弱者男性は幸せになれるのか！？ 一発逆転を夢見た末路の物語

第一章

第三十九話 続々・宇美さんとライブ観賞

私は４０歳、婚活難民の弱者男性である。

私はいま美女との何気ない会話を全力で楽しんでいた。

とても幸せな気持ちである。

魅力的な女性の近くにいるだけでこんなにも幸福な気持ちになるのだ。

私はなんて単純な生き物であろう。

ライブはそろそろ終わりを迎えようとしていた。

もうこの幸せな時間も終わってしまうのか。

佐々木君の姉、宇美さんとはもう会うことはないだろう。

私が佐々木君のライブに通ったら別かもしれないが、ライブに来て宇美さんがいなかったら私はとても落ち込んでしまう。

それに初めてだから来てみたが、やはり場違い感がすごい。

もう来ることもないだろう。

時刻は夜の九時。

『どこかでもう一杯どうですか？』と宇美さんを誘いたい。

おしゃれなバーで彼女との時間を楽しみたい。
（おしゃれなバーなんてどこにあるか知らないけれど）

だが私には歳が一回り下の美女を誘う勇気は私にはなかった。

どうせ断られる。

無駄に傷つかなくても良いではないか。

私は一歩が踏み出せなかった。

もうすぐ宇美さんともお別れだな。

そう思っていた時宇美さんから声を掛けられた。

「正田さんはこの後時間はありますか？」と。