになれるのか!? 一発逆転を夢見た末路の物語

幻霧雲開

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第二章

第四十九話 田中友里子と恋心

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私は氷河期世代の弱者男性である。

今は小学校6年生の頃を振り返っている。

田中友里子も新田の家に遊びに来るようになったが暗黙の了解で私も新田も友里子もその事は誰にも言わなかった。

この頃はまだ携快電話などない時代である。

正確に言えばあったが一流のビジネスマンが肩にかけるバッグのような大きさで、当然子供が持つようなものではない。

私は新田の家に行かない方がまれであり、だから行けない日は友里子に聞こえるように新田に話しかけた。

すると友里子も新田の家に行かないと言うのがルールであった。

子供とはいえ小学校六年にもなると男女が二人で部屋にいるのはまずいと思っていたのだ。

要するにみんな男女を意識するほど性には目覚めていたのである。

私と友里子は初めの頃はほとんど口を聞かなかった。

私としては新田と二人でいる方が気が楽だったし、どちらかと言えば友里子は邪魔だったからだ。

しかし、友里子が書いている絵を見せてもらうと明らかに私より才能があった。

「どうやったらそんなにうまく描けるん?」と私が話しかけたのだ。

絵を褒められたのが嬉しかったのか友里子はとても可愛らしい笑顔になった。

その時、私は友里子に惚れてしまった。

私は単純な男なのだ。女性の笑顔に簡単に落ちる。

でも私はその恋心は隠すことにした。

新田と友里子は付き合ってはいないが、友里子は新田の事が好きなのだろうとわかっていたからだ。

そしてこっちは証拠はまるでないのだが、新田もおそらく友里子の事が好きだろうと思っていたからである。
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