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第四章 勇者パーティー
第二十五話 ノアの剣技>俺の剣技
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「ただいまー! ダンジョン攻略終わったぞー!」
エルフの里に転移した俺は屋敷に入ると元気よくそう言った。
「お、ユート。お疲れー」
一階で茶を飲んでいたクリスの兄、レインが出迎えてくれた。
「勇者がそろそろ召喚されるんだってな。性格のいいやつが来るといいな」
「そうだな。少なくとも、勇者としての力に溺れてしまうような奴はマジで来ないで欲しい。まあ、この辺は神様に祈っとくとするか」
俺は神がいるであろう上を見ると、そう言った。
「そうだな。そんじゃ、家族の感動の再会を邪魔するのはあれなんで、部外者の俺はさっさと退散しておくよ」
レインは軽い口調でそう言うと、この場所を離れて行った。
その直後、二階からノアが駆け下りてきた。
「パパ~お帰り!」
ノアは満面の笑みでステテテテーと駆け寄ってくると、俺の腹に突撃してきた。常人なら身悶えるレベルの威力でだ。まあ、俺なら無傷で済むけど。
「ただいま。あまり一緒にいられなくてすまんな」
俺はノアの背中に手を回すと、もう片方の手で頭を優しく撫でた。
すると、ノアは目を細めて微笑んだ。
この笑顔を少しでも長く見続ける為にも、魔王はサクッと倒さなくてはな。
「あ、そうだ! ちょっとしゃがんでー」
ノアはそう言うと、一歩後ろに下がった。
「わ、分かった」
俺は困惑しつつも、ノアの言う通り片膝をついてしゃがんだ。
「いつもお仕事頑張って偉い偉い」
ノアは俺の頭に小さな手を乗せると、俺の頭を優しく撫でた。
「……ありがとな」
小さい子にナデナデされたことに若干の気恥ずかしさを覚えた俺は少しだけ視線を横にそらしながらそう言った。
「ふふっ おかえりなさい。ユート」
その様子を階段から微笑ましく見ていたクリスが俺に近づいてくると、そう言った。
「ああ、ただいま」
俺はクリスの顔を見ると、優しく微笑んだ。
「それで、これからの予定は?」
「五日後、王都に再び行く。勇者を召喚する為にな」
「分かったわ。それまではここにいるんでしょ? なら、ノアちゃんと一緒にいてあげて。子供の成長にパパは必須よ」
クリスはノアの頭を撫でながらそう言った。
「そうだな。魔王を倒すまでは忙しくなっちゃうから、五日間はノアと一緒に遊ぶか」
「うん。嬉しい」
ノアは満面の笑みを浮かべながらそう言った。
「そんじゃ、まずは何をしたい?」
積み木とか、散歩とか、かくれんぼとか。そういう子供らしい遊びを予想しながら俺はノアに問いかけた。
「んーとね。模擬戦!」
……ん? ちょっと待て。ノアは今、模擬戦と言わなかったか?
いや、聞き間違いだ。うん。きっとそうだ。幼い子供が真っ先に戦いを求めるなんてあるはずが――
「パパはとーっても強いってママから聞いたの。だから、戦うの」
……やばい。言っていることが完全に戦闘狂のそれなんだが。
「察しが悪いわね。ユート。ノアちゃんは、パパがいなかった期間の特訓の成果を見せたいのよ」
「な、なるほど」
自分の成果を他人に見てもらいたいと思う気持ちはよく分かる。
うん。ちゃんとノアのことを考えてあげないと。俺はノアのパパなんだから。
「よし。それじゃあ、行こうか」
「はーい」
俺はノアと手を繋ぐと、屋敷の外に出た。
「……よし。やるか」
屋敷を出てすぐの所にあったスペースで俺は立ち止まると、〈アイテムボックス〉から白輝の剣を取り出し、それをノアに渡した。
「そんじゃ、かかってくるといい」
こどもはあからさまに本気じゃないとゴネると思ったおれは、本気っぽく見せる為に世界樹聖剣を持った。
「うん。パパに勝つ!」
ノアは勢いよく地を蹴ると、俺に切りかかってきた。
対する俺は、世界樹聖剣を水平に構えて、白輝の剣を受け止める姿勢になった。
「えいっ!」
「な!?」
ノアは直前で姿勢を極限まで低くすると、そこから俺めがけて刺突してきた。
「危ねっ」
俺は間一髪のところでバックステップをして躱した。
(思ったよりちゃんと剣術してるんだけど。つーか、シャオニンと戦ってから、スキルなしで剣術修行をしていた俺よりも剣術してるんだけど~何で~?)
俺はその後のノアの追撃をかわしながらそう思った。つーか、誰が剣術をノアに教えたんだ?
クリス……は無理だな。そうなると……体格的にレインかドーランドさんのどっちかな。
「……そろそろ終わりにするか」
俺はステータス頼りの剣術にならないように気をつけながら、ノアは持つ白輝の剣を弾き飛ばした。
「むぅ。やっぱり負けた」
ノアは悔しそうに頬を膨らませながらそう言った。
「いい剣技だった。同じステータスなら初撃で終わってたな。それで、ノアは誰に剣術を教わったんだ?」
「んーとね。レインお兄ちゃん!」
ノアの答えはおおよそ予想通りのものだった。ステータスは見ていないが、何となく剣術が出来そうな感じがしたからな。
「そうか。頑張ったんだな。偉い偉い」
俺はノアの頭を優しく撫でた」
「むふふ~」
ノアは気持ちよさそうに目を細めると、微笑んだ。
==================================
作者からのお知らせ
投稿が遅れてしまい、大変申し訳ございませんでした!
先月は期末テストと修学旅行があって厳しかったんです!
エルフの里に転移した俺は屋敷に入ると元気よくそう言った。
「お、ユート。お疲れー」
一階で茶を飲んでいたクリスの兄、レインが出迎えてくれた。
「勇者がそろそろ召喚されるんだってな。性格のいいやつが来るといいな」
「そうだな。少なくとも、勇者としての力に溺れてしまうような奴はマジで来ないで欲しい。まあ、この辺は神様に祈っとくとするか」
俺は神がいるであろう上を見ると、そう言った。
「そうだな。そんじゃ、家族の感動の再会を邪魔するのはあれなんで、部外者の俺はさっさと退散しておくよ」
レインは軽い口調でそう言うと、この場所を離れて行った。
その直後、二階からノアが駆け下りてきた。
「パパ~お帰り!」
ノアは満面の笑みでステテテテーと駆け寄ってくると、俺の腹に突撃してきた。常人なら身悶えるレベルの威力でだ。まあ、俺なら無傷で済むけど。
「ただいま。あまり一緒にいられなくてすまんな」
俺はノアの背中に手を回すと、もう片方の手で頭を優しく撫でた。
すると、ノアは目を細めて微笑んだ。
この笑顔を少しでも長く見続ける為にも、魔王はサクッと倒さなくてはな。
「あ、そうだ! ちょっとしゃがんでー」
ノアはそう言うと、一歩後ろに下がった。
「わ、分かった」
俺は困惑しつつも、ノアの言う通り片膝をついてしゃがんだ。
「いつもお仕事頑張って偉い偉い」
ノアは俺の頭に小さな手を乗せると、俺の頭を優しく撫でた。
「……ありがとな」
小さい子にナデナデされたことに若干の気恥ずかしさを覚えた俺は少しだけ視線を横にそらしながらそう言った。
「ふふっ おかえりなさい。ユート」
その様子を階段から微笑ましく見ていたクリスが俺に近づいてくると、そう言った。
「ああ、ただいま」
俺はクリスの顔を見ると、優しく微笑んだ。
「それで、これからの予定は?」
「五日後、王都に再び行く。勇者を召喚する為にな」
「分かったわ。それまではここにいるんでしょ? なら、ノアちゃんと一緒にいてあげて。子供の成長にパパは必須よ」
クリスはノアの頭を撫でながらそう言った。
「そうだな。魔王を倒すまでは忙しくなっちゃうから、五日間はノアと一緒に遊ぶか」
「うん。嬉しい」
ノアは満面の笑みを浮かべながらそう言った。
「そんじゃ、まずは何をしたい?」
積み木とか、散歩とか、かくれんぼとか。そういう子供らしい遊びを予想しながら俺はノアに問いかけた。
「んーとね。模擬戦!」
……ん? ちょっと待て。ノアは今、模擬戦と言わなかったか?
いや、聞き間違いだ。うん。きっとそうだ。幼い子供が真っ先に戦いを求めるなんてあるはずが――
「パパはとーっても強いってママから聞いたの。だから、戦うの」
……やばい。言っていることが完全に戦闘狂のそれなんだが。
「察しが悪いわね。ユート。ノアちゃんは、パパがいなかった期間の特訓の成果を見せたいのよ」
「な、なるほど」
自分の成果を他人に見てもらいたいと思う気持ちはよく分かる。
うん。ちゃんとノアのことを考えてあげないと。俺はノアのパパなんだから。
「よし。それじゃあ、行こうか」
「はーい」
俺はノアと手を繋ぐと、屋敷の外に出た。
「……よし。やるか」
屋敷を出てすぐの所にあったスペースで俺は立ち止まると、〈アイテムボックス〉から白輝の剣を取り出し、それをノアに渡した。
「そんじゃ、かかってくるといい」
こどもはあからさまに本気じゃないとゴネると思ったおれは、本気っぽく見せる為に世界樹聖剣を持った。
「うん。パパに勝つ!」
ノアは勢いよく地を蹴ると、俺に切りかかってきた。
対する俺は、世界樹聖剣を水平に構えて、白輝の剣を受け止める姿勢になった。
「えいっ!」
「な!?」
ノアは直前で姿勢を極限まで低くすると、そこから俺めがけて刺突してきた。
「危ねっ」
俺は間一髪のところでバックステップをして躱した。
(思ったよりちゃんと剣術してるんだけど。つーか、シャオニンと戦ってから、スキルなしで剣術修行をしていた俺よりも剣術してるんだけど~何で~?)
俺はその後のノアの追撃をかわしながらそう思った。つーか、誰が剣術をノアに教えたんだ?
クリス……は無理だな。そうなると……体格的にレインかドーランドさんのどっちかな。
「……そろそろ終わりにするか」
俺はステータス頼りの剣術にならないように気をつけながら、ノアは持つ白輝の剣を弾き飛ばした。
「むぅ。やっぱり負けた」
ノアは悔しそうに頬を膨らませながらそう言った。
「いい剣技だった。同じステータスなら初撃で終わってたな。それで、ノアは誰に剣術を教わったんだ?」
「んーとね。レインお兄ちゃん!」
ノアの答えはおおよそ予想通りのものだった。ステータスは見ていないが、何となく剣術が出来そうな感じがしたからな。
「そうか。頑張ったんだな。偉い偉い」
俺はノアの頭を優しく撫でた」
「むふふ~」
ノアは気持ちよさそうに目を細めると、微笑んだ。
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