世界一美人な妹とブサイクな俺

第十八話 怒られるかは上司の機嫌しだい

最後の補充地点と会社の距離は近いのですぐに会社に着く。

俺はため息を一度着くと裏手の駐車場に軽トラックを止めた。

駐車場に馬場の乗用車があり軽トラックもあるのでまだ会社にいるようだ。

やだやだと思いながら俺は事務所に入った。

「だからお前は駄目なんだよ。家康の生まれ変わりならもっと頭使えよ」
　
事務所に入るなり馬場の怒鳴り声が耳に響く。

今日は伊藤がなにやら怒られているらしい。

ミスをして怒られているときもあれば普通にしていても怒鳴られたりもする。

要するに怒鳴れるかどうかは馬場の機嫌しだい、ストレスしだいなのだ。
　
馬場は俺の存在に気がつくと新しい獲物が来たと言わんばかりにうれしそうにこっちを見てきた。

「おい、野良。タバコ屋の件はちゃんと出来たのかよ」
　
ああ、どうして馬場の周りに完全防音の板が取り付けられていないのだろうか。

「何とか説得しまして、一台だけの解約にしてもらいました」

「あ、何だよ。一台解約されたのかよ。使えねえやつだな。あんな糞ババアの言いなりになって帰ってきやがってよ」
　
その言葉が耳に届いて意味を理解した瞬間、血の温度が二度ほど上がった気がした。

日ごろなら怒りに狂った電気信号が脳内をゴールする前に、理性が現れて

「おいおい、そっち行ったら実行しちゃうよ。短気を起こしたら駄目だって。もう一度考え直せよ」

と言うので、理性がそう言うならもうちょっと考えてみるよ、となるのだが、今回は怒りが理性をぶっ飛ばして、俺は机を思い切り叩いていた。